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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
4章 先代生徒会襲来
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29話 軽やかさがエグい幼女達、全てを見届けていたくノ一、胸凶器

 幼女ズが真っ先に向かったのは、小さいお子さんも安全に遊べる、全長40mのエアー障害アスレチックコース。


 イザワ玄人の桃夏さんはスイスイ進み、沙織ちゃんが必死に追い掛け、僕も遅れながら追い掛けてる。


「洋! もっと脚のバネ使うんだ!」

「は、はい!」

「洋おにいたん! もうちょっと!」


 終着点で2人に手を貸して貰い、何とかゴール。

 慣れない動きばかりで、軽く息が上がるのに対し、2人は全く平気そうだ。


 そのまま休憩なしにロープウォーク。

 縄吊るしの足場を次々渡り、高所恐怖症が真っ青になるスリルアトラクションだ。


 桃夏さん達は一足先に、スタッフさんにヘルメットと命綱を装着して貰い、数mある高さに一切怖気ず、楽しそうに進行。


 下から眺める子供達も呆気に取られてるぐらい、とにかく軽やかさがエグい。


「すげぇーすげぇー! おれたちも、おっぱいねーちゃんたちに続くぞ!」

「「「おぉー!」」」


 リーダーの男の子が友達を引き連れ、ロープウォークに行ってしまった。

 慌てて入り口に向かうも、さっきの男の子達に先行され、人数制限で待つ事に。

 その間にも桃夏さん達の姿が見えなくなり、声も滅茶苦茶遠ざかってる。


 下から見上げ探そうにも、ごちゃごちゃ入り組んでて、探そうにも探しにくさが勝ってた。


 目を凝らし数分、出口方面から幼女らしき声が聞こえた。


「ゴールに行けば合流出来る!」


 桃夏さんと遊ぶ筈が、まだ何一つやってあげられてない。

 早急に合流し次第、必死に食らい付いて遊び尽くすんだ。


 ♢♢♢♢


 ゴールに着いた頃には、桃夏さん達の姿はなかった。

 先に行ったにしても、アトラクションエリアが3つに分岐しているんだ。


 高低差を自由自在に動きまくる、パルクールアトラクション。

 忍者っぽいアクションを体験出来る、ニンジャアトラクション。

 本格的な装備と男の子に人気な、サバゲーアトラクション。


 パルクールとサバゲーは桃夏さん達には合わなさそうで、消去法でニンジャアトラクション一択だ。


 足早にニンジャアトラクションに踏み込み、迷宮のような入り組んだ屋内を、数十分探しまくった結果、迷子になった。


 出入り口に戻って仕切り直そうにも、また同じ場所に戻る無限ループ。

 誰にも遭遇せず、和風BGM以外何も聞こえず、孤独感が時間経過ごとに増幅していた。

 

