俺は悪くねぇーーーーーーー
やっとのこと…
道を軽く走るのに少し飽きてきた頃…。
ようやく目的地の街の城壁?が見えてきた。
「お!あれが目的地でいいんだよな」
(その通りです。)
「了解っと、そろそろ止まるぞー」
そういうと、馬でも少し疲れてしまったのか、俺の耳にギリギリ聞こえる鳴き声を出した。
…ちょっと調子に乗りすぎたか…?
少しずつ減速してくと、城門がはっきり見えてきた…?
あれ?様子が…。
「あ!あい………です!!」
「!…ぞ!総員!…え!!」
所々聞こえずらかったけど、なんとなく歓迎されてないよな……とりあえず、さっきやった通り…。
「おーーーーいーーーーーおれはーー敵じゃなーーーい」
両手を上げて、アピールをして見る…………。
ゆっくりと近づいていくと、武器を構えた状態で…。
「お前が盗賊団のボスか!」
「え?いやいや、俺はこいつらを連行しに「なるほど!自首しにきたか!隊長!」え?いやだから」
「ああ…まあ…自首なら罪も少しは軽くなるだろう…連れて行け」
そう言って、後ろから少し顔が細長く、目が少し疲れている男が周りの部下に指示すると、俺はあっという間に、両腕を掴まれていた。
「え?だから俺は!」
「話は後でアジトの場所と一緒に話させてやるから、少し黙ってろ!」
「アジトの場所って…善良な村から出てまもない俺が知るわけ!」
「黙れ!!」
そう言って俺の右腕を掴んだ奴が右腕を思い切り後ろに回す…俗に言うところの関節技なのだろう…が。
普通なら痛くて悲鳴を上げるはずなのに、全く痛くない。
えーっと…どうしたものか…正直話を聞いてもらえなそうだし、かと言って高速を振り解いて誤解を解くのも得策じゃあない…。
ここは一回くらい捕まっておくか…これも経験だろ…はぁ、早く勇人に会えねぇかな…。
連れられた牢屋のは、すでに一人捕まっており、俺が入ってくるとフードをかぶっていても分かるくらいに睨みつけられた。
「後でお前にはしっかり尋問してやるから覚悟しておけ!」
「えー…」
文句を言いたいが、あまりこちらから非を作って、後でどうこう言われると面倒なので、ここはひとまず黙るとする。
それよりも…だ。
目の前にいるこいつがずっと睨みつけてきて怖いんだが…。
「あのー、あまり睨みつけないでもらえますかねぇ…どうせ同じ牢に閉じ込められているんですから、あまりギスギスしても居心地が悪くなるだけなんですが…」
そういうと、目の前の睨み男が低い声で…。
「……お前…、何もんだ……」
「え?あーこれは失礼、俺は幻夜…何日か前に村を出て森の中を探検してたら山賊?盗賊?に会ってボコってここに連れてきたら、なんか仲間と見間違えられたただの冒険好きの村人ですよ…あなたは?」
「……グレム…ゲンヤ…年はいくつだ…やっぱり10か?」
「いやいや、どっからどう見ても17だろ?誰が10だよ」
「??…ゲンヤは…ずいぶん遅い歳で村を出たんだな…俺の知る限りでは遅くても14で村を出て出稼ぎに行くと聞いたが…」
「へー…」
マジかよ、10で冒険とかポ◯◯ンかよ!?
「まあ、世界ってのは広いってこった…そういうグレムは……2…18…くらいか?」
「ああ…少し老けて見えるか?」
「あーなんて言うか、顔が見えないから声の感じで少しだけな…」
「そうか…たしかに話すのにフードは無作法だったな…だが、これは外したくないんだ…許せ」
「別にいいよ、なんか理由があるのなら無理に聞かないし外そうとは思わない…いや少し気になるけど問題ない」
「……気遣い感謝する…」
「気遣ってないんだがな、それよりもグレムは何やらかしたんだ?窃盗?万引き?それとも引ったくり?」
「どれも同じだ…俺は…」
「グレム=クラゼス様、迎えのものが」
グレムが何かを言おうとしたとき、看守から声がかかる。
グレムは小さく舌打ちをして立ち上がり、そして、
「ゲンヤ、もし出られたらこの場所に…」
そう言って小さな紙を看守から見えない角度で渡してきた。
俺は何も言えず、紙を受け取りグレムを見送った。
クラゼス……もしかして…
「お前もだ!隊長直々に尋問される覚悟しておけ!」
「あ、はい」
「ここだ!さっさと入れ!」
「分かりました、失礼します」
そう言って中に入ると、出入り口のすぐ両側に男二人…そして目の前に隊長と呼ばれていた男がいた。
「まあ、座れ」
「あ、はい、ありがとうございます」
「お前たちは下がってろ」
「そ、そう言うわけには!」「ばッ!」
「…二度も支持させるなよ?」
そういうと部屋の空気…いや室温が下がっていくのを感じる。
(水属性魔法の上位である氷属性魔法の魔力によるものです、なお、ゲンヤ様の場合、混合属性魔法に統合されております)
はぁなるほど…。
「す!すみません!なにぶんこいつは新人なもんで!後できつく言っておきます!」
「いや…そんなことに無駄に時間を使うな…今後は気をつけろ…」
「「はっ!!」」
そう言って隊長に敬礼すると、この場を去っていった。
「…では、単刀直入に聞くが、君は盗賊団のボスか?」
「違いますよ、俺は運悪く盗賊に出会したただの冒険好きな村人ですよ」
「……なるほど…それならなんでステータスを偽装しているんだ。
ちなみに嘘をついても俺の眼は誤魔化せねぇからな」
「……………………………………」
え!?どういうこと!?神託さーん!
(彼は魔眼の持ち主です、持っている力として相手のステータスを覗くことができることと、嘘に違和感を感じるようです)
マジかよ!?ん?でも違和感を感じるということは本当の事と嘘を混ぜればいいんですよね?
(それならば、問題ないでしょう)
「黙ってるってことは、何か言ったらまずい事があるんだな?
大抵の場合嘘をついているやつは」
「す!すいませんでしたー!」
「!?」
「じ、実は森で迷子になりまして、やっとのこと整備された道に出たんですが、丁度行商の馬車が盗賊に追われてまして、自分も少し巻き込まれて、盗賊に囲まれてしまいまして…でも、どうやら俺を取り囲んだ奴らはどうにか対処できまして、捕まえた盗賊と一緒にここまで来て今に至るんです!」
どうだ!これでダメなら、俺はもう何もできん!
「………なるほど…どうやら本当らしいな…だが」
!だ、ダメだったか!?
「お前を取り囲んだ奴らは俺たち騎士よりかは弱いが一般人ならば危険な行為だ。
とりあえず、君は嘘を言っていないらしい、今日のところは釈放だ。
長い間拘束してすまなかったな、まあ、もし街の中で何かあれば即刻牢屋行きだがな。
君の持ち物はそこの机にある」
「分かりました!失礼します!」
そう言って荷物を持って外に出ると隊長さん直々に外まで案内してくれた……ふぅ…どうにかなって良かったー…。
とりあえず、無事に街へ到達!
次回:そういえば…




