バッドラックとダンスして行く
前編
「…………ん……ここは……」
目が覚めて辺りを見回す、空は青く明るい…しかし太陽が見当たらず、地面は雲のように白かった。
明らかに見覚えのない場所だった。
「一体、ここは」
「あら?どなた?」
そう疑問を口に出すと不意に背後から女性の声がする。
すぐに振り向くと、そこには…声とは真逆の男がいた…!?
「あら?怯えなくてもよろしっくって?」
「あ、ええっと、お、俺の名前は高野幻夜って言います。
こ、ここはどこですか?」
「コウノ君ね、私はルドゲスよ。
ここは、あたしの空間なのだけれども、いきなりコウノ君が突然出てきてびっくりしたわ?」
「そ、そうだったん…?
ちょ、ちょっと待ってください!
突然出てきたってどういう事ですか!?」
「言葉の通りよ?
あら?よく見たらコウノ君、空間魔法を覚えてないのね?
どうやってここへ来たのかしら?」
「は?え?もしかして…」
ルドゲスさんの口から出た【魔法】という単語に、俺の思考回路はある事を考え出した。
「ここって…地球じゃないんですか?ルドゲスさん」
「?……!もしかして、あなた地球人!?」
「うぇ!?アッハイ、そうです」
急にルドゲスさんが迫り来る。
筋骨隆々なオカマが目の前に来ると流石にビビる…まあ、最初からビビっていたけれども…。
しかし、そんな俺の心情を無視してルドゲスさんが慌て出す。
「ちょ、ちょっと待ってて頂戴!
も、もしもし……ええ……やっぱり………それ送ってもらえるかしら………うん、ありがとね……じゃあ、こっちで会いましょ。
ごめんなさいね、今椅子を用意するから」
そう言ってルドゲスさんが手を叩くと、椅子と机が用意される。
「座ってて、もう少しで…来たわ」
座ろうとした時に、ルドゲスさんの隣に羽を6つも生やした綺麗な女性が現れた。
「申し訳ない、遅れたか?」
「問題ないわ、それよりも…」
「ああ、とりあえず、自己紹介をするとしよう。
私の名前はルミウス・ヘルパ。
転生課に勤めている、ヘルパと呼んでくれ。」
「ああ、はい、俺の名前は高野幻夜です。
ん?転生課?え?俺って死んだんですか!?」
ガタンッと椅子が倒れる。
しかし、そんな事より事実が知りたかった。
「ああ、色々と原因はあるが君は熱中症による脱水によって亡くなった。」
「そ、そんな……」
「しかし、君の身体は死ぬ直前までは健康そのものであり、
、突然の出来事に我々転生課も対処が遅れてしまった。
すまない」
「え?じゃあなんで…」
「それについてはこれを見ながら説明しよう」
そういうと、手に持っていた板を机の上に置く。
板には映像が映されていた。
「これは君の死ぬ前、1分前だ。
覚えているかい?」
「ここ…はい、覚えています」
「では、進めるとしよう」
映像が動き出すと見覚えのある紫色の幾何学模様が見えた。
「これが今回の事故の原因だ。
今回は君の友人であるハヤト君がルドゲスの管理している世界に招待されたことが原因だったんだ」
「勇人が?て言うことは、勇人は異世界転移したってことですか!?」
「その通りだ、しかし、この魔法陣を見てくれ。
この魔法陣は本来なら招待される者の近くに他者が居れば巻き込めるように出来ているはずなんだが…」
「え?巻き込まれるんですか!?」
「ああ、このタイプの魔法陣は元居た世界から転移する者の証拠をきれいに消すようにできている…のだが、確かこれは最近禁止されていたはずだが?」
「それについては申し訳ないわ
どうやら、今回招待した時に間違えて古い文献を持って行っちゃって……てへ⭐︎」
「「………………」」
「えーっと、それで何があったんでしたっけ?」
「あ……ああ、それでだな、この古い魔法陣は巻き込む時に巻き込んだ者の魔力を吸い取って転移させるんだ」
「てことは、俺はその魔力を吸い取られたんですか?」
「ああ、だが今回その魔力が足りず中途半端に転移させられたんだ」
「中途半端?」
「今の君の状態だ」
そう言われて自分の体を見るが特に変わった様子は無い。
「特に何も……」
「そうだろう、だが、今の君は魂だけの存在なんだ」
「そ、そんな…それなら、俺はどうなるんですか」
「普通なら地球で記憶を消して転生なんだが、今回は少しややこしくなっていてな。
中途半端でも転移は転移、だが、君は死んでしまった。
転移途中に死んでしまうと地球で死んだ事にはならず、かと言って転移先で死んだわけでもなくなってな」
「ええっと、つまり?」
「結論から話すと、転移先で特例転生になった」
「特例転生?」
「これは、昔からあるもので、記憶を引き継いだまま転生させると言うものだ」
「へー」
なんかアニメみたいな転生なんだな〜…ってこれって赤ちゃんからやり直すのか!?
「転生って、赤ちゃんから…」
「それについても色々と選択肢があってだな」
そういうとタブレットの画面を切り替えて文字が書かれた画面を映す。
「もちろん、幼子から始めることもできるが、それによって不幸な出来事が多く、廃止されてしまって今では色々と相談しながら身体を作ることになったんだ」
「身体を作る…」
「それで構わないかな?別に記憶を消して転生するならそうさせてもらうが…」
「……そのルドゲスさんの管理する世界に勇人も居るんですよね?」
「その通りだ、今はどうなっているかは話せないが」
「なら、身体を作って転生したいです」
「了解した、では」
そういうと、タブレットの画面を切り替える
後編へ〜続く