第九十五話 「呪い」
「…ここは?」
戦いが終わったあとディモとフォーが近付いてくるのが見えたが、俺までたどり着く前に倒れてしまった気がする。
多分それで間違いないだろう。
今、俺は荷車の荷物の上で寝ていたからだ。
「おぅ、起きたか。
ここはアッケス火山から北に向かったところにある湿地帯だ。
ここは魔物が少ないからな。休憩を取っていた。」
そう……か。
「戦いには勝ったんだな?」
「あぁ。ただし、犠牲も多かったがな。」
戦いで1000人はいた村の人口が100人程度にまで減ってしまったらしい。
それはメテオの衝撃や死んだクソ野郎の攻撃によるものだという。
それに人間だけでなく家畜や家財もほぼ全滅したし、僅かに残っていた物も殆どを置いて来ざるを得なかったらしい。
被害はそれだけに留まらず生き残っている人達も多くの怪我を負い、心に負担がのしかかる。
「それに雌のフェニックスも死んじまった。
雄の方は辛うじて生きているんだがな。ダメージが大きすぎて小さくなって眠ってる。」
そうか、やっぱり、奴の『目的は達成された』ってのはこのことだったのか。
間に合わなかったか。
「謝りに行ってくる。」
「あ、待て…!」
そうだ。フェニックスを守ると言ったのに、何も出来なかった。
謝らなければならない。
思い立ち、右手を軸にして半回転するように荷台の荷物から降りる。
「ぐぇっ!?」
「だから言ったろうに…」
が、着地するはずの瞬間に左足が地面に着かずバランスが取れずに倒れた。
おかげで変な声が出ちゃったじゃないか。
恨めしげに左足を睨むが、それはかなわなかった。
「左足が……無い?え、左腕も!?」
慌ててステータスを見る。
種族名 魔族(進化0、派生0) レベル1851/2618
ランク7/10
名前 ミア
所持スキル(8/15)
・短距離転移3段 ・魔力回復速度上昇 ・超鑑定1段 ・殺人 ・カーチル言語 ・身体狂化 ・相似 ・猛攻スキル(速)
所持魔法
・雷咆5段 ・竜化│(アジ・ダハーカ) ・ドラゴンブレス(氷雷)
所持称号
・元竜族 ・食人者 ・蛮勇 ・悪魔 ・殺人鬼 ・裏切られし者 ・逃走者 ・一児の親 ・無慈悲 ・踊り食い ・狂竜 ・心折れぬ者 ・再臨 ・マシンキラー ・攻撃手 ・生まれ変わり
生命の神の呪い
称号(生まれ変わり)の所持者は例外なくこの呪いを受ける。
この呪いは身体の再生能力を著しく低下させ、僅かな出血も治すのに時間がかかるため命取りとなる。
また、精神が死ねなくなる。例え、肉体が滅びようと意識だけはその場に残留する。周囲はその存在を感知することは出来ない。
絶対に発狂することは出来ない。
な、なんだ?これ。とりあえず、こいつのせいで左足と腕がないことは分かった。
他にも死ねなくなるとかって……?
それに、なんでさっきの戦いでは再生できていたんだ…?
……いや、いい。このことは落ち着いてから考えよう。
とりあえずはフェニックスのところへ向かわなきゃな。
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