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【あと少しで完結します】狐の嫁入り  作者: タラバ虫
第二章 子育て
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第八話 「殺し」


 翌日。

 朝になり、目が覚めるとギルが岩に登って遊んでいた。

 落ちると危ないのでおろし、ギルと一緒に水場を探しに行くことにする。

 長い間動いていなかったのに、昨日あんなに動いたから体中が痛い。

 簡単に体をほぐすと全身に血が流れるような感覚がして、いくらか痛みが和らいだ。


 「行くよ。ついて来て」


 カーチル言語で話しかけるが、ギルは首を傾げている。

 人間の言葉がわかるわけ無いか。

 そう思い、ついて来てという意思を込めて一声鳴く。


 「クェ、ェア!」


 と、返事が返ってくる。どうやら伝わったようだ。喜び勇んで後ろをついてくる。

 洞窟は崖の中にあったようだ。洞窟の左右に断崖が伸びている。

 右は人間の街があるので、断崖に沿って左に行くことにする。

 

 水の音や匂いを探しながら歩くこと1時間。

 ギルが疲れてしまったようなので、大きめの木の下で休む。

 数十分ほど経ち、俺も眠ってしまいそうになったとき、1匹の蝶がギルの鼻にとまるのが見えた。

 するとギルは目を開け、その存在を確認すると舌を伸ばして食べてしまった。

 それを見て俺は、可愛いと思った。

 前世の俺ではこんなことは思わなかっただろう。





 目を覚ますと、まだ日はあったがギルは居なかった。

 戻ってきて、と言う意志を込めて鳴いても、返事すらない。

 心配になってあたりを探すが、見当たらない。

 まさか、と思って空を飛び、草原を見渡す。

 すると、かなり遠くだが人間の街の方角に縄で縛られて人間に歩かされているギルが見えた。

 理性が吹っ飛び、全速力でギルのもとに向かった。

 透明化を解き、人間の前に降りる。

 

 「…どこへ行く。何をするつもりだ。」


 問うと、答えが返ってきた。


 「あ…い、いや、その、この先の街に仔ドラゴンをうr…保護しに。」


 「そのドラゴンは俺の子供だ。保護など必要ない。」


 そう言い、人間を叩き潰した。

 ギルの縄を解き、怪我はないか確認をしてから空を飛んでまた遠くへ行くことにした。

 男の言っていた街とは反対の方向へ。




 移動の途中で川があったのでそこで水を飲み、魚をとった。

 生のままでも美味しそうに食べてくれた。

 ギルはお腹いっぱいになったようだが、俺は少し物足りなかった。

 しかし、我慢だ。俺が弱音を上げてどうする。


 


 夜になり、山の中に洞窟が見えた。そして、その中に入っていく3人の冒険者も見えたので、それを今日の晩飯とする。

 洞窟の中に小部屋があったのでその中にギルを隠し、岩で閉じた。

 すぐに冒険者を追い、後ろから殴りつける。

 しかし、半透明の膜のようなものが現れ、俺のパンチは当たらなかった。代わりに、俺に電流が流れた。そして、透明化が解かれてしまった。

 俺が痺れている間に三人は臨戦態勢になった。

 剣士が一人。魔術師が一人。弓師が一人。

 厄介な組み合わせだが、回復がいないだけマシだ。

 魔術師からブーストを受けた剣士が向かってくるが転移で躱し、弓師を殴る。

 が、またしても膜に阻まれる。

 電流で俺の動きが一瞬止まり、そのすきを突いて総攻撃を浴びせてくる。


 膜が厄介すぎる。魔法ならあるいは、と思ったが、俺には魔法は使えない。

 それに、膜がどういう仕組みなのかもわからない。

 だが、おそらく魔法か魔道具なので攻撃し続ければいつか割れるだろう。

 現に、こうしている間にも冒険者に現れる膜にヒビが入り始めている。

 そして今、剣士の膜が破れた。

 すぐに飛びつき、噛み殺す。

 今、俺はボロボロだが、向こうのほうがダメージは大きいだろう。

 剣士もいなければ、膜もヒビだらけだ。


 俺が次に狙いをつけたのは、やはり弓師だった。

 一撃叩きつけれると膜はなくなり、すぐに殺した。

 魔術師の膜もすぐに破ったが、こいつは殺さずに、瀕死にとどめておいた。

 ギルのレベルアップのためだ。

 弓師と魔術師を持って小部屋に行き、魔術師をギルの目の前に置く。

 魔術師はまだ意識があるようで、這って逃げようとしている。


 俺はギルに殺せと言い、俺は弓師を食べた。

 ギルはどう殺せばいいか戸惑っているようだが、俺が爪で魔術師の首を軽くトントンと叩いてやると、ギルは魔術師の首に噛み付いた。

 血が溢れ出てくるのを楽しんでいるようだ。

 やがて魔術師は動かなくなった。

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