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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
2章 不幸な財閥令嬢
6/131

6話 積木家姉妹の朝、魅力的な席決めじゃんけん、林間学校後の美しき女性陣、微笑む美女達

 渚さんとのデートから翌日、いつも通りの高校生活が戻ってきた。

 身支度を済ませ、一階リビングに行けば、食欲唆る匂いが待っている。


「おはよう姉さん。味噌汁のいい香りがするね」

「おはよう、洋。今日はお出汁からやってみたの」


 積木家の長女(あお)姉さん、進学校に通う高校3年生だ。

 大体のことは何でも出来る万能人間。

 容姿端麗、成績優秀、料理上手、まず右に出る者はいない。


「おはろ……お姉ちゃん、お兄ちゃん……ふぁ……」

「おはよう、(そら)。もう朝ご飯できてるわよ」

「夜更かし?」

「うん……ご飯食べたら大丈夫ぅ……」


 ポケポケと眠たそうな積木家の次女、(そら)中学2年生。

 小動物系で可愛いらしい、元気で明るい皆から愛される妹だ。


 両親は長期出張で数ヶ月前から不在だ。

 一応、お盆に父さんの実家で帰省する時に、会える予定だ。


 美味しい朝食中、パッチリと目覚めた空がハッと何か思い出してた。


「あ、そうだ、お姉ちゃん。昨日夜中にシュークリーム食べたでしょ」

「……ちょっとお腹が空いて起きちゃったのよ」

「もう……食べた後、寝る前に歯磨きしたの?」

「あ」

「……虫歯になっても知らないよ」

「うぅ……」


 見た目に反し空の方がしっかり者だ。

 家計のやりくりも掃除も得意。

 料理が壊滅的な以外、主婦力自体は物凄く高い。


 姉さんは理想の姉像と周りから認知され、少し抜けてる面をフォローするのが弟妹の役目だ。


 幸せ満腹な朝食後、2人に見送られ玄関外に出ると、霞さんがインターフォン前で迷ってた。


「おはようございます、霞さん」

「ひょ!? よ、よぉ積木ーぉはー」


 仄かに赤らんだ顔を背け、咳払い一つし、何事もなく挨拶を返してきた。

 

 最寄り駅までの10分間、何気ない会話で時間を潰すのが日課だ。


「昨日は愛実さんの家に遊びに行ったんでしたね」

「混ざりたかったかー?」

「う、うーん……ま、混ざりたかったかもです」

「正直者めーこのこのぉー」


 肘でグイグイとニヤニヤするのが、基本アクションだ。

 他にも肩を組んだり、ペシペシ背中を叩いたり、お尻や胸を軽く押し当てる時もある。

 

