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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
13章 買い出しと1on1お料理教室
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85話 何でも知ってるコミュマスター、小脇詰み、お胸様の揉み確認、3人のプレゼント選び

 たこ焼き事変後、老舗百貨店東庭ハンドにやって来た。

 衣食住品、ペットショップ、ゲームセンターなどなど。

 老若男女に愛され続けてる、地元の憩い場だと愛実さんが道すがら教えてくれた。


 そんな東庭ハンドで、愛実さんの誕生日プレゼント選びを達成するつもりだ。


「愛実さん。誕生日プレゼントなんだけど、何か欲しいものある?」

「んー普通に積っちが選んだ物がいいんだけど」

「んじゃ、予算3000円以内! 消え物じゃない! これが絶対条件な! 1階の休憩スペースに1時間後集合! 解散! やっぴー!」

「い、行っちゃいまし……呉橋さんもいない」


 うだうだ悩む暇よりも行動だ。


 まず足を運んだのは2階の衣類エリア。

 女の子と言えば服。

 なんて安直な考えで来たものの、大事な事を今更になって思い出してた。


 男が1人、女性ものの服屋さんに足を踏み入れるのは、無理ゲーだと。

 いつもなら姉さんや空の同伴で、多少抵抗こそあるも入れたには入れた。

 今回に限っては孤独な戦場だ。


 ひよってる今も時間が刻々と迫ってるんだ。

 覚悟を決め、レディースブランドのお店に踏み出そうとした時、ポンと肩に手を置かれた。


「おやおや♪ 随分とお困りだね♪ 積木君♪」

「る、瑠衣さん!」


 夏祭り振りの瑠衣さんは、国内旅行すると聞いてたのに、いつの間にか帰って来てたんだ。


 ここで会ったのも縁だ、瑠衣さん程の心強い味方はいない。


「あの! 瑠衣さん! 折言ってお願いがあるんだけど、いいかな!」

「ははーん♪ さては~……愛実ちゃんの誕プレ服選び……かな?」

「よ、よく分かったね」

「瑠衣ちゃんは何でも知ってるのです♪ って事で、協力しちゃうよ♪」

「あ、ありがとう!」

「いいのいいの♪ 2人の誕生日に何もしてあげられなかったから、その代わりって事で♪」


 協力してくれる代わりに、あとで美味しい食べ物でも奢ろう。


「ここにいたのね瑠衣ちゃん。あら、積木君もいたのね」

「お、マジじゃん! 夏祭りぶり!」

「長平さん! ありすさん!」


 顔馴染みの2人にも会えるなんて、今日だけは詰み体質に感謝だ。

 瑠衣さんが事情説明してくれ、2人も快く了承。

 愛実さん理論なら、2人なら2倍、3人なら3倍心強くなる訳だ。


「ところで3人はどうしてここに?」

「泊まり込みで、ありすちゃんの夏休みの課題を見てあげてたのよ」

「でも、頭がパンク寸前で、息抜きにがてらに来たんだよ♪」

「積木は課題終わらせたのか?」

「うん。お盆前にいつも終わらせるって決めてるんだ」


 夏休みの課題は復習の一環だ。

 普段予習復習をやってる身からすれば、何ら苦もない。


「計画的ね。いいと思うわ」

「ありすちゃんも積木君を見習おうー!」

「んな事言われても、部活で忙しんだよ」


 夏場になると活動真っ盛りな水泳部なんだ。

 夏休みも惜しんで励んでるなら、それはそれで素晴らしいと思う。

 その証拠にありすさんのオフショルトップスから、健康的な日焼け跡がハッキリくっきりと顔を出してる。


「それだけ何かに夢中になれたり、努力出来たりする方が僕は凄いと思ってるよ」

「つ、積木……今すぐ撫でさせてくれ!」

「ほわちょ?!」


 強引に頭を小脇にホールドされ、わしゃわしゃと撫でられてる。



「撫でて分かったけどよ、犬を愛でたくなる気持ちが分かったわ!」

「ほぅ。私も経験しようかしら」

「なら私も♪」

「ちょ、ちょっと待って! 時間が無いんだよ?!」

「「撫でる時間はあるわ、よ♪」」

「わぁあああああ!?」


 それから数分間、3人が満足するまで小脇ホールドの頭撫でが続いた。

 

