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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
7章 日々の夏休み
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47話 モテテク試し、ビクビク震えるお尻、オロオロブロンド外国人美女

 呉橋会長の懐ハグが馴染み、心音が平常に戻りつつある中、クレアさんがびゃびゃっと立ち上がってた。


「ハッ! 第2話にモテテクを発見しましたので、実験体に実行します!」


 白シャツの胸元ボタンを素早く外し、立派な谷間を露出。

 同世代の異性にはない色気に、自然に胸の高鳴りが速まった。


「ふむむむ! 心音の高鳴りを確認しました! 効果的面であります!」

「やったです! このまま第2フェーズに移行します! えい!」

「ふぁぷ?!」


 回避不能な猪突猛進胸タックルを、僕の顔面にクリーンヒットさせ、包み込むように頭部ホールド。

 すべむに肌が顔面一杯に広がり、甘いフレグランスな香りが心地良さを感じさせてくれてる。


「ほよよよ! 高鳴りキープを確認! 素晴らしい成果ですぞぉ!」

「では、第3フェーズに移行します!」

「ふまままま?!」


 胸埋め状態からのパフパフ圧迫サンドで、顔面がもにゅもにゅ挟み込まれる。

 詰み体質経験上、群を抜いて刺激が強過ぎるモテテク試しに、このままだと胸の中で失神する。

 熱籠る身体と僅かながらに残った力で、クレアさんを剝がそうと、手探りで肩まで手を伸ばした。


「ひゃん!?」


 両肩を掴んだだけで、可愛らしい驚き声を上げられ、恐る恐る軽く力を入れて触れると、明らかに肩らしからぬ感触だった。


「にゅん!?」

「ちょ!? 洋君! なんでクレアちゃんの横っ腹揉み揉みしてんの!」

「ふぁ?!」


 呉橋会長の指摘に、すぐ横っ腹から手を離し、申し訳ない気持ちが溢れた。

 ただ、離した手の行き先にも、横っ腹と同等の柔らかい感触が触れてた。


「いっひ?! お、お腹さ、触っちゃだ、ダメだよ……」

「ふ、ふみまふぇん……」


 今度は心音高鳴り確認係で懐にいる、呉橋会長のくびれたお腹に触れてしまってた。

 このままモテテク試しを続行出来る訳もなく、胸埋め圧迫サンドと、呉橋会長から解放して貰えた。

 数分振りの新鮮な空気を味わい、一足先に冷静に戻れた僕は、2人の様子を確認した。

 横っ腹を摩り、もじもじ俯きながら赤面を隠すクレアさん。

 頬っぺたをパンパンに膨らませ、僕を睨み付ける真っ赤な顔の呉橋会長。


 わざとじゃないとは言え、やってしまった事は変えられない。

 内心納得いかないまま、2人に対面しペコペコ謝った。


「許可なく触れちゃってすみませんでした」

「ま、まぁ? お、お腹を触られただけだし? こ、今回は特別に許してあげちゃおうかな?」

「わ、私が調子に乗っちゃったからだし、実験体君は悪くありませんよ?」

「呉橋会長……草薙さん……」


 これでお互い水に流して終わり。

 無言で納得したつもりが、1人だけ悪い顔になってた。

 まごうことなき悪さを目論む者こそ、呉橋星その人だ。


 白の半袖シャツの胸元ボタンを、艶めかしく一つ一つ外し始め、不器用なパチパチ瞬きを向け、あくまで色っぽく距離を縮めてきてた。


「じゃ仕切り直して……今度は私と同じモテテクを試そうか?」

「結構です」

「なんでさ?! 絶世の美女の生肌胸埋めパフパフサンドなんて、一生の内で経験できないんだぜ?!」

「大丈夫です」

「きぃいいい! こうなったら無理矢理やってやる! 覚悟しやがれ! 洋君んんんん!」

「わ、ちょ?!」

「あ、やば?! にゅわ?!」


