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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
9章 女子眼福巡りin渋ヶ谷
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57話 ハイアングルからの胸元、下心丸出しな積極性、マドモアゼルの笑顔の為なら、心配胸埋め

 女子眼福巡りin渋ヶ谷が始まり、最初に訪れたのはポチ公像から徒歩1分のモックバーガーだった。

 飲み物やらモーニングセットを注文し、2階イートインスペースの窓際へ座り、とても落ち着いた赤鳥君が、僕らを見て来た。


「さて……俺が何故この場所を選んだか、分かるかね?」

「え。に、2階なら良く見渡せるから?」

「ふっ。在り来たりだな……君は何も分かっていない甘ちゃんだな」


 小馬鹿にした赤鳥君に軽くイラっとした。

 早々に難問を突き付けられ、真面目に考えるのに対し、オリヴィアさんがパチンと手を叩いてた。


「ハッ! 分かりマスた!」

「ほぉ。マドモアゼルのお答えはいかに?」

「ここなら人目を気にせず、女の子のハイアングルを見まくれマス!」

「お! 正解! 素晴らしい! 1ポイント先取!」

「イエイ!」


 知らぬ間のポイント制はさておき。

 オリヴィアさんの答え通り、人目の付く場所で下心丸出しで眼福視線を送っていれば、冷たい視線が容赦なく突き刺さるのは当たり前。

 比べて、2階をわざわざ見る人はいない訳だ。

 つまり眼福巡りの理にかなってるんだ。


「夏場の薄着姿から覗く、無防備な胸元を堪能できる……まさに至極の景色って訳だ」

「オゥ! 胸なら自信ありマスよ! ほら!」


 零れ落ちそうなコルセットチューブトップの胸元を、グイっと指で下げたオリヴィアさん。

 赤鳥君が目玉が飛び出そうな勢いで、滅茶苦茶食い付いてた。

 僕が間にいるから視線で済んでるけど、隣同士になった暁にはどうなってたのやら。


 早急にオリヴィアさんには胸元を戻して貰い、簡単に見せない様にと、遠回しに注意した。

 ほっと安堵の一息を漏らす僕に、ギリギリ歯を鳴らし睨んでくる赤鳥君には、気付かない振りをした。


 ♢♢♢♢


 ハイアングル眼福の堪能後、次なる眼福場所へと赤鳥君を先導に、渋ヶ谷を歩いてる。


「ふぅふぅ……日本の夏は、とても暑いデスね」

「今年は特に暑いらしいです。オリヴィアさんの住んでた所はどうでしたか?」

「それなりに暑くて、カラッとしてマス!」

「へぇー北海道とかに近い感じかもしれませんね」


 オリヴィアさんは一年間滞在する訳だ。

 沢山日本中を巡って欲しい。


「オゥ! 試される大地ほっけーどぉーデスね! のりこ師匠も、やまごおり?修行したそうデス!」

「宮内のお婆さんが山籠もり修行ですか。なんか想像できますね」


 それっぽい話は聞いたことあるけど、きっと僕らが知らないだけで、もっと多くの修行を積んでるんだ。

 今度話が聞ける機会があれば、色々と聞いてみるのも面白いかもしれない。


「ワタシも、のりこ師匠に見習え?って、ステゴロで熊を倒しマス!」

「絶対やめて下さい」

「おいおいおいおい。俺抜きに盛り上がるなよ」


 先陣を切りつつ、道行く異性を片っ端から吟味してたもんだから、話し掛けない方が良いかと思ってた。


 歩くペースを合わせる赤鳥君は早速、オリヴィアさんにあれやこれやとアピールし、気に入られる気満々。

 積極性こそ見習えるも、視線と息遣いが下心丸出しで、どうにも見習いたくなかった。


 一応対処法として、なるべくオリヴィアさんに近付けさせまいと、再度2人の間に割り込んだ。

