表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
11章 お盆だよ!全員集合!
69/131

☆69話 マイペース従姉、マシュマロボディ従姉、最後の従姉、170cmのFカップ、ご褒美の膝枕

※2023/7/30文末に積木育子のイラストを追加しました!

※イラストが苦手な方はスルーで!

 リビングに入って早々に出迎えてくれたのは、蜜葉のロケットタックルだった。

 ただ、いる場所さえ分かってれば、蜜葉の奇襲はそこまで怖いものじゃない。


 突っ込んで来る形の良い頭をガシッと、手で受け止めれば、無力化したも同然なんだから。


「と、止めやがったなぁ!これでも食らえ!」


 反撃のぐるぐるパンチも、勿論想定の範疇。

 受け止めてる頭から手を離さず、僕が少し後退すれば、一切当たらないんだ。


 蜜葉は僕が後退してるのに気付かず、無我夢中で両腕をブンブン回し、1分後には息を荒立てて、お疲れモードに入った。


「ぜぇ……ぜぇ……な、なんでメガトン蜜葉スペシャルぐるぽんが……き、効かないんだ……ハァハァ……」

「いつか届くよ……蜜っちゃん。だから、今は休憩しよ……?」

「ハッ!だな! 婆ちゃーん!蜜葉!リンゴジュース飲むぅ!」


 吉穂のナイスフォローで、リビングと繋がってる台所に、爆走してった蜜葉と、強引に連れられた吉穂。


 このまま小休憩モードになれば、蜜葉は落ち着くだろうし、台所にいれば味見やら、料理光景に夢中になる筈だ。


 今の内に体力温存と、仏壇でお参りしないとだけど、待ってるはずの空とか、他の従姉妹達の姿が未だに見当たらないや。


 仏間に行きながら、縁側の方にも視線を向けてたら、不意に僕の名前を呼ばれた。


「あ~おかえり~洋くん」

「ん? って、日和(ひより)ちゃん。寝てたの?」

「そだよ~空ちゃんとね~」


 仏間の死角で、だらーんと寝そべりながら話すのは、従姉の積木(つみき)日和(ひより)ちゃん高校3年生だ。

 寝る事が大好きな、おっとりマイペースを崩さない、ある意味掴み所のない人でもある。


 黒髪セミショートをシュシュで纏め、抜群なスタイルでオフショルワンピを着こなし、姉さんと雰囲気が似てる。


 そんな日和ちゃんの隣に、空が可愛い寝息を立てているのが、やっと確認できた。

 元々朝に弱いのに、始発での長距離移動でずっと起きてたんだから、寝ちゃうのも無理ないかな。


「お参りするの~?」

「あ、うん。起こしちゃってごめんね?」

「気にしないでよぉ~スヤァ……」

「……ね、寝た……」


 昔から寝姿を見る方が多かったし、然程驚きはしないけど、日和ちゃんの寝るスピードは誰にも負けないと思う。

 2人の寝姿を横目に、仏壇の前でお参りを済ませ、ようやくリラックスモードになれた。


「ふぅ……文乃(ふみの)ちゃんと莉緒奈(りおな)ちゃん、見当たらないな……」


 一個上の従姉2人の姿が、未だに見えないのが、どうにも腑に落ちないんだ。

 わざわざ文乃ちゃんの部屋を訪ねるのも変だし、虎二郎伯父さんが帰って来るの待たないとだから、大人しくリビングにいた方がいいや。


 日和ちゃんと空の寝邪魔しないよう、リビングに戻ったら、さっきまで誰も居なかったソファーに、湯気をモンモン昇らせてる文乃ちゃんが座ってた。


文乃(ふみの)ちゃん、いつの間に?」

「つ、ついさっきだ。しょ、正月振りだな!」


 強気な割りに身体の小さい、従姉の積木(つみき)文乃(ふみの)ちゃん高校2年生だ。

 癖っ毛黒髪ショートと、小さいのにマシュマロボディなタンクトップ姿が相まって、かなりボーイッシュな感じだ。

