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積木君は詰んでいる2  作者: とある農村の村人
16章 クラスメイトとジム
101/131

☆101話 上級の鬼教師、仕上がった身体、混サウナ、繊細かつ大胆な触診

※2023/10/20文末に馬蝶林野乃花のイラストを追加しました!

※イラストが苦手な方はスルーで!

 義刃家三姉妹の前に整列する僕らは、次なるトレーニング内容に耳を傾けた。


「では、今から名前を呼ばれた人は、それぞれ並んで欲しい」


 呼ばれるがまま、テキパキと並び始め、見事なまでに数がバラバラになった。


 馬蝶林さんを始めとした数人は峰子さんの下へ。

 鈴木さんと大多数が蘭華さんの下に。

 そして僕と青柳君、美鼓さんと数人がしゅーちゃんの前に並んだ。


「この3グループに別れ、トレーニングをして貰う」

「準備運動と有酸素運動の段階で、個々の基礎体力を見定めた上でのグループ分けですので、ご了承下さい」

「ちなみに峰子が初級、蘭華が中級、私が上級です」


 適切なグループ分けをされたのなら、鬼教師化したしゅーちゃんは絶対だ。


 そんなしゅーちゃんと目が合い、眼鏡越しに笑顔を向けてくれた。

 今から待ち受ける事を考えたら、引き攣った笑顔しか返せなかった。


 グループごとに別れ、しゅーちゃんに指定された各トレーニングマシンへと移動した。


「上級グループの皆さんならお判りでしょうが、いくら回数をこなせても、フォームが崩れては、ほぼほぼ効果はありません」


「どれだけの負荷が適切なのかを知り、正しい呼吸やフォームを頭に叩き込むのが、今回の目標です」


 スチャッと直す眼鏡が鋭く光り、本気が伝わってくる。

 しゅーちゃんの指導の下、トレーニングが始まり、それぞれが己の肉体と向き合ってる。


 僕は5kgダンベルを使った二の腕トレーニングだ。

 フォームと呼吸を意識し、丁寧にゆっくりと10回3セット。

 1セット目が余裕でも、3セット目には6回が限界だった。

 しゅーちゃん曰く、気落ちせずに前向きに捉えるのが継続の近道だそうだ。


 皆も同様な反応でも、モチベの方はまだまだ平気そうだ。


「終わりましたね。では、次の部位を鍛えますので指示通りに動いて下さい」

「ほい、しゅーぺっぺ。あとどんぐらい部位を鍛えんの?」

「15から20ですね。同じ部位でないので大丈夫です」

「ひぇー」


 上級ならではの本格的なメニューに、僕らは血相変えて必死に食らい続けた。


 ♢♢♢♢


 約90分に及ぶトレーニングが終わった途端、全員が座り込んだ。

 普段やらない事を一気にやり通すなんて、滅多な事が無い限りやらない方がいいと学んだ。


 だからこそジムに通ってる人の凄さが、改めて実感出来てる。


「皆さんお疲れ様でした。今回のメニューは上級の入門ですので、悪しからず」

「上には上があるんだね……ふぅ……」

「あばば、こりゃ明日ベッドから動けなくなるヤツだ」

「手を貸します、美鼓さん。動ける人は昼食まで自由時間ですので、移動して結構ですよ」


 幸い身体がプルプルするぐらいで、動けるには動ける。

 オーバーワークとまではいかないメニューには感服だ。


 ゆっくりと立ち上がった僕以外に、青柳君も平気そうで一緒にシャワー室へと向かった。


「青柳君って動けるんだね」

「ふっ……静動する3次元を速写する為、日々機敏に動かざるを得ないからな」

「なる……ほど?」


 絵描きならではの動きで、いつの間にか鍛えた身体になってた。

 という解釈でいいのだろうか。

 夏休み中の話を聞くと、各所を獅子奮迅と巡り、林間学校の時よりも身体が仕上がってると。


 衣服越しでも筋肉質な身体なのは、目に見えて分かってた。

 でも、同時にとある疑問が過ってた。

 これだけ仕上がった身体なのに、今回のジムにわざわざ参加してるのはどうしてなんだろうかと。


 シャワーを浴びつつ考えるも結局分からず、身体だけが綺麗さっぱりした。

 一層の事、直接青柳君に聞いた方が、モヤモヤを引き摺らずに済む話だ。

 着替え中の青柳君に声を掛けようとしたら、逆に話し掛けられた。


「そうだ積木。時間もあるだろうし、サウナでもうひと汗流さないか」

「さ、サウナ? 別にいいけど」


 昼食まで1時間以上残ってる。

 時間を潰すのには持って来いだ。

 男2人水入らずなら、気兼ねなく普段聞けない事も聞けそうだ。