 ♢♢♢♢


「わ! これ大きく見えるって♪」

「確実に寄せて盛れる方が、形補正にもいいわ」

「愛実ってギリBだったか?」


 服屋さんに行く流れが、何故かどうしてかランジェリーショップになってしまった。

 女性の禁域に、男が踏み込めないのに、1対3じゃ抵抗すらさせて貰えなかった。

 協力は悪手だったのかもしれない。


「私もそろそろ買い替え時なのよね」

「てか、またデカくなったんじゃね? 積木もそう思わん?」

「え?! ぼ、僕に聞く?」

「折角だから、当てて貰おうかしら」


 目の前に立った長平さんが、ノースリーブタンクトップに支えられた、特大級の胸をドンと主張。

 大きさに比例する驚愕の破壊力は、林間学校で体験済みでも、慣れないものは慣れない。


「見てるだけじゃ分からんか」

「だったら、ありすちゃんが揉み確認すればいいんだよ♪」

「お、それだ! それっ!」

「んぁっ!」


 手の平じゃ収まりきれない胸が、指の動きに抗えず柔らかく形を変えてる。

 長平さんも無表情から一変。

 艶かしい吐息と色っぽい顔で、ピクピクと反応してる。


 一体何を見せられてるのか正直分からないけど、これだけは言いたい。


「こんな事してる場合じゃないんですけど?!」

「「「正論! ね、だね♪」」」


 結局、長平さんのお胸情報しか収集がなく、そもそも服のプレゼントは難易度が高すぎると、気付くのに遅過ぎた僕がいた。


 ♢♢♢♢


「プレゼントと言えば小物雑貨だよね♪」

「お財布にも優しいものね」

「月のライトスタンドだって! これにしねぇ?」


 ランジェリーショップでの時間ロスがあったものの、小物雑貨店に移動してきた。

 協力を頼んだものの、初めからここに来れば良かったと思ってる。


「積木君♪ これなんかいいんじゃない?」


 大々的に宣伝されてる売れ筋商品の小物入れだ。

 モダン且つオブジェのワンアクセントとしても効果を発揮する、お洒落なものだ。

 お値段は4000円、残念ながら予算条件外だ。


「良いと思うけど、予算がダメだね」

「ありゃ~残念♪ 自分用に買っちゃおう♪」


 嬉しそうに猫型の小物入れを、お会計しに行った瑠衣さん。

 一番高い小物入れを即買いとは、大人でも中々にやれない。


「積木君。いいのがあったわ」

「マグカップ! でも、なんで2個も?」

「ペアマグカップだもの。こう合わせれば……ハートになるのよ」


 持ち手部分を合わせると、見事なハートが完成。

 これを買いなさいと言わんばかりに、長平さんから圧力を感じる。


 愛実さんが喜んでくれるのならまだしも、一空回りで終われば、マグカップを見る度に落ち込める自信がある。


「ぺ、ペアは大丈夫かな?」

「……積木君がそうなら、止めておくわ」


 残念空気をチラッと見せ、マグカップを戻しに向かう長平さん。

 毎度毎度おちょくられたり翻弄されても、何だかんだで気を遣って味方になってくれてる。

 長平さんにもしもの時があっても、味方でいるつもりだ。


「積木積木! マジでめっちゃオススメなの見っけた!」

「おぉ! え、えーっと……究極自動TKG……?」

「しかもワンタッチ! 卵かけご飯ってみんな好きだろ?」


 面白系プレゼントなのに、ありすさんの純真無垢な眼差しで断り辛い。

 何回か使えば物置行きだ。

 

「準備とか諸々含めたら、普通に食べた方がいいんじゃないかな?」

「それもそっか! 別なもん探してくるわ!」


 持ち前の明るさとポジティブで、次に臆せず進めるありすさん。

 ちょっと素直過ぎて抜けてる所も、沢山の人を笑顔にさせて愛されてる。

 僕もそんな中の1人だ。


 それからも色々勧められるも、どうもピンと来なかった。

 残すところ10分を切り、焦りがどんどん増してる。


 悩みに悩むしかない中、小物雑貨店の向かい側で、燦然と輝く物が目に留まり、自然と手に取っていた。


「ねぇ皆。これってどうかな?」

「ほほーん♪ 愛実ちゃんなら喜びそうだね♪」

「プレゼントとしても受け取り易いわね」

「値段も予算内じゃん! これしかないっしょ!」


 3人のお墨付きも頂けたんだ。

 早速お会計を済ませよう。

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