 勢い任せに突っ込んだせいで、盛大に足元がこんがらがり、ダイナミックダイブを真正面に迫ってた。

 回避に全力を注げば代償として、呉橋会長を100%負傷させてしまう。


 正直、私利私欲を満たす怪物は、なるべく穏便に避けたいのが本心だ。

 でも、そんな本心も所詮ちっぽけなものだ。

 ちっぽけな本心を投げ出し、呉橋会長をノーダメージで受け止める。


 瞬時に両手を広げるも、物凄い衝撃が襲い、仰け反りと一緒にベンチが後方に傾いた。

 凄まじい柔らかな衝撃も、必死に受け止めた甲斐あり、ベンチは倒れず、ゆっくりと元の位置に戻り始めた。


 安全に戻るまで呉橋会長を離してはならない。

 そう感じた僕は離さないよう、軽く手に力を入れると、むちっと柔らかな大きいものを鷲掴みしていた。


「あにゃひぃ!?」

「のぁ?!」


 呉橋会長にビクンと激しく動かれ、ベンチが再び後方に大きく傾いた。

 そのまま何も出来ず、盛大な物音を立てて、ベンチごと呉橋会長に覆い被さられた。


 シーンと静まり返る店内に、覆い被さられた視界をギリギリ動かすと、鷲掴みしてたビクビク震えるものが、指にむっちり吸い付く、立派なお尻だと判明した。

 事故にせよ、スカートの中の生お尻を鷲掴みするなんて、最悪な事をしてしまったんだ。


 生お尻を鷲掴みする両手を、今度こそ肩まで持っていき、脱力する呉橋会長の上体を起こした。

 軽く身体をビクビクさせ、とろーんと惚けて涎が口横から垂れそうだった。


「だ、大丈夫ですか?」

「ら、らいろうふ……はへぇ……」

「あわわわわ!? ひ、星ちゃん!? アヘ顔一歩手前ですよ!」


 自ら接触コミュニケーションするのは平気な割に、触れられるのは敏感でダメな呉橋会長。

 いつまでも元に戻らない呉橋会長に、あわあわとクレアさんとドギマギしていると、スタスタ近寄る足音が僕らの傍で止まった。


「お客様、少々よろしいでしょうか?」


 こめかみに青筋浮かべた店員さんに、遠回しに出て行って下さいと言われ、足早に呉橋会長を運び、木ノ々屋を申し訳なく去った。


 ♢♢♢♢


「あとは私に任せて下さい、実験体君」

「はい、お願いします。あと、僕は積木って言います」

「そうでしたか、すみません積木君。では、私達はこれで」


 クレアさんの自家用車を駐車場で見送り、寄り道せずに帰ろうと駅へ向かった。


 電車移動で数十分、安堵さえ覚える最寄駅のホームに着き、気持ちを切り替えて改札を出た。

 駅前でブロンドヘアーの外国人美女が、オロオロしてるのが視界に入った。

 スマホと現在地を何度も睨めっこしながら小首を傾げ、何かを探してる感じだった。

 今の時間帯は丁度人がほぼほぼ降りず、降りる可能性のある学生は夏休み真っただ中。

 それを分かっていながら素知らぬ振りは出来ないと、僕は思い切って声を掛けていた。


「あ、あの……どこか行きたいのでしょうか?」


「ファ? オゥ! オミチヲ、ショショ、キキタイ? ノデシタ!」


「えっと……あ、聞きたい、お道の、名前は、どこですか?」


「ハッ! チョチョ、マテテ! ……ミヨオチ……ドジョウ……デス!」


 地元でそれに該当する場所は無いものの、あやふやな日本語からもう一度考えてみた。


「ミヨオチ……みよあち、みよいち、みようち……? 宮内? あ、宮内道場?」

「オゥ! ソレガ、ワタシガ、イクオミチ!」

「ほっ……宮内道場なら、僕、お道行けますよ」

「オゥ! ヨロシコ、オネネガシマス!」


 90度のお辞儀を何度もされ、190近い高身長もあり、ブォンブォンと軽く風を切っていた。

色々ダイナミックな人だと呑気に思い、宮内道場へと案内を始めた。

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