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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
16章 クラスメイトとジム
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102話 寸分狂わずな肉体美、滾りに滾ってる妹、照れ臭い盛り付け、双子が成せる賜物

 片や豊満、片や控えめ。

 両手一杯に触れてしまってる、異なる柔らかい胸の感触の率直な感想だ。


「んっん……洋、もっと激し目でもいいんだぞ」

「わ、私はちょっとダメかも……ふにゅ?!」

「マッサージにしか見えませんね。積木様はまだまだ甘々ですね」

「そ、そう言われましても……」

「全く……女性は男性にリードされたいものなのですよ?」

「そ、率先して触れろと?」

「えぇ。今の積木様では無理だと分かり切ってるので、わたくしが再びお手伝いします! それ!」


 強制移動された両手の行き先は、引き締まったお腹。

 視覚の肉体美と寸分狂わず、鍛えられた美腹筋とくびれは、理想の女性像そのもの。

 ミストの相乗効果で、生美肌が手に吸い付いてる。


「ふふ、擽ったいが気持ち良いな」

「あにゅん!? く、クセになりそう……はみゅ!?」

「ハァハァ……ふ、普段お目に掛かれない一面に、感無量です……ハァハァ……」


 興奮する蘭華さんに場所を譲ろうものなら、きっと今回ばかりは拒みそうだ。


 数分後、正常とは言えない状態の蘭華さんが、次に強制移動させたのは内腿(うちもも)

 しなやかでぷるんと弾力のある感触が、手を夢中にさせる。


「んんっ……ど、どうやら内腿に触れられるのに弱いみたいだ……んっ……」

「にゅひぃ!? よ、洋さんに触れられたら、どこでも弱くなっちゃう……ひゃい?!」

「こ、こんなにも姉様達がふっぐぅ……み、淫らに咲き乱れて……はふぅん……」

「は、はふぅん?……あ! ら、蘭華さん?!」


 白目剥き壁にもたれる蘭華さんは、幸福に満ちた失神っぷりだった。


 ♢♢♢♢


 蘭華さんの救出に肖り、サウナからの脱出に成功。

 峰子さん達は不完全燃焼だったのか、不服気味だった。


 着替えに更衣室に向かうと、入り口で青柳君が悠然と壁に寄り掛かってた。


「ふっ……悪く思うなよ積木」

「峰子さんに頼まれたんでしょ? だったら気にしてないよ」

「ふっ……俺が女だったらキュンとしてたな」

「そ、そう? ところで盟約ってなんだったの?」

「ふっ……今回のジムトレーニングの撮影許可だな。解散後に残り、じっくりと撮るつもりだ」

「成程、絵の練習に使うんだね」

「ふっ……想像に任せる」


 中身は帰り際にでも、峰子さん達にチェックされるだろうから、とやかく言う必要はない。

 これでサウナ詰みも一件落着だ。


 青柳君と時間を潰し、昼食の時間にジム4階の飲食エリアに向かった。

 どうやら僕らが最後で、美鼓さん達はダラダラと突っ伏してくつろいでた。


「洋、大海君。こっちに座ってくれ」


 手招く峰子さんから、サウナ詰みの件を微塵も感じない。

 過ぎた事は蒸し返さず、水に流した方がお互いの為だ。

 タンクトップ姿の義刃三姉妹の向かい側に座り、これで全員が集合した。


「洋達が来た事だ。昼食にしよう」

「オーダー式とバイキング式がありますので、お好みの方でお召し上がり下さい」

「食の乱れは身体の乱れに繋がりますので、くれぐれも食べ過ぎないようにお願いします」


 しゅーちゃんの釘刺し言葉に、皆の食欲増々のお腹は弁えたように見えた。

 各々離席し、一際お腹を鳴らす鈴木さんが1番に席に戻っていた。

 ホテルのビュッフェ級の料理をモリモリに盛った、見栄えは二の次の盛り付けだ。


「鈴木さんならペロリと完食しそうだけど、食べ過ぎじゃないかな……」

「ここがただの食事処だと思われていませんか積木様」

「あ、蘭華さん。もう平気なんですか?」

「姉様達の女神介抱ですよ? 滾りに滾ってますよ、えぇ」


 恍惚の微笑みに手を添え、女神介抱の余韻に浸る蘭華さん。


「話を戻しますが、ここプラチナジムでは低脂質高タンパク、野菜を中心とした食事が提供されてます。薄い味付けも香辛料や一工夫を加えれば、普段の食事と遜色ないクオリティに仕上がるのです」

