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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
8章 一個下の後輩
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53話 ビーチフラッグトーナメント、美脚と食い込んだ美尻水着、間違えビキニ、スイカ早割り

 2番勝負めはビーチフラッグトーナメント。

 うつ伏せ状態から10m先のビーチフラッグを、先に取った方が勝ちのシンプルルール。

 脚の速さが重要になってくる。


 一番手は峰子さんと雛美さんの身長高低差勝負だ。

 両チームの中で一番背の低い雛美さんが、いくら脚が速かろうと、峰子さんの恵まれた体格を活かした、歩幅のリーチがある以上、良い勝負になる筈だ。


 スターターの姉さんが手を叩く音で、一気に起き上がった2人。

 僅かに雛美さんが一歩リードを決め、独走を決め込む。

 しかし峰子さんの踏み込んだ一歩に、一瞬で追い付かれてた。

 一歩一歩踏み込む度、雛美さんがどんどん離され、峰子さんが余裕でフラッグを取った。

 ギャラリーから歓声と拍手が送られ、盛り上がりも上々。

 大まかな盛り上がり要因は、峰子さんのKカップが激しく揺れた事に違いない。


「ナイスファイト峰子師匠!」

「あぁ。勝負できて良かったぞ、雛美」

「あ……こ、こちらこそ……」


 握手を交わす雛美さんが、ポーッと顔を赤らめてる。

 姉御肌の峰子さんの前じゃ、誰だってそうなってしまう。


 2番手は霞さんと白姫さんの美脚美人勝負だ。

 うつ伏せの待機状態で、両者の脚線美が魅せられ、ギャラリーから感心声が上がってる。


 場を静め、緊張張り詰める中、響いたスタート音に逸早く反応したのは、白姫さんだった。

 一直線にフラッグを目指す、フォームの美しいダッシュに、誰しも白姫さんの勝利を確信。

 が、ビーチという足場が悪手になり、フラッグ目前で盛大に転倒。

 僥倖(ぎょうこう)を逃さまいと、霞さんがフラッグを抜き取り、2勝を飾った。


「うっし! ……大丈夫かー? 手貸すぞー」

「あ、ありがとう」


 手を貸し怪我がないか確認した霞さんは、ニコッと微笑みかけ、颯爽と峰子さんとハイタッチ。


 潔いよく負けを認め、清々しい顔で自陣に戻る白姫さんは、転倒した弾みで水着がお尻が食い込み、Tバックみたいになってた。

 キュッと引き締まった美尻と美脚ウォーキングに、ギャラリーの男達が興奮気味の声を漏らしてた。


 3番手は愛実さんと花音の従姉妹勝負だ。

 逆鱗の件もあり、どことなく愛実さんの気迫が増してる。

 花音も気が気でないまま、うつ伏せで待機するも、押し潰れる横乳ビキニが、無意識に愛実さんを挑発してた。


 視線を横乳ビキニだけに向け、ギリギリ歯軋りが止まない愛実さんは、スタート音と同時にダッシュ。

 花音も食らい付く様に、強く足元を踏み蹴り、ほぼ同時のタイミングで2人がダイビングキャッチ。


 軽く砂煙が舞い、高らかに手を掲げたのは愛実さんだった。


「と、取ったどぉおおおおお!」


 堂々と掲げる手には、フラッグのフの字もなく、代わりに別の布らしき物を掴んでた。


「め、愛実ちゃん……わ、私のビキニと間違えてる……」


 砂煙が晴れた先には、豊満な胸元を手で隠す、真っ赤な顔花音が愛実さんを見上げてた。

 むさ苦しい興奮歓喜声で、愛実さんも時間差で気付きビキニを返し、そのまま身を挺して花音の視界遮蔽物になった。


「マジごめん花音」

「ふ、フラッグは私が取ったからね」

