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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
14章 夏休み最終週
93/131

93話 豹変する入れ替わりっ子達、圧倒的なフォロワー、個性豊かな得意料理

 2・3問目もオリヴィアさんが正解し、皆の焦りがどんどん増して、凡ミスも目立って来た。


「4問目、趣味の町ブラで」

「ハイ。森迫町だな。モーニングコール時に行くと言ってた」

「まだ出題が終わってません宵絵さん」

「な、なんだと!?」

「お手付きですので、今回の問題は答えられません」

「くぅ……」

「続きを言います。最近行った森迫町にある、甘味処で食べたスイーツは何でしょう」

「はい。苺たっぷりのショートケーキだな」

「違います」

「ぐっ」

「はい! 分かったよ! 時期と好みを察するに、夏みかんシャーベットだね」

「おしいです!」

「ふみゅ!?」

「ハイ! もしかして夏みかんジェラートですか?」

「せ、正解です」


 ついに4連続正解の王手まで迫った。

 強運か、奇跡か、それとも必然か。

 オリヴィアさんの優勢を崩すには、残りの出題を答えるしかない。


 ♢♢♢♢


 オリヴィアさんの連続正解のまま最終問題。

 正解を1つでも勝ち取りたい、確固たる意志を感じながら、出題した。


「最後の出題です。最近観たリバイバル映画のタイトルは何でしょうか」


 最後らしく難易度はかなり高めだ。

 リバイバル映画は、渚さんに連れて貰った『雨宿りな2人』。

 上映期間も終わっているから、正解は無理かもしれない。


「ところで洋くん。その映画って1人で観たの?」

「え、ど、どうしてそう思うんですか?」

「最新映画なら1人で行くのは分かるよ。でもリバイバル映画って、思い立っただけじゃ普通行かないもん」

「千佳さんの言う通り。感化されたか、誘われたか、いずれにしても第三者の介入があり得そうだな」


 第三者介入という可能性に、皆の目付きが豹変。

 詰み経験上、今の流れは非常にまずい傾向だ。


「おやおやおや? 明らかに動揺してるね! これは黒じゃないかな!」

「へぇ……積木さんと映画を見る人って、誰なんだろうね……私達の知ってる人なのかな?」

「同性ならここまで顔色は変わらないだろうから、相手は異性で確定だな」

「ようくんは私達にめぐみさんが想い人だと話してくれたので、相手がめぐみさんなら濁す必要は無いです! つまり他の異性である可能性が高いです!」

「洋ちんと同年代の子が、リバイバル映画を観てる可能性は低いよん。よっぽどの映画好きか、リードの出来る歳上か、映画とかに携わってる関係者か、どれにしても洋ちんと映画デートした事は変わらないよん」


 追い詰められる犯人の気持ちが、今なら嫌って程分かる。

 座っていた皆が、今にもテーブル越しに身を乗り出しそうで、重圧にも押し潰されそうだ。


 喋ってしまえば楽になれる。

 ただ、渚さんとの関係をバラすぐらいなら、このまま皆に押し潰されても構わない。

 覚悟を決めた時、時貞さんの声で我に帰った。


「はい時間切れです。9問正解したオリヴィアさんの1位になります」

「「「「「「え?」」」」」」

「何驚いてるんですか? 解答時間は1分だと自分達で決めてたじゃないですか」

「「「「「「わ、忘れてた!?」」」」」」


 時貞さんに救われ、事なきを得た。

 オリヴィアさんの1位はこれで3つ目。

 一体どんな結末になるのか見届けないと。


 ♢♢♢♢


「3種目の認知度魅力は、どれだけ周りに認知されてるかを可視化するものだ」

「まずは連絡認知度です。身内以外の連絡先から10名を選び、共通の簡潔な質問を送り、制限時間5分内にいくつ返事が来るかを競います!」

「残り制限時間、質問返しが加点対象だよ」

「洋、私達が10人選んでる間、文章を考えてくれ」

「りょ、了解です」


 考えること数分、お互いに準備が完了。


「えー共通質問は、あなたの好きな食べ物は何ですか、です」

「それでは皆さん、一斉に送って下さい」


 各々文章を打ち込み、10名に送信。

 連絡認知度は、結果的に峰子さんが1位を勝ち取り、2位は宇津姉、3位は千佳さんになった。


「次は認知数だよん。自分のやってるSNSの中で、一番フォロワー数の多いもので順位付けするものだよん」

「しかし、オリヴィアさんの圧倒的なフォロワー数に勝ち目がなく、順位付けするまでもなくオリヴィアさんの勝ち星となってる」

「ミリオン越え相手は流石にね。色んな意味で鳥肌立っちゃうよ」

「えへへ~照れちゃいますね~♪」


 オリヴィアさんを除けば1位は千佳さん、2位は峰子さん、3位ひーちゃんだった。

 認知度魅力でも結果的にオリヴィアさんが1位を1つ取った。

 逆転劇は無理でも、皆の決意表明は最後までしっかりと受け止める。


 ♢♢♢♢


「4種目の家庭魅力は、一品ずつ得意料理を洋君に振る舞うものだ」

「食材の買い出し時間、材料費、調理時間、出来栄えなどの家庭的な面を重視した、加点減点方式になる」

「えっと……一斉に作るにしても場所がないですよ?」

「道場に簡易キッチンをセッティングするから大丈夫! ちゃんとお祖母ちゃんの許可も取ってるからね!」

「そ、そうなんだ」


 人数分の長テーブル、ガスコンロ、調理道具一式がセッティングされ簡易キッチンが完成。

 水洗い場や家電はキッチンのを使うそうで、洗い物は少し大変になりそうだ。


「それでは家庭魅力、スタートです」


 時貞さんのスタートで、一斉に道場を飛び出して行った。

 買い出しと調理も合わせたら、しばらく時間が掛かりそうだ。

 時間の有効活用で、時貞さんに柔軟運動をサポートしながら待つ事にした。


 ♢♢♢♢


 スタートから1時間半。

 皆の得意料理が完成した。

 クリームシチュー、卵焼き、肉じゃが、温玉シーザーサラダ、チーズハンバーグ、寿司、オムライス。

 大テーブルに並ぶ個性豊かな7品に、お腹が声を上げてる。


「さぁ洋君。私達は静かに見守るから、心行くまで堪能してくれ」


 どれから手を付けるかも、食べる姿も、全部見られるのは流石に食べ辛い。

 それに丹精込めてくれた料理を、僕1人で先に食べるなんて、いくら順位付けでも申し訳ない。


「あ、あのー……順位付けもするんで、一緒に食べませんか?」

「折角の大人数だもんね! 皆で食べた方が美味しさ倍増だもんね! よーし! 洋の隣に座っちゃおう!」

「「「「「あ!」」」」」

「oh! では私は反対側に座りますね!」

「「「「「あぁああああ!?」」」」」


 両サイドを狙いに皆が一気に押し寄せ、もみくちゃに。

 最終的に交代交代で落ち着いた。


 それからの家庭魅力は、仲睦まじい食事とあーんの連続で、賑やかで楽しいものになった。

 肝心の順位は、1位芽白さんの卵焼き。

 2位肉じゃがのひーちゃん。

 3位オムライスの宇津姉、という結果に。


 最終的な総合順位は、堂々の1位オリヴィアさん。

 2位芽白さん。

 3位宵絵さん。

 峰子さん、千佳さん、宇津姉、ひーちゃんとなった。


 決意表明が完了しても、これからの事はまだまだなんだ。

 それでも今日というは、なんだかんだでいい思い出になった。

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