すみません、一般人です
聞こえてきた方に向かうにつれ、音が、声が大きくなっていく。
「離して!離してよ!!」
「るっせぇガキだな...旦那ここで」
「やめろ、そいつは計画の要だ。傷一つ着けんじゃねぇぞ」
「へへへ、分かってやすよぉ...そんなに睨まないでくだせぇ」
「...まあ、確かにうるさいな...無音」
「!、!!」
「おお、さすが旦那だぜぇ!」
「...てめえのその口もふさいでやろうか?」
「へへへ、やめてくださいよぉ」
...引き返そうかなぁ...いや、まあ気になるから行くけど...。
声のするところの手前で顔をのぞかせると、ガタイのでかい男とローブを身に着け顔を隠している男、そして先ほどまで大声で抵抗していたであろう女性がガタイのでかい男に担がれいている。
...わぉ、これってよくドラマとか漫画で見る誘拐現場じゃーん...。
「それより聞きましたか?」
「何をだ?」
「この前、取引した山賊...あーっと名前は...まあいいでさぁ、それでその山賊が」
「捕まったんだろ?」
「なーんだ、知ってんでしたか...」
まじかよ、こいつらあの時の山賊の知り合いか。
にしてもどうするか...助けるべきだけど...。
(後方注意、迎撃します)
「へ?」
「n!?」
後ろを振り向くと鈍器を振り上げて凍り付いていた男が居た。
...もしかしなくても、
「にしてもサーリの奴遅いですねぇ」
「ったく、あいつは仕事がお前と同じでおせぇ奴だ...」
「やめてくださいよぉ」
「ふんっ........誰だ、そこにいるやつ」
「「!?」」
やばい見つかった!?
ど、どうしよう!?このまま出ても勝て...勝てるか、よし!
「な、なにをしてるんだだだ」
「馬鹿な奴だ、ここに来なければ死ななかったものを...雷球!」
ローブの男が杖をもって俺に魔法を出してきた!
ものすごく早い!?避けれな!
バッシャーーーーーーーーンバリバリ
「ぐわああああああああああああ!!」
「へへへ、運の悪い野郎だぜぇ」
「ああああ...あれ?」
「「!?」」
滅茶苦茶痛そうな音がしたけど、あんま痛くないな?
というか、マッサージみたいで気持ち良いな!
って、そうじゃないな、とりあえず反撃でもするか!
「んじゃあ、反撃開始!」
「っ!」
「いつもの拘束!」
「「!!」」
いやー、これに限るというか、あまり人とか悪人でも傷つけたくないからね!
「だ、旦那ぁ!早く助けてくだせぇ!」
「わかっている!術破壊!」
ローブの男が魔法を唱える...が、何も起こらなかった。
何となく名前的に拘束とかの魔法を解く魔法なんだろうなぁ。
「!?な、なぜだ!?何をした!」
「知らん!」
(術破壊は魔法をかけた相手の魔力を自分の魔力が上回ったとき発動します)
なるほど、いつも解説ありがとうございます神託さん!
「まあ、俺よりお前が弱かったってことだ!」
「なんだと!」
まあ、そんなことよりさっさと捕まってる女性を解放しないとな!
そう思って女性に近づいて...
あれ?俺も術破壊使えるんですかね?
(はい、可能です)
「んじゃあ、術破壊」
「!だ、誰!?」
「あ、いや、ぼ、冒険者ギルドに登録している一般人です」
「????」
「まあ、とりあえずここから出ましょうか?」
「!!おねがいします!」
「分かりました、んじゃあこいつ等は...お前ら歩く気ある?」
「さっさと解除しろ!」
「そうだ!そうだ!」
「あー了解、じゃあ引きづるか...面倒だなぁ」
「「!?」」
「じゃあ、ついてきてください」
「え、あ、はい!」
女性はちらりと驚いている男たちを見て返事する。
あ、そういえば凍り付いた男も居たな...まあ、こいつも拘束しておくか。
ちゃちゃっと魔法を唱えて、凍ったまま引きづって壊れたら困るので術破壊をかけてから引きづる...そこまで重くないのは多分この体だからだろうな...。
設定メモ
神託さんが迎撃に使う魔法はその場に合わせて使うため、前回では木属性魔法でしたが、今回は湿度がそこそこあり、近くに水があったため氷属性魔法での拘束を行いました。
さらに言えば、相手の耐性を考慮しているので耐性のある属性魔法では迎撃しません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




