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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
4章 先代生徒会襲来
21/131

21話 大人気アイドルとお揃い、癒しの白肌女神、筋肉痛ドM、三度のドジっ子行為

 数分クールダウンを挟み、滝さんが相手決めしてると、赤鳥君が挙手していた。


「何かしら赤鳥君」 

「俺俺俺俺俺俺俺が凛道とやって見せます! どうかどうかお願いします!」


 わざわざ凛道さんを名指しする程、下心しかない赤鳥君。

 屈強オカマ男子が隣にいるのを、すっかり忘れてる様だ。


「心配ないぞ赤チュンチュン。ワタシが本番まで付き合うぞ♪」

「い、嫌だああああああああ!?」


 筋肉ホールドをされ、悲しい断末魔が響き渡る。


 内心ホッとしてる束の間、凛道さんに次の相手に抜擢。

 猫カフェにいるていで、強制的に始まった。


「ね、猫可愛いですね!」

「猫! お腹スンスンしたい!」


 トテトテと自分のカバンから、薄手のパーカーを取り出し、猫に見立て始めた凛道さん。

 林間学校で貸したままの僕のパーカーだ。

 普段から持ち歩いてるなんて思わなかった。


「ふぁ~……落ち着く~……スンスンスンスン……」

「し、幸せそうで良かったデス」


 パーカーはもう諦めた方がいいのかもしれない。


 次はパフェを食べるシチュエーションで、現物が用意された。


「ん~♪ 冷たくて甘くて最高~♪ あむあむあむ……」

「美味しそうです何よりです」

「うん! ……あ、私ばかりごめん! はい、どうぞ!」


 口を付けたスプーンを、そのまま僕の口にイン。

 間接キスは完全にアウト案件だ。


 平常心を装いながら精神的大ダメージを負う中、最後の小物雑貨店シチュエーションに。


「どれも可愛くて目移りしますね」

「うんうん! あ、これなんかどう?」


 再びカバンを漁り、2本の色違いシャーペンを出した。

 そのまま青い方を手渡してくれた。


「これでお揃いだね!」


 神対応アイドルを前に、ヘラヘラと照れ笑いする以外に、何も出来なかった。


 ♢♢♢♢


「次は、癒し提供がメインよ」

「い、癒しなら私が!」


 高らかに挙手した暗堂さんの希望で、公園でのピクニックシチュエーションになった。


「ひ、ひひひひひ膝枕して上げるね!」

「お、お願いします」


 柔もちスベスベなひんやり美脚の膝枕は、暗堂さんの立派な双子山で、美しい顔が一切見えなかった。


「ど、どうかな?」

「へ? あ、とても癒されます……」


 顔が見えずとも、癒やされてることには変わり無い。


 段々と安眠枕に思えてきた頃合い、ガサゴソとポケットを漁る音が聞こえた。


「み、耳かきしよっか!」

「え、あ、はい」


 横に向き直し、2つの意味でドキドキしてると、優しく耳を触れられた。

 フニフニと解す様に、絶妙な耳マッサージは極上。

 カリコリと耳穴をなぞられ、最高の耳かきに癒された。


「じゃ、じゃあ次は後ろからハグするね!」

「ふぁい……」


 骨抜き声の返事のまま、体勢チェンジ。

 背面を網羅する至極の背もたれは、滝さんの安全バーとはまた違う、最強の心地良さに瞼が重くなり、自然と目を閉じていた。


「……君……積木君、起きてちょうだい」

「はっ。ここは……カラオケ……ん? どうして横に?」

「眠ってしまったのよ」

「ご、ごめんね積木さん……」


 暗堂さんにぺこぺこ謝られ、僕もぺこぺこ謝罪と感謝をし、数分続いた。


「最後は体を動かすのがメインよ」

「照ちゃんが適任ですよ♪」

「りょ、了解であります! で、では積木しゃん! 移動しましょう!」

「い、移動ですか?」

「はい!」


 早速滝さんを筆頭に少数精鋭で、別階のスポチャチャに移動。


 レンタルのスポーツウェアに着替え、待つこと数分。

 スポーツウェア姿の皆さんが登場。


 細身で健康的でありながら豊満な滝さん。

 既にしっとり艶肌な菊乃城さん。

 へそ出し極短スパッツの檜木さん。


為木(ためき)君ー! 私達も混ざっていいかなー!」

「ま、待って凛道さん! ま、まだ私の閉まってないから!」


 遅れてポニテを揺らす凛道さんが、暗堂さんとやって来た。

 

