表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
5章 三つ巴ゲームイベント
36/131

☆36話 可愛い原石の為に、アベン〇ャーズの解散、美脚サンドウィッチ、オフ会のお開き

※2023/6/27文末に真人マーシンのイラストを追加しました!

※イラストが苦手な方はスルーで!

 ドリンクバーのお代わり中、席替えが実行され、静香さんが空いてる隣席をポンポン叩いてた。

 大人しく座り、同じテーブルの琴音さんと忍さんの話に耳を傾けた。


「ほぉ、琴音さんは助産師か」

「えぇ。尊い生命をこの目で見届けたくて、死に物狂いで勉強したわ」

「凄いです凄いですね! 私は陶芸家ですが、一つ一つが我が子のように可愛いです!」

「そうね、生み出された事には変わりないわ……全ては可愛い原石の為に……」


 赤ん坊の時から可愛い子に目星を付けてる、それが働いてる動機ならある意味凄い。

 今まで詳細不明だった琴音さんが、真っ当な仕事をしてると知れて良かった半分、釈然としない自分がいる。


 別のテーブルの様子でも見て、気を紛らわすのに隣テーブルへ視線を向けてみた。


「は、早見さん? い、いくらなんでも食い過ぎじゃないですか?」

「まだ腹二分目ぐらいですよ? あむあむ♪」

「す、すげぇ……ワタシより細ぇのに、ステーキ300g3皿目……」

「いつ見てもいい食べっぷりだよね。次どれ行く?」

「唐揚げ大盛りでお願いしまふ!」


 開いた口が塞がらない真人さんとメリアさんを他所に、追加唐揚げを奈々さんに頼む早見さんは、本当に胃袋がモンスター級だ。

 ただ野菜を食べると嘘みたいにお腹いっぱいになるんだ。

 いざって時はサラダをさり気なく食べさせるつもりだ。


「ツミー! ちょっとこっち来て!」


 一番離れたテーブルで、ちょいちょい手招く生天目さんに誘われ、戸羽女さんの隣に座った。


「コホン。唐突なんだけどね? アベ〇ジャーズは今日をもって解散する事にしたの」

「これからはフレンドとして、一緒に楽しもうって意見合致したんだよ♪」

「他のチームにも連絡済みなので、どうぞご了承下さい」

「あ、はい」


 トップ同士が納得したのなら、素直に頷くだけだ。

 お陰で平和的にサバブラが約束される。


 にこやかな空気感に包まれてる一方、隣テーブルの宵絵さん達が空になぜか詰め寄ってた。


「お、お兄ちゃんの(へき)ですか?」

「そうだ。洋君の実妹である空君だけが知る、表沙汰にしていない癖でも構わない。むしろその方が好ましい!」

「私は空たその、あれやこれや隅々まで知りたい! そして漫画に反映させたい!」

「ひぇ?!」


 別目的なのに妙な一体感が生まれ、空が完全にたじたじ。

 兄として妹を助けなければ。


「よ、宵絵さん! へ、癖はアレですけど、話せる範囲でなら教えますんで!」

「そうか。私の事も隅々まで教えたいから、隣に来てくれ」

「は、はい!」


 宵絵さんの隣に座った直後、腕絡めと肩頭乗せのポジションを確保された。

 

「私の事を一つ教えるから、洋君も一つ教えるルールでいいか?」

「りょ、了解です。えっと……結構な甘党なんで、町ブラしながらスイーツ巡りを時々してます」

「ほぉ、是非とも町ブラとやらに同行したいな。次は私だな。タイツはいつも40デニールを使用してる」


 僕の手をそっと掴み、長い美脚へと挟まれた。

 至極の太ももサンドウィッチに、もうどうする事もできないまま、教え合いはしばらく続いた。


 ♢♢♢♢


 楽しい時間ほど瞬く間に過ぎ、オフ会はお開きに。


「それでは積木さん。3日後現地でお待ちしてます」

「はい。また3日後に」


 ペコリと静かに帰る戸羽女さんとメリアさん、そして真人さん。

 生天目さんは渕上先生達と、自宅で2次会をやるそうだ。

 

「積木君に空ちゃん、またオフ会しましょうね♪」

「勿論です。空も……多分大丈夫かな?」

「お、お兄ちゃんとなら……ど、どんな事だって乗り越えるよ……」


 精神面的に強くなった空は、立っているのがやっとなぐらいダメージも受け、体を抱えて支えてる。


「相変わらず仲良いな。ほんじゃ、夏休み中ハメ外すなよー?」

「大丈夫じゃない? ま、色々と進展するといいね」

「ま、マロンちゃん……ハァハァ……お、お別れのキスをして頂だぶぅ」

「はいはい、帰るぞー」


 姿が見えなくなるまで、濃厚な投げキスを空にし続けた琴音さん。

 助産師さんと変態が成り立ってるんだから、本当に不思議でたまらない。


「洋君。明日からモーニングコールをしたいのだが、起床時間の午前7時で構わないか?」

「お、OKです。も、もし負担になるようでしたら、すぐに止めて貰っ」

「負担など微塵も感じない。むしろ同じベッドの中で、そっと耳元で囁いて起こしたい」


 クールな真剣顔のまま、ポッと頬を赤く染める宵絵さん。

 ド直球の言葉には、やっぱり照れてしまう。


「うぅー私も起こして貰いたいな……」

「大和ちゃんは朝起きるの苦手ですもんね!」

「懐かしいー! 学校でやままーの寝癖を皆で治してあげるのが、日課だったよね?」

「あぁ。それを含めいい思い出だ」

「い、今はちゃんと起きれるよ! 寝癖も治せてるもん!」


 とは言いつつ、かなりの頻度で寝癖らしきぴょん跳ねをしてる。

 渕上先生の可愛らしい名誉の為に、言わないでおこう。


「ツミー! 空りん! 今度はフレンドとしてサバブラやろうね!」

「はい、これからもよろしくです。じゃ、僕らはこれで」


 生天目さん達と反対方角に向かい、濃密なオフ会を振り返りながら、自宅へと帰って行った。


 ♢♢♢♢


 風呂上がり、ゆったりとリビングのエアコンで涼み、バイトの件を友達び連絡したところ、全員が10分以内に返事をくれた。


 既読後数秒で返事をくれた愛実さんは、死んでも行くと、スタンプ付きでOK。


 霞さんも1分以内に返事をくれたものの、接客が無理と、キッパリお断り。


 コミュマスタータケトウに至っては、国内旅行中でそもそも無理。


 食い付いて来そうなふーちゃん達も、花嫁修行強化合宿が始まると、泣く泣く返事。


 千佳さん達も別のバイトで、申し訳なさそうに断られた。


 赤鳥君達も私用が重なり、血の涙を流す断念文章が送られてきた。


 結果的に愛実さんと一緒に3日間、海の家でバイトする事になった。

 嬉しさのあまり足をバタバタさせ、姉さんに声を掛けられて、ハッと我に帰った。


「どうしたの洋」

「ふぉっふ!? ちょ、ちょっと嬉しい事があったから、つい……」

「うふふ。バイト頑張ってね」


 気恥ずかしさで頭をぽりぽり掻き、シンプルながら嬉しい激励に感謝した。


「うん、ありがとう姉さん。お土産買えたら買ってくるよ」

「お土産話でも構わないけど、楽しみにしてるわ」

「ふぃー! いいお風呂だったー! あ、凪景さんのドラマ始まるからテレビ付けて付けて!」


 バイトまでの数日間、家族と過ごしながら期待に胸躍らせ、あっという間にバイト当日になった。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