初めて来る場所ってわからないことだらけ
「ここまででいいか?まあ、とりあえずこの街でゆっくりしいくといい」
「あ、はい、分かりましたー」
そう言って隊長さんに別れを告げてようやく街に入れた。
……そういえば、身分証明書みたいなカードあったけど、あれを見せてたら…
(少しはスムーズにことが運んだと思います)
やっぱり…まあ、少しなら誤差だな…うん…。
とりあえず旅先というか、しばらくこの街で過ごせるように宿を探さないとな。
さてと、どこにあr
「そういえば」
「!?」
急に後ろから声をかけられて体がビクゥなってしまった。
後ろを振り返ると隊長さんが居た。
「おおっと…驚かせたか…すまんな。
お前さんの捕まえた盗賊団の報酬を渡しそびれててな」
そう言って隊長さんが懐からカードを出した。
「?」
「…あーそういえばお前さん村から出てきてたんだよな、身分証での金銭のやり取りはわかるか?」
「いえ、全く」
「なら、こう言った街というより殆どの場所でこの身分証での金のやり取りができるようになってんだ。
………まさか、身分証を落としちまったか?」
「あ、いえ、ありますよ、ありますあります………これですよね?」
「そうだ、んじゃあ」
と言うと隊長さんが俺の身分証に近づけると
チャリーン
という分かりやすい音が聞こえた。
名前の下に所持金:50000Rと書かれている。
「これでやり取り完了だ。
ちなみにこのやり取りでは金を払うことしかできねぇから、相手の金を奪うことは出来ねぇようになってる…っつっても、俺もあまり詳しいことは知らねぇから、詳しいことはこの通りをまっすぐ行けばある中央広場の商業ギルドで聞くんだな」
「なるほど、あのー」
「ん?なんだ?」
「宿ってどこにありますか?できれば隊長さんおすすめの」
「んーむ……なら、食堂付きで大衆浴場が近くにある中央広場近くの『ククルガの宿』がおすすめだな」
「なるほど、あとほかのギルドってどこにあるんですか?」
「ん?ああ、そういえば村を出てこの街まできたんだったな…まあ、お前さんがやりたいことによって色々あるが、ほとんどのギルドが中央広場にあるから、とりあえず中央広場に行ってくれ、何をするギルドかは看板を見りゃわかる…これぐらいでいいか?」
「あ、はい、ありがとうございます」
「んじゃあ、街で何かあったらそこら辺を巡回してる奴か門番あたりにでも頼ってくれ」
「分かりましたー」
「おう……そういえば、ようこそクラバスへ、ゆっくりしてけよー」
隊長さんがそう言うと、元来た通路に戻っていた…。
さてと、とりあえず中央広場に行くとしよう。
中央広場が見えてきた。
そこそこ人がここに来るまでに行き交っていたが、荷馬車が2つは余裕で通れる広さのおかげで、そこまで混雑していなかった。
中央広場は真ん中に大きな噴水が水を高々と上げており、いくつかの大きな建物がそれを囲むように建っていた。
とりあえず、ククルガの宿を探したいが中央広場の近くで大衆浴場がある場所か………どこだ?
(ここから西にのびる道を進めばあります)
あ、ありがとうございます神託さん……えーっと…西は…
(今通ってきた道の反対側にある道です)
………………………。
わ、分かってたしー。
(そうでしたか、申し訳ございません)
…いや、あの……はい、分からなかったので助かりました。
と、とりあえず宿にイクゾー。
西の道に入って直ぐ左側にそこそこ大きい建物があり、看板には『ククルガの宿』と書かれたあった。その反対側に大衆浴場があることからここで間違い無いだろう。
中に入ると、ちょうどお昼時だからか従業員さんが忙しなく動いていた。
そしてちょうど良く従業員さんと目があった。
「あ!いらっしゃっいませ、お泊まりですか?それともお食事ですか?」
「泊まりたいんですが、部屋は空いていますか?」
「お泊まりですね…………あーすみません。ただ今一人部屋が埋まってまして…少々お高いですが二人部屋で良ければ…」
「んー…おいくらですかね?」
「二人部屋は一泊1900Rです。
もちろん、一人部屋が空きましたらそちらに移っていただいても構いません。
一人部屋は一泊800Rなので…」
うーん…高いのか安いのかお金の価値観がわからん!
まあ、とりあえず。
「二人部屋でお願いできますか?」
「かしこまりました、それでは先にお代金の方を」
そういうと大きな台にカードをかざすように促してきた。
「十泊分でいいかな」
カードをかざすと
チャリーン
という音とともに台の下の方に金額が出た。
結構痛い出費だなぁ…。
「それでは、こちらがお部屋の鍵です。
3階の一番奥の307です。
それとこちらが向かいの大衆浴場割引札です。
こちらにお泊まりになっている間はいつでも使えますのでご利用ください」
「分かりました、ありがとうございます」
「それではごゆっくりどうぞ」
そう言ってまた食堂に戻っていった。
これで泊まる場所は確保したし、とりあえず部屋でも見てみるか。
3階に上がるまでに2、3人ほど人とすれ違ったが、ガタイの良い人だったり、猫耳を頭に生やした人だったりと、改めて異世界に来たことを実感した。
「えーっと一番奥の…307ここだな」
渡された鍵でドアを開けると、中は二人部屋というだけあって、一人の俺だとスペースがかなり余る広さだった。
ベッドは二段ベッドではなく、横に二つ並んだタイプで、ベッドの質は思っていたより堅くないというくらいだった。
窓の外を見ると、正面の大衆浴場が見える。
さて……とりあえず、ガイアのための許可印を貰わないとな……どこで貰うんだ?
(役場に行って貰う、又は従魔ギルドで貰うの二通りあります)
へーどっちがおすすめですか?
(役場ですと作るのに1日かかります。
従魔ギルドですとすぐできますが、従魔ギルドでは従魔ギルドで召喚した従魔以外は登録できません)
はーなるほど、ということは役場に行くのか。
役場がどこにありますか?
(案内しましょうか?)
あ、お願いします。
(かしこまりました)
よし…とりあえずお腹はまだ空いてないし、役場に行くとしよう。
まさかのキャッシュレス
次回:役場へ