 蒸し暑い外と違い、冷房の効いた電車内は快適そのもの。

 時間帯もあって人は多く、気持ち半分涼めてる中、隣町の停車駅で乗り込んで来た美少女に、心臓が自然と高鳴ってた。


「おはろー! (つみ)っち! カスミン!」

「お、おはようございます。愛実さん」

「ハローいつも通り、朝っぱらから元気だなー」

「それが取り柄だからな!」


 彼女こそ初恋の相手、瓦子愛実さん。

 こんがり焼けた小麦肌に、控えめでしなやかな体。

 暑さを吹き飛ばす元気で明るい性格が、とにかく眩しい。


 隣に座ると毎回肩と腕の触れ、恋心が芽生えた今はもう、ドキドキが振り切れそうだ。


「ん? どした積っち? 顔赤いぞ?」

「へ!? きょ、今日は一段と暑いからじゃないですかね?」

「昨日より涼しいぞー」


 初恋熱を誤魔化しても、口を挟まれれば無意味。

 愛実さんもニヤリと察し、美脚も触れてきた。


 意識が左半身に向き、魅了され早数分、停車駅で乗り込んで来たギャル2人が現れた。


「おはよ、みんな」

「おはろす~♪ 一年生ズ~♪」


 西女子(にしじょし)校2年生、クール美女の 白石(しらいし)千佳(ちか)さん。

 小悪魔美女の(はら)真里(まり)さん。

 詰み体質がキッカケで、仲良くして貰ってる優しい他校の先輩達だ。

 2人とも夏服を着崩し、露出も多く、スタイルも抜群で毎度目のやり場には困る。


「ほんじゃ~今日も席替えじゃんけんしよっか~」

「おぉー! 死守してやんよー! な! 積っち!」

「へ? う、うん」

「うっし……ぜってー勝つわー」

「みんな、負け惜しみは無しだよ」


 合流後に席替えジャンケンしようと言い出したのは真里さんだ。

 思いが籠ったじゃんけんの結果、僕が千佳さんと真里さんに挟まれる形になった。

 目の前に立つ愛実さんはにこやかながらも、自分の太ももをねじ切れる勢いで抓ってる。


「1年生君、林間学校楽しかった?」

「お姉さん達に教えてぇ〜?」


 積極性なら誰にも負けない、場所関係なしのギャル密着は本当に危険だ。

 元々開いてる胸元を更に見せ、両腕を谷間で挟み込もうとしてる。

 抵抗しようにも密着され過ぎて、身動きが取れない。


♢♢♢♢


 また放課後ね、と先に降りた千佳さん達を見送った後、愛実さんと霞さんに再び挟まれてる。

 ホッと心落ち着くのは、やっぱり愛実さんなんだって実感してる。


 北高の最寄り駅に着き、校舎までの一本道を歩き数分。

 正門を過ぎた所で、誰かに肩を組まれた。


「よぉよぉ! 積木ー! 伊鼠中さん! はよーさん!」

「はろー」

「あ、赤鳥(あかとり)君。びっくりしたな……」

「まぁまぁ! いちいち気にしてちゃ、人生損だぜ?」


 数少ない男子生徒のクラスメイト、赤鳥(あかとり)大地(だいち)君。

 赤い前髪を上げたトサカに見えるから、女子達からしばしばニワトリと呼ばれてる。

 林間学校のお陰で、結構仲良くなれてる。


「おいクソ鳥。私には挨拶無しか?」

「あ、地面が喋ってぶふぇ!?」

「誰がバストフラットだ!」


 渾身の蹴りを喰らわせた愛実さんと赤鳥君は、同じ中学で因縁の仲だ。

 

 地面で伸びる赤鳥君を無視し、プンスカ怒り去る愛実さん。

 基本胸関連の話はアウトだから、赤鳥君の二の舞にならない様気を付けてる。


 1-Bの教室に着くと、クラスメイトの大半が登校して、予鈴まで各々自由に過ごしてる。

 林間学校明けもあり、半数はふわふわと心ここに在らずな雰囲気だ。


「お! ()っちゃん! はよー!」

「んー朝っぱらから抱き着くな、愛実」

「むぅえ」


 小柄な眼鏡女子の来亥(くるい)六華(りっか)さんに、手で顔を退けられてる。

 漫画家の卵で、日々漫画の情景収集に目を光らせ、微力ながら協力してる。


 ブーブー文句を垂れ抱き着きをやめない愛実さんを、脳天チョップで追い払おうと必死だ。

 

「おはよう皆♪ 振替休日はゆっくり休めた?」


 黒髪ポニテのコミュニケーションマスターこと、竹塔(たけとう)瑠衣(るい)さん。

 いつもニコニコでパーフェクトポジティブ。

 メリハリある体をウキウキと揺れ動かす、見てるだけで元気を貰える人だ。


「おは竹つん! カスミンを家に招待して、色々やってたわ!」

「バチバチに楽しかったわー今度はあーしんちでやろうなー」

「うぅー! いいないいなー! 私も混ざっていい?」

「おぅーいいぞー六華も来るかー?」

「暇だったらな」


 仲睦まじい光景に和んでると、キビキビとした足音の女子生徒がやって来た。


「浮かれてる場合ですか? 期末テストで赤点があれば、夏休み補修ですよ?」

「委員長も混ざりたいのか―? 素直になればいいのに―」

「ち、違います! ちゃんと話を聞いてましたか!?」


 堅物委員長こと、神流崎(かんなざき)夕季(ゆうき)さん。

 真面目で気難しい性格で、ちょっと苦手意識があった。

 ピュアな一面や不器用さや、霞さんに翻弄される姿を知って、かなり接し易くはなった。


「皆おはよう。今日は暑いな」

「よぉ、峰子(みねこ)。昨日送ったネーム、どうだった?」

「キャラの個性はあったが、もっとセリフ量を簡略化した方が読み易いな」

「六華ちゃんと峰子さんは、相変わらずいいチームだね♪」


 姉御肌美女の義刃(ぎば)峰子(みねこ)さん。

 頭1つ分大きい高身長のグラマーボディーで、綺麗な赤い長髪が似合う美人過ぎる人だ。 

 女子人気が凄まじく、ファンクラブも存在してる。


「あら、皆勢揃いね」

「オッスー! 今日も1日頑張ろうぜー!」


 服飾部のミステリアス系美女の(たき)長平(ながひら)さん。

 水泳部の体育会系美女 の風渡(かぜわたり)ありすさん。


 滝さんは常に表情を変えず言葉も淡々。

 お茶目で時には大胆な行動を取る人だ。

 かなりの長身で峰子さんの次にグラマーボディーだ。


 風渡さんは体育会系と性格もあり、コミュニケーションの物理的距離が近い。

 引き締まった豊満な体が毎度毎度当たる。


 異性と仲良くなる分、詰み場が生まれ易くなっても、友達が出来るのはやっぱり嬉しい。


「そーいやさー昨日のミックスぅって生配信で、メチャ美人の観客いたの知ってるかー?」

「見てた見てた! トレンドにもなってたよね! 謎の金髪巨乳美女の詳細求むって!」

「これかしら?」

「それそれー何かハーフっぽい感じかー?」


 爆弾に火を付けた霞さん、竹塔さんと滝さんも、何故か僕を見て微笑んでる

 明らかに渚ヨウィータの正体を見破ってる。

 3人の性格上、言い触らす真似こそないものの、遠回しに弄ってきそうだ。


「なぁなぁ積っち」

「へ? な、なんです?」


 傍にいるだけで顔が熱くなるのに、こそばゆい小声で耳打ちされ、もう気が気でない。


「女装のレパートリー、増やしたんか?」

「……深い訳があるんです」


 渚ヨウィータは既に、愛実さんにもバレてた。

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