「徹底してますね」

「えぇ。ご自宅でも見様見真似でもいいので習慣づけて頂きたい所ですが、現実的にはそう簡単に行きません」


 自立して食に自由の利く人ならまだしも、僕らは学生だ。

 ストイックでない限り、スタートを切るのも難しい所だ。


「ので球技大会の期間中、デリバリーサービスを北高生限定で無償にさせて頂きます。期間後は半額での提供にはなりますがね」

「す、凄いサービスですね」

「皆様の為が、姉様の為になるのならば、安いものですよ」


 根幹がブレない蘭華さんの強い精神には、感服の一言に尽きる。


 ビュッフェ式に混ざり数分、バリエーション豊かな盛り付けになった。

 自分の匙加減で好きな物を選べるから、ついつい色んなものを試したくなる。


「お、洋のは見栄えもバランスが良いな」

「そうですか? やっぱり性格が出ますね」

「ふふ、その中から気に入ったのを、おかわりする感じだな?」

「大当たりです」


 峰子さんは肉メインのガッツリ系で、おまけ程度にサラダとシンプルだった。

 お肉ばかりの盛り付けに、若干照れ臭そうだった。


「そ、それにしてもホテルの食事みたいですよね」

「あ、あぁ。実際、食事メインで足を運ぶ人がいる程、とても好評だ」

「家族連れとかもいますもんね」


 カップルにサラリーマン、お爺さんお婆さんもチラホラ見かけ、幅広い客層だ。

 ジム通いの人達が大半を占めてるも、入り難い空気感はなく、気軽に来やすい雰囲気だ。


「ちなみに全レシピの考案者は秋子だ。どれも満足のいく絶品だ」

「へ? しゅーちゃんが?」

「えぇ。一口食べただけで胃袋を鷲掴みされる事、間違い無しです」


 ヌッと現れた蘭華さんは、峰子さんと瓜二つなラインナップだった。

 2人と一緒にテーブルに戻ると、しゅーちゃんがソワソワと落ち着きなく座ってた。

 盛り付けは大豆料理と豆乳、盛り盛りなサラダと控えめな肉料理だった。


「峰子さんから聞いたけど、しゅーちゃんがレシピを考えたんだね」

「う、うん。きょ、今日は特別に料理もしたんだ……よ、洋さんの口に合うと良いんだけど……」

「え! 大変だったんじゃない?」

「よ、洋さんの為なら全然平気! そ、それより早く食べて欲しいかな……」


 忙しない指先モジモジと、期待と不安が混ざった顔をしてる。

 ご期待に沿える感想は言えないかもだけど、有難く頂こう。


「じゃあ、いただきます」

「ど、どうぞ!」

「……ん! 味も食感も見栄えも、全部最高! 流石しゅーちゃんだね!」


 お世辞抜きに次々と口に運びたくなる美味しさだ。

 これが食を楽しむ料理なんだと、誰かに伝えたいぐらい、口の中が幸せ一杯になる。


「え、えへへへ~」


 しゅーちゃんの自己暴力型抑制を、がっしりホールドした峰子さんと蘭華さん。

 手慣れた連係プレーは、双子が成せる賜物だ。


「手慣れてますね」

「「姉妹だからな(ですから)」」


 食も進み、話も弾む賑やかな昼食は続き、最終的には全員食べ過ぎていた。

 翌日も筋肉痛と一緒に、ジムへと足を運ぶ事になった。

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