「お、落ち着け……いざって時には、スタッフさんに助けを求め……え? わっ!?」


 突然壁の一部が回転し、真っ赤なくノ一が出現。

 高身長且つグラマラス、隠し切れない美人オーラのくノ一さんが、ヌッと距離を詰め寄って来た。


「桃夏ちゃん達は出口にいますよ、つみき君」

「そ、その声は里夜さん?」


 口元の布をずらし、素顔を見せた里夜さん。

 くノ一姿な理由も、ここにいる理由も、全く意味が分からなかった。


「あ、あの……どうしてここに?」

「お嬢様に頼まれたのです。つみき君のデートがどのようなものかを」

「て、天宮寺さんが?」

「えぇ。ので、初日から今まで変装しつつ見届けてました。わたしも思わず、よう君とデートしたくなりました」

「初日からって……さ、最初から?!」

「はい」


 里夜さんは性別も身長差も声も、何もかもが変わる変装のプロフェッショナル。

 周囲に溶け込んで見届けるなんて容易だったんだ。


「つみき君が杏世さんを守ろうと、手を引く姿は大変に漢らしかったです」

「み、見てたんですか」

「ショップ店員の変装で、しっかりと」


 模擬デートの事で精一杯で、ショップ店員に変装してるだなんて気付ける訳がない。


「巳乃さんとのコスプレ然り、にゃんにゃん呪文詠唱は尊さを実感しました」

「にゃ、にゃんだふるにも……」

「愛しちゃうにゃん♪ ふふ。メイドさんもいいですよね」


 大変ご満悦な表情で、にゃんにゃん呪文詠唱ポーズ。

 メイドさんにも変装してただなんて、見当もつかなかった。


「冴姫さんのポロ君事故は、少々予定外でしたが、つみき君のおままごと姿を見られて、結果オーライでした」

「ポロ君事故……犬友達の飼い主さんって……」

「わたしです。ドッグランにはメイド長が代わってくれたので、通行人に変装し見届けました」


 ポロ君事故に里夜さんも関わってたなんて、全く想定外だ。


「そして今回はくノ一スタッフに変装してました」

「な、なるほど……」

「ちなみにですが、肝試し実行委員会の皆さんも、初日から変装して見届けてましたよ」

「な!?」


 壁の一部が再び回転し、追加でくノ一が3人現れ、すぐに正体を明かしてくれた。

 滝さん、菊乃城さん、暗堂さんがゆっくりと取り囲むように接近。

 4日間も見られていたと知り、無性に恥ずかしさが込み上げていた。


「あらあらまぁまぁ。恥ずかしがって可愛らしいですね」

「積木君の様々な面を見られて、とても楽しめたわ」

「うんうん♪ 積木君とのデートなら、楽しめそうだと分かりましたよ♪」

「わ、私もデートしたくなったよ! だ、だから顔上げて!」


 よしよしと頭や肩、背中を優しく摩られても、恥ずかしさが消える訳じゃない。


「皆さん。つみき君が顔を上げられないのなら、わたし達が慰めてあげましょう」

「了解したわ」

「了解です♪ 芽白先輩とあーちゃん先生も真似して下さいね♪」

「う、うん」

「分かりました」


 菊乃城さんと滝さんが、むにゅりと僕の両腕を胸で挟んできた。


 両腕に意識が向く間もなく、包み込むように里夜さんの顔面胸埋め。

 追い打ちで背中からギュッと抱き締められ、広大に押し潰される暗堂さんの特大級の柔らか胸。


 柔らかな感触の沼に飲み込まれる詰み場を、圧縮詰みと心で名付け、数十秒後に意気消沈した。


 ♢♢♢♢


 圧縮詰み後、里夜さん以外の皆さんは着替える為、再び回転壁に消えた。

 里夜さんは目の前でくノ一姿から、スポーツウェア姿に瞬間着替え。

 髪型もポニテに変わり、誇らしげに見せびらかしてた。


 そんな里夜さんと一緒に進み、僅か数分で出口に到着。

 散々迷ってた時間は一体何だったのか聞きたくなる程、スムーズ過ぎた。


「つみき君。桃夏さんが見えましたよ」

「あ」


 桃夏さんと沙織ちゃんも気付き、とてとてと小走りで近付いて来てくれた。


「心配したぞ洋!」

「洋おにいたん生きてた……ほっ……」

「す、すみません。中で迷ってて……」

「そっか、まぁ無事なら良いけどさ! で、里夜も来てたのか!」

「えぇ。桃夏さんさえ良ければですが、合流してもよろしいですか」

「当たり前じゃん!」


 キャッキャッ喜ぶ桃夏さんと里夜さんが、同じ年だと信じる人は、初見ではいないと思う。

 一方、沙織ちゃんが里夜さんの胸をガン見していた。


「お、おっぱいまおう……」

「ほぉ、わたしがおっぱい魔王ですか。折角ですし、魔王級にお触れになりますか?」

「ご、ごくり……」


 屈んだ里夜さんの胸に恐る恐る、目一杯広げた手の平で触れた。

 ズブズブ手首まで沈んだと思えば、沙織ちゃんが一瞬で目の前から消えた。


「にゃみゅ!?」

「え? わ!? さ、沙織ちゃん!? 大丈夫!?」


 魔王級の弾力に押し負けて、数m吹き飛んでた。

 数十kgある沙織ちゃんを、軽々しく吹き飛ばす弾力は、圧巻の一言に尽きる。


「わっはっは! 里夜の爆乳は凶器だな!」

「照れます、へへ」


 照れる箇所がズレてるのも、里夜さんらしさだ。


 その後、暗堂さん達と合流し、一緒にお昼を食べたり遊んだりと、童心に帰れた気分を味わい、先代生徒会4人の模擬デートが完了した。

 

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