 案の定、鶏冠みたいな赤い前髪を、ぐりぐり肩に押し付けてくる赤鳥君だった。


 徒歩移動から10分程、とある大型施設の前で、これ見よがしに赤鳥君がアピールポーズをしていた。


「お次の場所こそ、今年オープンしたばかりの渋ヶ谷新スポット! シー・ラグーンだ!」

「あーテレビでも特集されてたね。ここなんだ」

「オゥ! ワタシ泳ぎたいデス!」


 都会のど真ん中にオープンした大型施設内プール・シー・ラグーン。

 今まさに大繁忙期真っ只中だ。

 ぞろぞろ施設内に入って行く人達も、家族連れや学生、カップル等々、夏休みを満喫しに来てる。


 オリヴィアさんもその場でパタパタ動き、施設を指差して待ちきれないご様子。

 そんな動きに連動して、本当に零れ落ちそうな胸をガン見する赤鳥君を、仕方がなくズルズル引き摺り、シー・ラグーンに強制入場した。


 立地が都会のど真ん中なのもあって、入場料金も中々にお値段が張るけど、勉強代だと思って3000円を支払った。

 海の家でのバイト代に感謝様々でいる一方、赤鳥君はオリヴィアさんの分まで入場料を払ってた。


「ホントにいいのデスか?」

「えぇ! さぁ! 思う存分楽しみまし」

「ちょ、ちょっと待って赤鳥君!」

「お、おいおいおいなんだなんだ?」


 行こうとする赤鳥君の手を掴んで、強制的に足を止めた。

 オリヴィアさんの聞こえない小声で、赤鳥君のお財布事情が本当に平気なのか、心配で聞いてみた。


「あ、赤鳥君……お金大丈夫なの? さっきだって薔薇の花束買ってたし……」

「……正直小遣いを前借りしてる……だが、マドモアゼルの笑顔の為なら、びた一文になっても構わないさ」

「いつか破滅するよ」

「現実を見せるな、愚か者」

「えでっ」


 手の甲にしっぺして、そそくさとオリヴィアさんと行ってしまった。

 無理に見栄を張って切羽詰まった時には、助太刀してどうにかしないとだ。


 遅れて更衣室に行き、レンタル水着に着替え赤鳥君の姿を探すも、人が多すぎて全然見つけられなかった。

 きっとオリヴィアさんのお出迎えも兼ねて、先にプールの行った可能性が高い。


 人の流れに乗り、プールの入り口を目指し、シー・ラグーンのバリエーション豊かなプールが視界に映る。

 遊びたくなる気持ちに駆られつつも、赤鳥君を探しを始めた。


 予想通りなら、入り口付近でオリヴィアさんを出待ちしてる筈だ。

 ただトレードマークの赤鶏冠の前髪が見当たらなかった。

 ここはオリヴィアさんが来るまで待った方がいいのかもしれない。


 それから入り口付近を見渡せる場所で、待機する事数分。

 女子入り口の方から、わがままに主張する豊満な肌色を彩る、イエローブラジリアンビキニのオリヴィアさんが、ポニテ姿で現れた。

 日本人とかけ離れた、美しいブロンドヘアーと抜群のスタイルに、男女問わずに目を奪われてる。


「むぅー……あ! ようくーん! 待ちやがりまシタかー?」

「い、いえ。全然待っどぅえ?!」

「おぉ~マドモアゼルぅ~……足元が大変に滑りやすいので、俺の手をお取り下さ」

「よ、ようくーん!? 大丈夫デスかー!?」


 前触れもなく横から現れた赤鳥君の、容赦ない入れ替わり体当たりに軽くこけるも、オリヴィアさんが手を取って立ち上がらせてくれた。

 ただそのままギュッと本息の胸埋めをされ、ペタペタ体を触れて触診されてる。


「どこかケガはありマスか?! 痛むところはないデスか?!」

「ふ、ふまぁま!」

「へ?! 何を言ってるのか、聞こえないデスよ!?」


 夏休み中に何度胸埋めを経験したんだろうか。

 思い出に浸りながら、自然に解放される時まで脱力するしかなかった。

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