1/2
プロローグ〜任命
「リュース・マハル」
馬鹿みたいに広い謁見の間で俺の名が呼ばれる。
えっと、どうすればいいんだ? 返事しちゃっていいんだよな? いや、でも、もし仮に喋っちゃいけないタイミングだとしたら? 続く言葉に返事が被っちまったらヤバくね? 処刑とかされるかも? いや、でも響的には返事を待ってる感じの切り方みたいだったつーか、現に続く言葉もないし、これ返事しないとマズイ奴か?
「……はっ」
遅かった? セーフ? 平伏しているから周りの状態が全然わかんねえ……セーフだな、セーフ!セーフ!
「そなたを黒套騎士団長の任に命ずる……励むが良い」
は? いや、なんで? え、俺の聞き間違い? 団長って聞こえたんだけど、末席の俺に団長なんて有り得ないよな?
「……ははっ」
訳の分からない思考でパンク寸前だったが、取り敢えず返事だけは出来た……声震えてた気がするが。
この日、俺ことリュース・マハル((26)童貞歴=年齢、魔法使いへの道まっしぐら!)は帝国騎士団で1番不人気の黒套騎士団長となったのだ。