 ♢♢♢♢


 3階のサウナ&プールは休日もあって、かなりの賑わいだ。

 ただトレーニング用プールだからか、遊びに来てる人は1人もいない。


 場違い感が否めない中、峰子さんから貰った学生プレミアパスカードを受付のお姉さんに見せ、足早にサウナエリアに向かった。


 思いの外サウナ目当ての人も多く、内心ホッとしてる。


「ふっ、見ろ積木、種類が豊富だ」

「6種類もあるね。どれにする?」

「手慣らしはミスト一択だ。行くぞ」


 水着仕様のサウナウェアが必須着用らしく、無料レンタルのウェアに着替えた。

 各サウナごとに大中小と3部屋あり、なるべく空いてる小部屋が好ましい。


 幸いミストの大中部屋は丁度メンテ中で、小部屋だけが利用状態だった。


「流石ミストだね。蒸気が凄くて、全然中が見えないや」

「入れば問題ない。さぁ、先に行くがいい」


 青柳君に後押しされ扉を開けた途端、熱気のミストが襲って来た。

 そんな中で奥の方に数人の人影が、かろうじて確認出来た。

 軽く挨拶の1つでもしておかないと。


「こんにちは」

「予定通り洋を連れて来てくれて感謝する、大海君」

「そ、その声は……峰子さん!?」

「ふっ……盟約の為ならば、お安い御用だ、義刃さん」


 青柳君が身を挺して退路を塞ぎ、まんまとハメられた。

 峰子さん以外にも、しゅーちゃんに蘭華さんもサウナウェア(ビキニ仕様)姿で僕を視界に捉えてる。

 義刃三姉妹とサウナ部屋なんて、全く想像してなかった。


「さぁ洋さん。これから20分間、私達だけの時間を過ごそうか」

「まぁ、逃げようとしたところで無駄ですがね」

「という事だ、洋。大人しく私達の間に座ってくれ」


 このままだと義刃三姉妹の思う壺。

 状況打破の見込める正論を、今すぐ言わせて貰う。


「そ、そもそもサウナって男女別ですよね?」


「それは普通のサウナならの話だ、洋さん。それにプラチナジムは、サウナウェアの必須着用だ」

「裸の付き合いをしてる訳でもない、ごく健全なサウナですので男女共々でも、なんら問題はありません」

「いわば混浴ならぬ混サウナだな。ふふ」


 今回のジム話が提案された時点で、最初から敗北していたんだ。

 敗者は敗者らしく勝者に従うべき。

 ここに座ってくれという、ぽんぽんジェスチャーに僕は素直に従った。


 峰子さんとしゅーちゃんの間に座った瞬間、両腕が密着ホールド。

 背後に鎮座する蘭華さんも、何時逃げ出しても瞬時に捕えられる様に、目を光らせてる。


「ふふふ……秋子のトレーニングの甲斐あってか、いつにも増して勇ましいな」

「わちょ?!」

「ほぉわぁ……洋しゃんの身体、漢らしい……」

「なっふ?!」

「素直に喜んでいいのですよ、積木様」


 繊細かつ大胆に触れてくる2人が、どんどん息を荒立てて、喜ぶ云々の話じゃない。


 数分間に及ぶ興奮冷めやらぬ触診タイムに、色々擦り減ったのに対し、2人は物凄くホクホクで満たされていた。


「ふぅ……さぁ、洋も思う存分好きなだけ触れてくれ」

「ウェア越しがあれなら、直接でも勿論構わないから」

「さ、流石に駄目だよ! ら、蘭華さんだって反対ですよね?」

「姉様達が直々にお許しなので、わたくしは目を瞑ります。この千載一遇のチャンスを逃せば、それこそふざけるなって話です」


 今までの蘭華さんなら、僕が峰子さんと一緒にいるだけで恨み節を爆発させていた。

 今はむしろ、峰子さん達に触れないと制裁が下される、何とも言えない状況になってる。


 2人も僕の両手を解き、今か今かと触れられる気満々だ。


 このまま何もせずにいる方が危険なんだ。

 ただし触れる場所は僕の自由だ。

 手を握ってさえしまえば、余計な場所に触れず済む。


「……で、では、やらせて頂きます……失礼します!」

「む。手握りか」

「これはこれでありだけど……」


 期待外れな反応な反面、しっかりとキュッと握り返してきてる。

 蘭華さんも納得せざるを得ない筈だ。


「仲良しこよしごっこじゃないんです! 手ぬるいです! 触るとはこういう事をするのですよ! それ!」

「ちょ!?」

「んひゃ?!」

「んっ」


 蘭華さんの強制誘導により、2人の胸を鷲掴みさせられ、不可抗力でしっかりと指先を動かし、ムニムニと揉んでしまっていた。

挿絵(By みてみん)

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