「あ」


 しっかりとフラッグを掴んでた花音に、ギャラリーから讃える声が上がり、勝敗は2勝1敗に。


 4番手は幸兎と師走さんの最終勝負だ。

 正直、幸兎の勝てる見込みは限りなく低い。

 勝点が上回ってる分、ポテンシャル自体は充分高く、幸兎の眼も勝利を諦めてない。


「ふっふっふ! 手加減しないっすよ! 幸兎後輩!」

「望むところですよ、師走先輩ぃ……」


 握手を交わし、スタンバイを決め、スタートの音が鳴った直後、師走さんがその場から消えた。

 そして誰も気付かないまま、フラッグの方角から師走さんの元気な声が聞こえた。


「よっと! あれ? 幸兎後輩? とっくの前にスタートしてるっすよ?」

「は、反射神経も運動能力も何もかも……や、ヤバすぎる……」


 息一つ乱れず勝利した師走さんは、ただただ当たり前の事をしたまで。

 幸兎がスタートしてない理由も、ギャラリーがザワザワする理由も分からず、師走さんはあわあわと1人で戸惑ってた。


 ♢♢♢♢


 引き分けのビーチフラッグは、勝者の合計タイムが少ない方が勝ちというルールに則り、花音チームが1勝した。


 花音チームのキーウーマン師走さんを攻略しない限り、幸兎達の勝利はやって来ない。


「3番勝負めは障害物スイカ早割りよ」


 スイカまでの数十mに、相手チームが障害物を幾つか配置。

 チームが目隠しスイカ割り役を声で誘導するルールだ。


 じゃんけんで勝った幸兎は先攻を選び、スイカ割り役も幸兎自身が名乗り出た。


 障害物設置中は相手チームは、海の家で待機する事になってる。

 見届け人の積木家は、障害物設置に問題ないかの確認と、海の家休憩を交代する事になってる。

 確認は姉さん、僕と空は海の家で休憩を取り、空が作戦会議中の幸兎チームをガン見していた。


「空?」

「スイカップ……前見た時よりもサイズアップしてる……」

「そ、空? お、おーい?」

「ブツブツ……」


 ガジガジ指の爪を噛み、視線先が峰子さんだと分かり、これ以上声を掛けるのを止めた。

 飛び火する前に姉さんの所へ逃げよう。

 そそくさと静かに海の家を出て、姉さん達のいる場所へ駆け出した。

 チラチラ背後を気にしつつ、安全確認作業中の姉さんと合流。


「姉さん」

「あら洋。まだ休んでていいのよ」

「て、手伝いたかったから、つい……」

「ふふ……可愛い弟ね」


 頭を触れ撫でてくれた姉さんが、ぽわぽわ嬉しさオーラを出し、僕も安心した。


 一緒に安全確認作業をしたのもあり、準備時間をだいぶ残し、花音チームの障害物設置が完了。


 スタート早々に待ち受ける、絶妙な穴ぼこが広がる、でこぼこビーチロード。

 その先に待ち構えるのは、スイカボールを無数に配置した時間稼ぎトラップ。

 そしてスイカの周囲に作られた、芸術的な砂の城が行く手を塞ぐ、最終関門。

 目隠し状態で進むとなれば、中々に困難な道のりだ。


 早速幸兎達を呼びに海の家に戻ると、幸兎が目隠し状態に馴れる練習中だった。

 元々目隠し状態でスタート位置まで連れて行く予定だ。

 そのまま手を取って移動した方が良さそうだ。

 誘導役の愛実さん達には、コース確認も兼ねて先に行って貰い、僕は2人きりになった幸兎の手を握った。


「ひゃん!?」

「わ?! な、何?!」

「よ、洋ぉ?! こ、コホン! て、手握るなら言ってくれよぉ!」

「ご、ごめん」


 今まで聞いた事のない女の子らしい声に、幸兎自身もカァーっと耳まで真っ赤になり、握った手もアツアツホカホカで申し訳なかった。

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