第七十話 「道中」
長すぎた次は短すぎてしまいました。
明日から元に戻ると思います…。
「僕達の村に来ないか?」
リゲルにそう言われ、今はリゲルの村に向かっている最中だ。
俺は人化を解き、三人を乗せてゆっくりと飛んでいる。
「人間って、一枚岩じゃないんだね。」
リゲルに話しかける。
「いや、ほとんど一枚岩と言ってもいいと思う。
僕みたいな思想の持ち主は四ケタも居ないだろうし、それにああいう人間達に淘汰されちゃうからね。」
大規模なイジメみたいなものか。
「…そっか。そしたら村とかも襲われちゃうんじゃないの?」
「そうでもないよ。基本的に僕たちは普通の街とは交流しないし、結構辺鄙なところに住んでるから。」
リゲルは例外というわけか。
「辺鄙って、リゲルの村はどんな所なの?」
「滝壺だよ。」
……は?滝壺?滝壺って、滝が落ちるところだよな?
「滝壺の裏ってこと?」
「ううん、そのまま。滝壺の中だよ。
結界が張ってあって、空気を水の中に留めているんだ。ちゃんと換気口もあるんだ。」
「本当に辺鄙だね。」
「まぁな。」
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「よし、ここら辺で一旦休もう。」
昼頃になり、お腹も空いてきたので休憩を挟むことにした。
ゆっくりと減速しながら下降し、大きな木の影に着陸する。
三人をおろして人化し、腰を下ろす。
「フォー、バッグから食べ物を出して。…あ、適当でいいよ。」
「…うん。」
フォーはバッグの中からサンドイッチと生肉の塊を取り出す。
「ね、ねぇ、サンドイッチと肉は合わな…」
「それ!魔法鞄か!?」
遮られてしまった。
…って、マジックバッグってなんだ?
「マジックバッグって、この鞄のこと?」
「こ、これ、すっごい高いんだよ!?どうやって手に入れたの?」
奪ったとは言いづらいな…ここは誤魔化して行こう。
「あぁ、買っ…」
「…商人、襲って奪った。」
おい…。
「へ、へぇ…ゆ、勇気あるんだね…。」
引かれたじゃねぇか。
「そ、それより早く食べようよ…?」
「そうだよリゲル、こんなのどうでもいいよ。」
そう言ってディモがサンドイッチを手渡す。
「うん…ありがとう、ディモス君。」
そしてフォーにも渡そうと振り向くと、そこには肉を焼いているフォーがいた。
ずいぶん準備が早いな。
「肉…もう少し。」
「フォー…昨日も奪った荷物整理してるとき、隠れて肉食ってたじゃねぇか。また食ったら太るぞ?」
あの時フォーの姿が見えないと思ったら、そんなことしてたのか。
実は結構大食いなのか?
「ん…む……運動する。」
「ま、俺はフォーが太っても気にしないけどな。」
もしかして、二人って俺と合う前からこんな関係だったのか?
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「んっ…んっ…んっ…んっ…んっ…」
飛行中の俺の背からフォーの声が聞こえてくる。
リゲルに様子を聞くと、筋トレ中らしい。
ちゃんと頑張ってんだな。
次の投稿は明々後日の夜の九時です。