 暑がりで冬場も薄着が多く、肌露出もかなり多い方だ。


 妹の蜜葉がやんちゃなのも、文乃ちゃんの影響が結構大きいんだ。


「ほ、ほら隣座れよ」

「あ、そうだね」


 隣に座って尚分かる、ギリギリ150cmあるかないかの小ささは、空とどんぐりの背比べだ。

 ただ唯一差があるとすれば、空の方が向こう側の景色が見え易い所かな。

 本人の前じゃ、絶対に言えない事だから、心の内にしまい込んでいる。


 言わずの誓いを改めてる内に、文乃ちゃんがスススと距離を縮め、ぷるんぷるん揺れる胸を一瞬見てしまった。

 身長差がある分、目を合わせる時に、チラっと谷間も視界に入ってくるから、どうすればいいんだろう。


 年々増す悩ましいコミュニケーションは、吹っ切れないとダメなんだろうけど、中々に難しいや。


 肌露出の視認免疫を得たいと、強く思っていたら、もじもじとする文乃ちゃんから、いつでも嗅いでられる良い匂いがした。


 いつもと明らかに違う匂いを、言葉にするべきなんだと分かってる。

 以前、空がシャンプーを変えた時に、ちゃんと言葉にして気付いたと言ったら、喜んでくれたからだ。


 思い出させてくれた空を見習って、文乃ちゃんに言わせて頂こう。


「ねぇ文乃ちゃん」

「な、なんだ?」

「良い匂いするけど……もしかしてお風呂上がり?」

「! さ、流石だな! 洋! 大正解だ! か、嗅いでいいぞ?」


 薄手の胸元をパタパタ仰がせ、お風呂上がりの香りがより濃厚に鼻を擽って来る。

 文乃ちゃんは昔から、目のやり場に困る部位に、視線誘導しがちだから、もう少し控えて貰った方が、僕としては助かるんだけどね。


 でも、毎度毎度文乃ちゃん自身も顔を赤らめて、やけに恥ずかしがってるし、やる必要性が僕には全く分からないんだ。


「ど、どうだ? も、もっと近くで嗅いでみるか?」

「あ、い、いや……大丈」


 最後まで言う前に、扉の開く音に意識が向き、スラっと手足の長い高身長のシルエットが視界に入った。


「あ、莉緒奈ちゃん」


 一つ上の従姉、積木つみき莉緒奈りおなちゃん高校2年生、最後の従姉妹だ。

 サラサラな黒の長髪、黒ハイウエストスキニーが脚の長さを際立たせ、グリーンのブラウスで爽やかさを出してる。

 性格は父親の一龍伯父さんに似て、冷静沈着で物腰が柔らかいのだけど、文乃ちゃんが同じ場にいるとそうじゃなくなるんだ。


 実際、僕らを見た莉緒奈ちゃんから、苛立ち空気が湯水の如く溢れ、睨みを利かせながら接近してきてる。


「……洋。私のいない間に、変な事されてない?」

「な、何も?」

「おい! 前提でおかしいだろがぁ!」


 烈火の如く怒りと一緒に、勢い良く立ち上がる文乃ちゃんと、莉緒奈ちゃんの超近距離睨み合いが始まってしまった。

 子供と大人のような30cm以上の身長差に、横から分かる頂と平野とも呼べる胸囲の格差が、明確になってる。


「何か言った? チビ脂肪の文乃ちゃん」

「あぁ? のっぽまな板が」

「ま、まぁ2人とも落ち着いて……」


 僕が横槍入れたところで、全然聞く耳立ててくれないのが、いつものパターンだ。

 時間経過で自然と治まるけど、年々その時間が長くなりつつあるし、見てるだけで冷や冷やものなんだ。


 ただただ見守るしかない状況の中、2人の間からぬるりと救世主が現れた。


「にゃ~にゃ~2人とも~仲良くだよ~」


 マイペース女子の日和ちゃんだ。

 自らがぬるりと割り込む事で、2人の物理的距離を離し、睨み合いを強制終了させた。


 完全に2人のピリついた空気が晴れ、日和ちゃんのほのぼの空気に一瞬で取り込まれてる。

