第二十一話 「粉」
活動報告でも書いたのですが、昨日投稿できずにすみませんでした!!!
領主の愚痴を追加しました。
〜ミアたちの戦った街の領主の館にて〜
「なんなのだ!あの悪魔は!
……情報は!」
領主が叫び、秘書が答える。
「例のドラゴンに関しては、いまだなんの情報も入っていません。」
「チッ…あれ一匹で我が軍約45000の内、約30000がやられた!
四段の冒険者も読んだではないか!
ゲイト様も必ず勝てる戦争だと言っていただろう…!」
街の領主が机の前で敗戦への不満を垂れ流している。
そして先程口に出した「ゲイト様」らしき人物がまるではじめからいたかのように姿を表す。
その人物は長いコートを着ていたが、その隙間や袖の先、コートの裾から見えるはずのモノが見えず、真っ黒に染まっていた。
さながら、闇が服を着ているような感じだ。
「呼びましたか?」
「!!……ゲイト様!」
「負けてしまいましたねぇ……戦争。」
「は……ど、どうか、平にご容赦を……!!!」
領主が謝ったところでゲイトがめんどくさそうに、それでいて苛ついたように口を開く。
「……なんだと思いますかぁ?敗けた理由。」
「………あのドラゴン、でしょうか。」
「そうなんだよねぇ…ホント。ボクもイライラしてるんだ。
前回のボクの未来予知にはあのドラゴンは現れなかった。
今まで予知を外したことなんてなかったのになぁ…。
あぁ、もう!ボク言ったよねぇ?
次に失敗したら、罰を与えるって。」
ゲイトはそう言うと、コートの闇の中からくるくると回転する人間の形をした黒いモヤを取り出した。
そしてそれを少し手のひらで弄んだあと、軽く握った。
すると途端に領主の体の縁がブレ、揺らぎ始めた。
ひっ、と領主の秘書が悲鳴を漏らした。
「……………」
領主は何も言わず、恍惚とした表情をしている。
ゲイトは手を緩め、モヤを開放した。
ブレが収まり、領主は意識が戻ったのかゲホッゲホッと咳をした。
その拍子に口から血がこぼれた。
内臓に傷がついたようだ。
領主は荒い息を吐きながら会話を始める。
「ど、どうか…それだけは…。
あ、あのドラゴンのせいだ…。あいつさえいなければ…目的を達成できた…。」
「そうだ。あいつのせいだ。
ボクもあいつが憎いんだよ。もう一回だけチャンスをあげるから、あいつを殺してくれよ。
ほら、これあげるから。
ただ、次はもう無いよ?また失敗したら、今度は命を貰うからね。」
ゲイトは、さっきまでのようなふわふわとした口調ではなく、はっきりと言った。
そして、領主の秘書になにやら袋と紙を渡した。
そしてゲイトは満足したのか、空気に溶けるように去っていった。
「はあっはあっ………。ふぅ。…この街の、残存兵力は?」
「はい。まず、もともとの兵力が約6000。
そして、他領から借りた兵力が…」
「そういうのはいい。簡潔にしろ。」
「申し訳ありません。残存兵力は、前衛部隊が約200。後衛部隊が約15000です。」
「そうか……。その紙にはなんと書いてある?」
「はっ。読み上げます。
この袋の中には摂取してから半日後に精神を高揚させて死を恐れなくさせたり、力や魔力、耐久力その他諸々を膨れ上がらせたりする効能の粉が入っているよ。
ちょっとでも体に入れれば効果を発揮するから、考えて使ってね。
その粉を使って例のドラゴンを倒しちゃってねぇ。よろしく。
と、書かれております。」
「そうか。早速、その粉を兵士たちの今日の夕食に混ぜ込んでおけ。
決戦は明日だ。奇襲を仕掛ける。」
「承知いたしました。」
しばらく出ていないので、主人公の今のステータスを紹介します。
種族名 オプティカルドラゴン(進化2、派生1) レベル78/100
名前 ミア
所持スキル(7/8)
・短距離転移2段 ・魔力回復速度上昇 ・超鑑定1段 ・殺人 ・カーチル言語 ・透明化 ・身体狂化
所持称号
・竜族 ・食人者 ・蛮勇 ・悪魔 ・殺人鬼 ・裏切られし者 ・逃走者 ・一児の親 ・無慈悲 ・踊り食い ・狂竜