 暗堂さんは本当に胸元が閉められないのか、手で隠してても、ザックリ胸元の半分以上が見えてた。


「ど、どれから回ります?」

「ボルダリングをやりたいでしゅ!」

「確かに一度はやってみたいものの一つですよね」


 ボルダリング前に、軽くストレッチを済ませて移動した。


 スタッフさんに命綱諸々を装着され、動きをレクチャーして貰った。

 初めてのボルダリングを始め掛けてると、不意に呼ばれた。


「あれ? マイマスター?」

「そ、その呼び方は……時貞さん……外ではダメですって……」


 北高の1-D時貞(ときさだ)(かなめ)さん。

 球技大会までに運動苦手克服を頼まれ、マイマスターと呼ばれることになった、生粋のドMさん。


「呼び方はともあれ、積極的に体を動かすだけでも、十分進歩ありですよ」

「あ、いえ! 筋肉痛を求めてるだけです! 部位ごとに筋肉痛を味わえる最高な場所です!」


 目的が純粋じゃない、私利私欲に塗れてる。


「あ、マイマスターは気になさらず。これはプライベートタイムなので」

「あ、はい。怪我だけしないようにお願いします」

「了解です!」


 ボルダリングを始め、ピクピクと登って行く時貞さん。

 まだ残っている筋肉痛の快感を、しっかりと味わってるんだ。


「登らないんですか、積木しゃん?」

「あ、先にいいですよ」


 先に登って貰い、下から眺めてみる事にした。


 長い手足と相性が良いのか、スムーズにどんどん登ってる。


「凄い上手ですね!」

「え、えへへあにゃ!?」

「わ!?」


 頭を掻く照れ仕草で手を離し、つるんと綺麗に落ちた。

 うつ伏せで着地した以外、何ともなさそうでも、心配だ。


「だ、大丈夫ですか?」

「び、ビックリしました……す、すみませんが、手を貸して頂けませんか……」

「は、はい!」


 肩に手を回して貰い、胴体に手を添え、立ち上がろうとした時、檜木さんの足がふらついた。

 グッと力を入れ踏み止まるも、胴に添えた手が、ふにょふにょと柔らかい感触に変わってた。


「あにゅっ……」


 踏み止まった際、胴に添えた手が、胸に移動してしまったんだ。

 手をすぐに退け、直角頭下げで謝罪した。


「す、すすすすみません!?」

「た、助けて頂いてるので、そのぐらいは……」


 もじもじと許してくれ、ホッとする僕らを、黙ってムービー撮影する滝さんはグッドポーズをしていた。


 ♢♢♢♢


 次は無数のトランポリンが床一面を埋め尽くした、トランポリンワールド。

 

 暗堂さん達も楽しんでるのか、ぴょんぴょん飛び跳ねて遊んでる。


高天原(たかまがはら)! 君! も! ぴょんぴょん! しよ!」

「楽しそうですね凛道さん」


 相変わらずの名前間違えてる凛道さんの、色んな物がわがままに揺れ、視線を極力向けずに心掛けてる。


「積木しゃん……! 見て下さい……!」

「ん? お、おぉ! 滅茶苦茶飛んでますね!」


 人を軽々しく超えられる物凄いジャンプ。

 段々僕の方に接近され、回避の為避けるも、檜木さんも同じ方向に軌道修正。


 お互いに回避が間に合わず、強烈なハグ倒しを食らった。

 幸いトランポリンだったお陰で、ケガもせずに済んだ。


 ただ手を離したタイミングが悪く、檜木さんのお尻が僕の顔面に接近し、そのままゆっくりと着地。

 

「むぎゅ?!」

「あ、あれ? つ、積木しゃん? どこ行ったんですか?」

「むごご」

「ひゃわ!?」


 すぐ飛び退いてくれ、本日二度目の相互ぺこぺこ謝罪で、平和的に解決した。


 ♢♢♢♢


 最後は皆でローラースケートをする事に。

 転倒防止のサポーター一式を装着して、準備完了だ。


 早速スイスイ滑ってる菊乃城さんに、ちょこちょこ付いて行く凛道さん。

 暗堂さんはよちよちと、滝さんと練習中だ。


 僕は檜木さんの後ろから腰を掴み、サポートする形で一緒に滑ってる。


「し、しっかり掴んでますか! 積木しゃん!」

「は、はい!」


 ヘソ出し姿もあって、女の子の柔らかな生肌に触れてしまってる。


「あ、あの積木しゃん……」

「つ、掴み過ぎましたか!?」

「そ、それはもう少し掴んでくれていいのですけど……これ、どうやって止まるんですか!」

「ぼ、僕も分かりません!」


 極端な話、壁にぶつかれば止まれる。

 ただ進路上に暗堂さん達が練習中で、今にも衝突しそうだった。


「ひ、檜木さん! 方向転換を!」

「ど、どっちにですか?!」

「み、右で!」

「わ、分かりまぁあああわぁあああ!?」

「うぇぷす!?」


 テンパるあまり、方向転換がガッツリ目に効き過ぎて、僕に向かってターン。

 お互い足がこんがらがり転倒。


「いたた……だ、大丈夫ですか檜木さ……」

「うぅ……ご、ごめんなさい積木しゃん……私のせいで……」


 檜木さんのスパッツが半分脱げて、お尻が半分出ていた。

 

 目の前の景色は見てはいけないと、首が本能的に背き、首を盛大に痛めた。


「あら♪ とりあえずこっちに行きましょうね♪」

「ふぇ……ありがとうございます……美香沙しゃん……」


 助けに来た菊乃城さんに無事に救出され、檜木さんが場外へと運ばれた。


 僕はその場に寝そべり、一人反省会を開いてると、ぬっと滝さんが見下ろしてきた。


「積木君。スポーツウェアの利点を知ってるかしら」

「え? り、利点ですか? えっと……」


 いきなりな問いに、それっぽい理由を考えてる内に、時間切れになった。


「正解は下着を着けなくて済む、よ」

「した……ぎ……」

「皆がそうでないけど、この場にいる皆はそうよ」


 質問をしてきた意味を、ようやく理解した。

 僕は檜木さんにセクハラ行為を、三度もやってしまったんだ。


 休憩所にいる檜木さんに、渾身の土下座。

 自分のドジのせいだと土下座返しされ、しばらく土下座譲りになった。

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