知人、友人、親友
「まあいいさ、後の話はこの温かい料理を食べてからにしよう。
それにもう1人来る予定だしね」
「もう1人?それなら待ったほうが」
「いや何、遅れてくる方は夕食を食べてからくるから構わないさ、んじゃ、いただきます」
「?いただきます」
「恵みに感謝を…」
ギルドマスターの合図でそれぞれが食べたいものを取り食べる。
お、この肉、鳥肉か?
味付けも俺好みでしかも、肉が柔かい。
このサラダも良いな……でも昼飯の時の方が好きかなぁ…。
…んで、この飲み物って…。
「これって酒か?」
「?酒は嫌いかい?」
「あー…いや、村で飲んだことないからなぁ…」
「へー、祭りごととかでも飲まないのかい?」
「いや、大人達は飲んでたけど、俺はちょい…まあ、飲んでみるか」
「そうそう、あ、でも初めてならあまり一気に飲まない方がいいよ、結構味強いから」
ギルドマスターの注意を聞いて…そういえば俺、死ぬ前は未成年だったけど…今の身体って成長するのか?
(成長はしますが、身体は完全に成長しています)
はぁ…なるほど、まあ未成年が酒を飲んだらダメなのは身体がどーたらこーたらだったはずだし、問題ないか。
「……ん、結構濃いな…」
「はは、まあいずれ慣れるよ、僕も初めh」
コンコンコンコン…。
ギルドマスターが昔話をしようとした時、扉がノックされ、店員さんの声がつづく
「お客様、お連れの方がお目見えですが…」
「ああ、通してください」
「かしこまりました」
そう言って店員さんの足音が遠のいていき、数秒後には2人分の足音が聞こえてきた。
足音が扉の前で止まり、扉が開く。
「すまない、待たせた…ん?」
入ってきた人と目が合う…ん?グレム?
「いえ、そこまで待っていませんよ……どうしかしましたか?」
「いや、何でもない…それでこの2人は?」
「そうですね、こちらはゲンヤ君、それでこちらが
「お初にお目にかかります、某はフモート大陸のラミーラ国より訳あって旅をしております、ムサシと申します」」
!?
いきなりムサシがかしこまった!?
「!ラミーラから…なるほど、私の名はグレム、グレム=クラゼスだ。その訳を話してもらえるのかな?」
「はい…と言っても本国から連絡した内容と同じなため
「いや、構わないさ、私も詳しく聞かされていないからね」
「御意」
グレムもグレムでなんか王子様モードだし…なんだこの場違い感は……。
まあ、ムサシの話を要約すると、自国の参謀が裏で進めていた魔術式改造計画をテストなし(まあ、できないだろうけど)で起動させた結果、術式もろとも大爆発を引き起こして失敗。
幸い?なことに敵国が攻めて来ていたおかげで敵国の軍団もほぼ壊滅…まあ痛み分けで一旦戦争を中断した。
が、ここからやばいことが判明した。
失敗と思われた術式が実は成功していて、亡くなった者達の魔力をごっそり使って大人数の転移者を呼び込んでしまった。
しかも、自国だけではなく、他国にまで影響が及んでしまってとりあえず状況を把握するためにも各大陸に数名の使者を送り確認している…とのことだ。
「土地争いの戦に他国を巻き込んでしまったことで、敵国と一旦和解をし、一時的に協力して動いているのですが…」
「………?どうしたんだ?」
「いえ、実の所、某らの国では今の所報告の限りで13人おりまして、10人でも賄う事がやっとのことでありまして…」
「なるほど…つまり我々に転移者達の保護をして貰いたいと?」
「はい、身勝手ながら…」
「……そうだな…すまないがこの件は取り急ぎ王に伝えるが、あまり期待しないでほしい」
「いえ、話だけでも聞いていただけるとありがたいです」
そう言ってムサシは席から立ち上がり深く頭を下げた。
グレムの方もそれを見て謝罪を受け取り、外に控えていた人にその事を伝える。
…なんか、俺みたいな奴が聞いていいのかな…。
「ゲンヤ君、これ君に関係している事だから聞いてもらっているんだよ?」
「え?顔に出てましたか?」
「まあ、そういうことかな…それでグレム王子」
「ああ、そうだったね……ゲンヤ…君」
「…ゲンヤでいいよ、グレム。
どうせ公式の場じゃねえし、誰も指摘しないだろ?」
「あ、ゲンヤ君!」
「いえ、問題ないですよ…これでもゲンヤとは一回話してますから」
「そー言うこと…それで話ってのは?」
「……ハヤトって名前に聞き覚えあるかい?」
「!」
設定メモ
クラゼス王国はクラゼス=べへナムが建国した国であり
王を中心としたテンプレ的な王政国家。
現国王クラゼス=ノートロ、又の名をクラゼス14世
王子はグレムのほかに2人おり、王女は2人である。
次回:親友の回想から。
お楽しみに!