 流石としか言いようがない日和ちゃんに、2人は日和ちゃんの体をじーっと見つめてた。


「……Fカップで」

「……170以上の高身長」

「「日和姉(ひよねえ)には敵わない……」」


「あはは~わたしの勝ち~でいいのかな~?」


 文乃ちゃんと莉緒奈ちゃんをバランスよく合わせた姿は、確かに日和ちゃんになるかもしれない。

 2人がガックリと肩を落とす一方、脱力感溢れる勝利ポーズで胸をゆっさり揺らす日和ちゃん。


 何だかんだでいつも助けて貰ってるし、頼れる従姉だ。


「って事で~勝ったわたし自身に、ご褒美だね~」


 ソファーにポスンと座り、ニコニコ笑顔を僕に向けつつ、太ももをポンポン叩いてる。

 何だか嫌な予感が、背中の汗と一緒に伝う中、日和ちゃんのご褒美内容が発表された。


「ご褒美は~洋くんに膝枕する事で~す~」

「「ず、ズルい!?」」


 2人の息ピッタリな反応を他所に、僕だけを見つめ続けてる日和ちゃんは、このままだと引き下がらない。

 前にも、あーんをしたいから、ずーっと口横で待機してた事があるぐらいだ。

 お風呂の時も、背中を流したいって理由で、脱衣所でバスタオル一枚姿で待機されたりしてるんだ。


 今回の膝枕も逃げられないだろうから、せめて僕を選んだ理由わけを聞いてみたい。


「な、なんで膝枕なの?」

「わたしって、冷え性でしょ~? だから、洋くんが湯たんぽ代わり~」

「で、でも文乃ちゃん達の方が、体温は高いけど……」

「2人は熱すぎるから~丁度良い、洋くんがいいの~」


 断るのにも困る、絶妙な理由と人選も、日和ちゃんならではの計算に違いない。

 文乃ちゃん達の反対圧が凄まじいけど、この場を治めるには膝枕されるしかないんだ。


 2つの鋭い重圧を感じながら、日和ちゃんのひんやりスベスベな太ももへと、頭をそっと乗せた。


「ぬくぬく~気持ちいいよぉ~」

「「ぬぐぐぐ……」」


 暑がりな2人から、熱気がムンムン放たれ、可愛らしい顔が毎秒険しくなってる。

 蜜葉でも誰でもいいから、早くリビングに来て欲しい、そんな僕の思いとは裏腹に日和ちゃんは、頭にポンと手を乗せてきた。


「ついでに撫で撫で~」

「「ぎぎぎぃい……」」


 じわじわとご満悦になる日和ちゃん、阿修羅になりつつある文乃ちゃんと莉緒奈ちゃん。

 やっぱり従姉妹達と再会すると、ただ事じゃ済まないんだと、身に染みて改めさせられた昼前だった。


 リビングで早々に出迎えてくれたのは、蜜葉のロケットタックルだった。

 ただ、いる場所さえ分かってれば、蜜葉の奇襲はそこまで怖いものじゃない。


 突っ込んで来る形の良い頭をガシッと、手で受け止めれば、無力化したも同然なんだ。


「と、止めやがったなぁ! これでも食らえ!」


 反撃のぐるぐるパンチも想定の範疇。

 頭から手を離さず、少し後退すれば一切当たらない。


 蜜葉は僕が後退してるのに気付かず、無我夢中で両腕をブンブン回し、1分後には息を荒立てて、お疲れモードになった。


「ぜぇ……ぜぇ……な、なんでメガトン蜜葉スペシャルぐるぽんが……き、効かないんだ……ハァハァ……」

「いつか届くよ……蜜っちゃん。だから、今は休憩しよ……?」

「ハッ! だな! 婆ちゃーん! 蜜葉! リンゴジュース飲むぅ!」


 吉穂のフォローで、リビングと繋がってる台所に爆走する蜜葉と、強引に連れられる吉穂。


 このまま小休憩に入れば蜜葉は落ち着くだろうし、台所にいれば味見やら、料理光景に夢中になる筈だ。


 今の内に体力温存と、仏壇でお参りしないとだけど、待ってるはずの空とか、他の従姉妹達の姿が未だに見当たらなかった。


