コーキョ、夢の中の通話
俺は現実の女に電話でも声でコミュニケーションすらできないDT(童貞)の23歳。
これまで彼女もいたことはなく、女にも奥手。
そんな俺は数日前にも、会社の先輩にキャバクラに誘われた。
入って数分。先輩は徹底的に自分が思っていることをベラベラ喋る。俺は奥手なので何も言えず、出されるお酒をちびちび飲むばかり。
俺は、こいつら(キャバクラ嬢)は相手の話を聞きだすのはプロで俺を十分に楽しませてくれるエンターティナーだとばかり思っていた。
ところがこいつらは俺に話しかけずに、よく喋る先輩の話にうなづいているだけ。俺に積極的に話しかけて楽しませろやと思う。ただ時間が過ぎるばかり。
俺だけ喋らず、気まずい思い雰囲気。俺は楽しくなるために金を払っているのになんだコレは!?
おれはとてもなく不愉快だ。
そんな、阿婆擦れ女も仕事なのか、一応俺に話しかけてきた。
「あの・・・あまり飲んでませんね」
(えっ、おれちびちびやってるけど・・・)
「ええ・・・」
「趣味は?」
「ネットとかアニメかな?」
「じゃー"萌え”ーとか、”しょぼーん(´・ω・`)”とか言ったり使ったりするんですか?」
「はぁ・・・、きたぁ(゜∀゜)とかいうね!」
「すごいですね・・・・・・・・」
だいたいこれでキャバ上の話は終わり。俺は後でカラオケを歌っただけでキャバクラを出た。キャバクラの代金5000円。
なんやそや、俺の仕事明けのしかも、はなきんもそれで終わり。
俺は疲れてアパートへ帰った。
そして目が覚めて土曜日。
朝7時くらいに1回目が覚めたが再びふとんの中へ。11時までただ横になる。
そして昼に食事。部屋をちょっと片付けて、それから暇を持て余していた。
「競馬でもやってみるか」午後1時ごろに俺はオンライン投票ができるネット競馬のページを見ていた。
「昨日はキャバクラでムダ金使ったし、勝負だ!勝負」
実はこの間、500円かけて2000円当たっていた。
「500円×6口で3000円の勝負!うまく当たれば1万5千くらいになりそうだな」
単勝、複勝、枠複、いろいろ掛け合わせて投票・・・・結果は全部・・・ハズレ
3000円が・・・食べ放題でうまいものがギリギリ食べられる金額・・・・もう嫌・・・。
ああ・・・競馬に、楽しくもない女との遊び・・・俺の貴重な時間と嫌な思いして稼いだ金が・・・・しょうもないことに消える・・・もう嫌だ・・・・もう何もする気が起きない・・・・。
俺は再びベットに向かいそれから当分寝てた。次起きたのが午後5時近くだった。その間俺は夢を見た。
俺はいつもそうだ。最近、女子と会話らしい会話をしたのはいつだったっけ?
会社の女子とも会話が続かない。話題を振られても話を広げられず、一言だけで返してしまう。おかげで俺は会社では男としてみてもらえず、そこらへんの石ころと同じ風な扱い。
これじゃあ彼女なんて勿論できない。彼女なんて夢のまた夢。
でもなー。女の子と話したらドキドキはするが、どうしようもない理性が女を避けている。なんなんだ。
俺は情けなくて悔しくて1時間くらいモヤモヤしながら寝ころんでいたが、眠りが来て当分寝てた。次起きたのが午後5時近くだった。その間俺は夢を見た。
俺は眠りの中で、夢の中でなぜか今住んでいるところと違う実家の仏間で誰かにスマホから通話をしようとしていた。
電話がかかる。正直、これが電話かメッセージアプリの通話機能だったか俺は忘れたがメッセージアプリということにしておこう。
「もしもし元気」
いきなり、かわいい声のJK・JC(女子高生・女子中学生)あたりの女の声で話し始めてきた。
「もしもし元気です。こんにちは、ところで君は若い声しているけど学生かな。俺は社会人なんだけど・・君のような若い世代と話せて俺はうれしいよ。今日の昼飯は何を食べた?」
(ん、おれは確か、そんなことは聞き出せない性格だったような?そ、そうかここは夢で俺はこんなことでもスバスバ聞ける性質になっているんだ)
「えーっねぇ、一度に聞きすぎだよ」
「ごめん」
「君の名前は」
「わたしはコーキョ」
それから俺はコーキョと色々話した。
だが夢というのは大半何をしていたか忘れるもの、起きたときには何を話したか忘れていた。
そして夢の中でもさっき会ったことの記憶が消え始める。
俺は再び訪ねた
「と、ところで、君の名前は」
「コーキョだよ」
「そうそうコーキョ、コーキョちゃん」
「それじゃあ、私の知り合いに変わるけどいい?」
コーキョは唐突に知り合いに替わるという。
「こんにちはナナミです。」
俺はナナミちゃんとも少し話した・・・と思う。正直いうとナナミちゃんもナナミちゃんという名前だったか不明だ。
そして再びコーキョに電話を替わる。
だが、夢の中で再び俺の記憶は消えかかっていた。
「で、君の名前なんだっけ?」
俺はこの子の名前だけ覚えておくぞみたいな雰囲気でまた聞き返したのだった。
「ええwwわたしはコーキョだよ」
どうやら芸人が良くやるテンドンみたいに何度も繰り返して聞いてコーキョは面白かったらしい。
そして通話開始から15分くらい経っただろか。
「いろいろ面白かったよ、じゃあね」
「うん、じゃあね。」
結局夢の中、しかも顔が見えず電話だけの会話だったが普段の俺にはできない女子との会話が夢の中で出来ただけでも楽しかった余韻が残った。
俺は、夢の大半を忘れていたがコーキョという名前だけはしっかり覚えていることができた。後から思うが「コーキョ」という名前は「キョーコ」から来てたんじゃないかなと後で思う。
あれから、もちろんコーキョの夢は見ていない。コーキョとも一期一会なのだろう。