~オトッキ町食堂探し~
━━━オトッキ町外れの家━━━
そこで僕は目を覚ました。
「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
すごい良く寝た感覚がするが、精神的疲労は半端ない。
「転生…したんだよな…」
体を見てみる。
ちゃんと自分の体のままか見ておきたかったのだ。
「……………………」
全然違ええええええ!!!!
誰だこの体!!
…まあ、変わってしまったものは仕方ないか。
とりあえず…
「一回死んでみるか」
死に戻りが嘘の可能性もある。
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「よし」
早速紐を括り付ける。
それを垂らし、垂らした紐の先で輪っかを作る。
そして椅子の上に立って…
「よっこいしょっと」
輪っかの中に首を通し………
〈椅子から飛び降りた〉
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「ん」
そこで僕は目を覚ました。
「……………………」
本当に戻ってる…
「うあああ」
溜め息を吐きながらベッドに倒れこむ。
やることないな…
「…そういえば、家の周りには何があるんだろう…?」
外に出てみるか…?
でも、ここは今までとは違う世界なんだ。
もしかするといきなりモンスターみたいなのに襲われるかもしれない。
…まあ
死んでも戻れるなら行ってみるか。
そして、僕はドアノブに手をかけた。
━━━オトッキ町の外れ━━━
「へえーーー」
すごくのどかな場所だ。
一面田んぼだ。
お米が特産なのかな??
そもそもこの世界にお米があるのか知らないけど。
そして、その黄金色の絨毯の中にポツンと浮かぶように住宅街がある。
あそこが最寄りの町か。
「暇だし行くか」
そして僕は歩き出した。
━━━オトッキ町━━━
町に着くと、〔オトッキ町〕と書かれた看板があった。
町は活気にあふれていて、そこら中で商人の威勢のいい声が響き渡っている。
ここにはかなりお世話になるだろうから、しっかりと地形を覚えていかなければ。
そこまで大きい町ではないが、すごく小さいわけでもない。
恐らく、住んでいる住人全員が顔見知りなんだろうなって感じの大きさだ。
実際に顔見知りかは知らないが…
「少しお腹が空いてきたし、食事処にでも入るか…」
お金はポケットに財布が入っていて、その中にある程度入っていた。
…そもそも言葉は通じるのか…?
━━━キニス食堂━━━
なんとなく、少し路地裏に入ったところにあった食堂に入った。
中は人が少ない…というか、ほぼいなかった。
店員らしき人と、常連らしき人。
「いっらしゃいませー!」
と、勢いのいい言葉が響く。
店員らしき人が目を輝かせながら近づいてくる。
そして…
「こちらへどうぞー!!」
と、無理矢理手を引かれ、テーブルに座らせられる。
とりあえず、言葉は通じるようでよかった。
「メニューはこちらですので、注文が決まりましたら叫んで呼んでください!」
叫ぶの?!
その後、常連らしき人のところに戻り「ようやく新規さんだ…」と呟いていた。
…とりあえず、メニューを決めるか。
「えっと…」
オムレツ・サラダ・サンドイッチ(数種類)・ショートケーキ・コーヒー・牛乳…
メニュー数少なっっ!!
その時、店員と常連の会話が耳に入った。
「あの人たちは今日は来ないの?」
「あいつらなら整備を終わらせてからくるって言ってたよ」
「ふーん…それなら大丈夫そうね」
「何が大丈夫なんだ?」
「いや…新規さんのお金を巻き上げてから来そうだなと」
「正直だなぁ」
巻き上げられそうになってる?!
この店員さん欲望に忠実なのかな…
「俺も金が欲しいなぁ」
この人も忠実だった!
「この世界の住人は欲望に忠実よね…」
貴方も十分忠実ですけど??
「早く新規さん注文しないかなぁ…収入増やしたーい」
…入る店間違えたかなぁ。
…まあ、お腹も空いてるし早く注文するか。
「すいm」
「はーい!!」
早い上に声大きい!!!!
「あ…こ、このハムサンドとコーヒーください…」
「畏まりました!!!」
元気だなぁ…
そして、店員はカウンターの中に入っていった。
すると、常連さんが近寄ってきて…
「この店、いい店だろ?」
「店員さんがすごく元気ですね…」
「あー…ニアちゃんはねー…」
なるほど、あの店員さんはニアという名前なのか。
「あの子、欲望に忠実ではあるけどいい子なんだよ?」
まあ、悪い人には見えないけど。
「この店を経営しているのも、親の病気を治すためなんだよ」
いい子じゃん!!
「親の家でダラダラ過ごすため!っていつも一人で頑張ってるよ」
結局欲望に忠実なのか…
まあでも、見た目的には高校生くらいだし頑張ってはいるのか。
「毎日毎日、店に寝泊まりしながらここで働いてるよ」
まさかの泊まり込み!?
そんな会話をしていると
「お待たせしましたぁ!ハムサンドとコーヒーです!」
「もう!シレミさん!新規さんに変なこと教えないでよ!!」
「別に変なことは教えていないよぉ…」
「それと、ニアちゃんって呼ばないでっていっつも言ってるでしょ!」
「聞こえてたの…」
「もう言わないでよね!!」
「………」
あ。あの感じ、また言うやつだ。
「全く…」
でも、すごく楽しそうな店を見つけられたかも。
ここにいれば退屈はしない…のかな?
━━━オトッキ町の外れの家━━━
家に帰ってきてから僕は考えていた。
「泊まり込みかぁ」
あの子から、僕に似たような雰囲気を少し感じた。
「…あの子、あのまま放置してたらその内自殺しそうだな」
…助けてあげたほうがいいのか…?
でも、あったばかりの子を助けるのも…
それに、僕が助ける理由もない。
でも……………
何故だか放っておけない。
「んー」
どうしようかな…
僕は、僕は、僕は…