 一先ず仏間に足を向け、縁側の方にも視線を向けると、不意に名前を呼ばれた。


「あ~おかえり~洋くん」

「ん? って、日和(ひより)ちゃん。寝てたの?」

「そだよ~空ちゃんとね~」


 仏間の死角で、だらーんと寝そべって話す、従姉の積木(つみき)日和(ひより)ちゃん高校3年生。

 寝る事が大好きな、おっとりマイペースを崩さない、ある意味掴み所のない人だ。


 黒髪セミロングをシュシュで纏め、抜群なスタイルでオフショルワンピを着こなし、姉さんと雰囲気が似てる。


 そんな日和ちゃんの隣に、空が可愛い寝息を立ててた。

 朝が弱いのに始発で長距離移動だったんだ。

 寝ちゃうのも無理ない。


「お参りするの~?」

「あ、うん。起こしちゃってごめんね?」

「気にしないでよぉ~スヤァ……」

「……ね、寝た……」


 昔から寝姿を見る方が多かったし、然程驚きはしないけど、日和ちゃんの寝るスピードは誰にも負けないと思う。

 2人の寝姿を横目に、仏壇のお参りを済ませ、ようやくリラックスモードになれた。


「ふぅ……それにしても……文乃(ふみの)ちゃんと莉緒奈(りおな)ちゃん、見当たらないな……」


 一個上の従姉2人の姿が、未だに見えない。

 わざわざ文乃ちゃんの部屋を訪ねるのも変だし、虎二郎伯父さんが帰って来るの待たないとだから、大人しくリビングにいた方がいい。


 静かにリビングに戻ると、ソファーに湯気をモンモン昇らせてる文乃ちゃんが座ってた。


文乃(ふみの)ちゃん、いつの間に?」

「つ、ついさっきだ。しょ、正月振りだな!」


 強気な割りに身体の小さい、従姉の積木(つみき)文乃(ふみの)ちゃん高校2年生。

 癖っ毛黒髪ショート、小さいのにマシュマロボディのタンクトップ姿は、桃夏さんを彷彿させる。

 暑がりで冬場でも薄着が多く、肌露出もかなり多い方だ。

 妹の蜜葉がやんちゃなのも、文乃ちゃんの影響が結構大きいんだ。


「ほ、ほら隣座れよ」

「あ、そうだね」


 隣に座って尚分かる、150cmあるかないかの小ささは、空とどんぐりの背比べだ。

 唯一差があるとすれば、横からの景色の見易さだ。

 本人の前じゃ、絶対に言えないから心の内にしまい込んでる。


 文乃ちゃんがスススと距離を縮め、ぷるんぷるん揺れる胸を一瞬見てしまった。

 身長差がある分、チラっと谷間も視界に入ってしまうんだ。

 年々増す悩ましいコミュニケーションは、吹っ切れないとダメなんだろうけど、中々に難しい。


 そんな文乃ちゃんがモジモジする中、いつでも嗅いでられる良い匂いがした。

 以前、空がシャンプーを変えた時に、気付いたと言ったら喜んでくれたんだ。

 当時の教訓を見習って、文乃ちゃんに言わせて貰おう。


「ねぇ文乃ちゃん」

「な、なんだ?」

「良い匂いするけど……もしかしてお風呂上がり?」

「! さ、流石だな! 洋! 大正解だ! か、嗅いでいいぞ?」


 薄手の胸元をパタパタ仰がせ、お風呂上がりの香りがより濃厚に鼻を擽って来る。

 文乃ちゃんは昔から目のやり場に困る部位に視線誘導しがちで、もう少し控えて貰った方が助かる。


 その割に毎度毎度文乃ちゃん自身も顔を赤らめ、やけに恥ずかしがって、やる必要性が全く分からないんだ。


「ど、どうだ? も、もっと近くで嗅いでみるか?」

「あ、い、いや……大丈」


 最後まで言う前に、扉の開く音に意識が向き、スラっと手足の長い高身長のシルエットが視界に入った。


「あ、莉緒奈ちゃん」


 一つ上の従姉、積木(つみき)莉緒奈(りおな)ちゃん高校2年生、最後の従姉妹だ。

