全力で逃げるけど全力は見せない
屋根に登ったはいいがここからどこに
「すごいね君、正直ビックリだよ」
「おわ!?こっちの方がビビるわ!?なんでここに!?」
「聞きたいなら「いや、やっぱりいいです、帰ります、さいなら!」あ!ちょっと!」
止めても無駄無駄!面倒事に違いないし!
それにここから確実に帰れる方法を思いついたしね!
別れの言葉を言って屋根の上をできるだけ人に見られないであろうルートで逃げる。
まあ、当然?のことながらギルドマスターも追ってくる…けどなんかどんどん離れていってる。
よし、この距離なら大丈夫だな
とりあえず適当な狭い建物と建物の間の路地に降りて
「神託さん、ここから宿までお願いします、できれば部屋の中で」
(かしこまりました)
神託さんの返事と同時に暗い路地から一瞬で宿の部屋に着いた。
ふぃ〜…たすk
「!?」
「あ、ムサシ」
…そういえば、ムサシと同じ部屋だったな……どうしよう。
「い、一体、いつから!?気配も感じなかったでござるよ!?」
「…ちょっと色々あったからなぁ……まあ、これも内密に」
「何があったでござるか!?」
「知らない方がいい、それとムサシ」
「なんでござる?」
「口調が「!ど、どうかこの事は!」あ、ああ、分かった分かったから離れてくれ〜…」
「いきなりこんな暗い路地に……あれ?」
おかしい…さっきまで自分よりかなりの速度で逃げていた彼が急に速度を緩めて降りたと思ったら消えていた……。
「隠し通路……いや、その形跡がない…」
壁に地面…近くに彼の魔力がないと言うことが何よりの証拠だ…一体どうやって……。
「まあ、逃げられても明日になればギルドに来るだろうし、果報は寝て待て…じゃないな、明日は会議だし…仕方ない、少しくらいは本気を出さないとな」
久々に使うけど、まあどうせ持って生まれた能力は使えるだけ使うとしよう。
少年が少しだけ目を閉じ、小さな声で
「“テレポート”」
その瞬間、少年の姿はさっきまでとは違う路地にいた。
賑わいがあり、少しだけ温泉臭と料理の美味しい匂いがする冒険者ギルド近くの宿の近くに来たのである。
「ふぅ…久しぶりだからか少しだけずれちゃったか、まあ良いや、とりあえずこれで直接会えるは……ん?」
路地から出て彼の宿泊している宿を見た瞬間、彼の魔力がはっきりと見えた!
「!どうして…」
少年は少し足を止めて驚いたものの、すぐに立ち直り宿へと向かった……。
「まあ、そう言う事があってな」
「なるほど、しかしながら今日逃げれても明日からどうするんですか?」
「それなんd」
コンコンコンコン
「?はーい」
一体誰だろう…あ、もしかして女将さんかな?
(いえ、ギルドマスター、ヴェリー=ウォルナートです)
ドアノブに手をかけたのをやめ、ドアが開かないように足で防ぐ。
「んん?どうかされましたか?ゲンヤ殿?」
「んんん?べべべベーつに?ただなーんとなくね?」
「?」
「…ドアの前で話しましょうこれ以上入られてもお茶は出ないし椅子も出せないぜ、ギルドマスター?」
「え、ギルド…マスター?」
「………分かったよ、あまり女将さんを困らせたくないしね」
…よしよし、これで多分最悪のケースはなくなった………はず!
設定メモ
逃げた方向は宿の逆方面へ逃げています。
ゲンヤが使った?魔法はテレポートです。
次回:扉越しの会話と1日の締め




