第九十一話 「再構築」
『…生命力の低下を確認。魔力→生命力の変換を行います。』
『……エラー発生。魔力が残り5%を切りました。変換を中断し、魔素→魔力→生命力の変換を行います。』
『…………エラー発生。周囲の魔素が枯渇しました。変換を中断します。』
『Yの権限を行使し、生命維持の方法を検索中……………………一件ヒット。行いますか?』
『…反応が無いため、無許可での実行を開始します。
肉体の再構築を開始…………最適性種族へ再構築します。
最適性種族を検索中…………二件ヒット。種族名:人間もしくは魔族。どちらにしますか?』
『…反応がないため、ランダムに再構築を行います。種族名:魔族。』
『…………………………………………再構築完了。意識の蘇生を試みます。』
『……成功。全権限の返還を行います。』
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「…………はっ!?」
血なまぐさい。
これ全部、俺の血か。
赤黒く染まった地面を見て思う。
それに、いつの間にか人化してんな。気絶する前は竜のはずだったんだが……?
不審に思い、ステータスを確認する。
種族名 魔族(進化0、派生0) レベル1334/2618
ランク7/10
名前 ミア
所持スキル(8/15)
・短距離転移3段 ・魔力回復速度上昇 ・超鑑定1段 ・殺人 ・カーチル言語 ・身体狂化 ・相似 ・猛攻スキル(速)
所持魔法
・雷咆5段 ・竜化 ・ドラゴンブレス(氷雷)
所持称号
・元竜族 ・食人者 ・蛮勇 ・悪魔 ・殺人鬼 ・裏切られし者 ・逃走者 ・一児の親 ・無慈悲 ・踊り食い ・狂竜 ・心折れぬ者 ・再臨 ・マシンキラー ・攻撃手 ・生まれ変わり
称号(元竜族)
その名のとおり、元は竜族だった者に与えられる。
無条件でスキル(竜化)を得る。
称号(生まれ変わり)
生まれ変わった者。
無条件で生命の神の呪いを得る。
なんか、いろいろ変わってんな。
……いや、そんな事はどうでもいい。クソ野郎はどこ行った!?
気配を探ってみると、村の方向にクソ野郎を感じた。
竜化し、飛び上がって気配のする方向へ全速力で向かう。
「………いた。」
クソ野郎はちょうど村の男達相手に無双しているところだった。
骨頭からも含め三本の(雷咆)を打ち込み、無双タイムを強制的に終了させた。
下に降り、ここは任せて逃げろと叫ぶ。
「ま〜〜〜〜〜〜だ生きてやがったのか!しぶてぇ奴だなクソが!……ったく、邪魔すんなよ…。」
種族が変わった影響か、人の状態の方が動きやすい気がしたので竜化を解く。
「人化して戦うからさっきとは違うってか?はっ!甘えなぁおい。」
だまれよ。
「うおっ!?…ちっ、手間取らせんな!」
振り抜いた拳は容易く避けられ反撃を貰うが瞬時にガードして距離を取る。
姿勢を低くし、再度突撃。動きに緩急をつけて翻弄しつつ攻撃をいなし、時折(雷咆)を混ぜる。
一方クソ野郎も俺の攻撃は全て躱すか受け流すかし、的確に俺に攻撃を当ててくる。
…このままじゃジリ貧だな。
隙は出来るが………ブレスを撃つしかないな。
バックステップしつつ大きく息を吸い、ドラゴンブレスとして吐き出す。
バチバチと帯電した氷が群れをなしてクソ野郎に襲いかかる。
…ヒットした!
霧のようなものでよく見えない中を進み、クソ野郎にアッパーをぶちかます。
「ぐ…このっ!」
俺も反撃にローキックを貰い、転倒する。
だが、これはチャンスかも知れない。
目の前に足が見えるほどクソ野郎が近くにいる。ということは、今ここで竜化すればデイルのように吹き飛ばして攻撃できるということだ。
なら、やらない訳無いじゃないか。
俺は再び、竜化した。