 サラサラな黒の長髪、黒ハイウエストスキニーが脚の長さを際立たせ、グリーンのブラウスで爽やかさを出してる。

 父親の一龍伯父さんに似て、冷静沈着で物腰が柔らかいものの、文乃ちゃんが同じ場にいるとそうでなくなる。


「……洋。私のいない間に、変な事されてない?」

「な、何も?」

「おい! 前提でおかしいだろがぁ!」


 怒りを提げ勢い良く立ち上がる文乃ちゃんと、莉緒奈ちゃんの超近距離睨み合いが始まった。

 30cm以上の身長差に、横から分かる頂と平野とも呼べる胸囲の格差が明確だ。


「何か言った? チビ脂肪の文乃ちゃん」

「あぁ? のっぽまな板が」

「ま、まぁ2人とも落ち着いて……」


 横槍入れても全然聞く耳立ててくれないのが、いつものパターンだ。

 時間経過で自然と治まるけど、年々その時間が長くなってる傾向だ。

 だから見てるだけで冷や冷やものなんだ。

 ただただ見守るしかない状況の中、2人の間からぬるりと救世主が現れた。


「にゃ~にゃ~2人とも~仲良くだよ~」


 マイペース女子の日和ちゃんだ。

 自らがぬるりと割り込む事で、2人の物理的距離を離し、睨み合いを強制終了。

 ピリついた空気が晴れ、日和ちゃんのほのぼの空気に取り込まれてる。

 流石としか言いようがない日和ちゃんに、2人は日和ちゃんの体をじーっと見つめてた。


「……Fカップで」

「……170以上の高身長」

「「日和姉(ひよねえ)には敵わない……」」

「あはは~わたしの勝ち~でいいのかな~?」


 文乃ちゃんと莉緒奈ちゃんのいいとこ取りした姿は、確かに日和ちゃんになるかもしれない。

 2人がガックリと肩を落とす一方、脱力感溢れる勝利ポーズで胸をゆっさり揺らす日和ちゃん。

 何だかんだでいつも助けてくれる、頼れる従姉だ。


「って事で~勝ったわたし自身に、ご褒美だね~」


 ソファーに座りニコニコ笑顔を僕に向け、太ももをポンポン叩いてる。

 何だか嫌な予感が、背中の汗と一緒に伝う中、日和ちゃんのご褒美内容が発表された。


「ご褒美は~洋くんに膝枕する事で~す~」

「「ず、ズルい!?」」


 2人の息ピッタリな反応を他所に、僕だけを見つめ続けてる日和ちゃん。

 前にも、あーんをしたいから、ずーっと口横で待機された事があるぐらいだ。

 お風呂の時も背中を流したいって理由で、脱衣所でバスタオル一枚姿で待機されたりした過去がある。


 今回の膝枕もやるまで引き下がらない筈だ。

 せめて僕を選んだ理由(わけ)を聞いてみたい。


「な、なんで膝枕なの?」

「わたしって冷え性でしょ~? だから、洋くんが湯たんぽ代わり~」

「で、でも文乃ちゃん達の方が体温は高いけど……」

「2人は熱すぎるから~丁度良い洋くんがいいの~」


 絶妙な理由と人選も、日和ちゃんならではの計算だ。

 文乃ちゃん達の反対圧が凄まじい中、この場を治めるのに日和ちゃんのひんやりスベスベな太ももへと、頭をそっと乗せた。


「ぬくぬく~気持ちいいよぉ~」

「「ぬぐぐぐ……」」


 暑がりな2人から熱気がムンムン放たれ、可愛らしい顔が毎秒険しくなってる。

 蜜葉でも誰でもいいから、早くリビングに来て欲しい。

 そんな思いとは裏腹に、日和ちゃんは頭にポンと手を乗せてきた。


「ついでに撫で撫で~」

「「ぎぎぎぃい……」」


 じわじわとご満悦になる日和ちゃん。

 阿修羅になりつつある文乃ちゃんと莉緒奈ちゃん。

 やっぱり従姉妹達と再会すると、ただ事じゃ済まないんだと、身に染みて改めさせられる昼前だった。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