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爆縮と体温の機知(4)

道端の卵

張り付いたピンクの卵

用水路の中

知らない間に出来上がった

ショッキングな色は

子供心を動かすには

十分だった

汚水の中の汚水に入り

それは何かと

じぎじぎと眺めるのだ

近くの農家が休憩がてら来て

タニシの卵だよと教えてくれたが

二言目は、汚いから出なさいだった


休日の解放された学校へ行った

校門が閉まっているのを

見たことが無かった

外にある水道で

足を洗ってゴム草履も洗う

置いておけば乾くが

その間にじっとはしない

素足でグラウンドを走り

サッカーボールを蹴った

砂場を水浸しにして

その上でジャンプをしていた

めちゃくちゃ痛いが大丈夫

泥だらけだけど大丈夫

そんなことよりもの先に

何にもならない楽しさがあった

楽しいだけの楽しさである


夕暮れになると

グラウンドにトンボを這わす

使ったら綺麗にして帰ることを

ちゃんと知っているのだ

別にしなくても良いだろう

グラウンドとしては変わらない

足の形が暫く残るが

雨で消えるだろう

大人も管理しているのだから

余程のことがなければ

違う物へと変わることも無い

ブルドーザーを乗り回せば

違う形になるかもしれないが


十五分ほどで人影は消えた

道具も片付けてある

シャッターまで閉まっていた

ちゃんと足は洗っただろうか

粘土質の土が足裏に張り付いて

そこだけ

コーティングされたようになるのだ

土の膜が皺に入るからか

少しだけ手触りが

滑らかになったりもする

服の汚れもあった

白いTシャツの子達だった

背中が茶色になったり

黒色になったり

緑に赤と山みたいであった


砂場にまでトンボの跡

湿っぽさは変わらない

水捌けが良いから問題は無いが

何かを隠しているようで

おかしかった

ブランコには足の形

ここだけ忘れていたのだと思うが

雨で濡れるのだ

これも消える

服を汚して帰っても

砂埃を外で落として来いと

言われただけで

服を汚したことで

怒られたことは無かったと

思い出していた

そこには何も無いが

何かあるように思った

楽しいだけの楽しいとの等価交換みたいだ

ブランコの鎖は

色が変わっていた

交換しても役割は変わらない









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