6、スナック
熱い夏が来て、秋になり、寒い冬がやって来て、また、春が来る。修人、高校三年生。歩み始めて早一年。やっとこさ、小学レベルを卒業した。
「さぁ、勝負の年だなぁ。修人。追い込みかけねーとなー」
アキラの兄貴が呟いた。
「気合いっす!」
「しかしなぁ〜、着実に進歩してるが、お前は亀か!」
「ういっす!」
「まぁ、頑張んべぇ〜」
学校。
アキラが酒臭い。二日酔いか?午前中ずっと机に伏せて寝ていた。美香は今日学校に来てない。この三人またもや同じクラスだ。
「アキラ?どしたの?」
「ん?なんだ、修人か。ムニャムニャ、勉強、頑張ってっか?」
「あぁ、まぁ、ボチボチ。それよりどしたの?二日酔い?」
「あぁ、昨日飲んだんだよ。美香がいる店で」
「美香がいる店?何だそれ?」
「スナックだよ。ママさんと知り合いらしい」
「てか、美香、学校は?」
「ん?休んでる、みたいだな。結構飲んでたから。アイツ」
「・・・そか、」
修人は飲みに行きたい衝動を抑え、勉強に、励む・・・。何故か、今日は、集中、出来ない。
夜、バイトが終わり、先輩に飲みに誘われる。その日に限って、断りきれず、居酒屋へ。飲み終わり、先輩達が帰って行く。何故か、アキラに電話した。
「アキラ、飲み行かね?美香んとこ」
アキラと落ち合い、店に向かう。勉強はいいのか?とアキラに聞かれたが、今日は、そんな気分じゃない。既に居酒屋で飲んでたし。アキラが言う。美香、少し変わったよ、と。妙な、胸騒ぎが、した。
「いらっしゃーい。あら!アキラ君、今日も来たのね?惚れちゃったのかしら私に?」
ママさんのお出迎え。
「いやー、今日も、来たっス・・・」
席に案内される二人。こじんまりとした店で、直ぐに見つけることが出来た。他の席で接客してる美香を・・・。大人の香りが、した。
「なんか、美香、遠くに、行っちゃったなぁ〜」
アキラが呟く。
ママさんが気を使ってくれて、美香が二人の席に来た。
「美香・・・」
「いらっしゃいませ」
「・・・」
「修人、勉強は?」
「ボチボチ」
「そっか」
グラスに酒を注ぎながら、微笑む美香。
「美香、学校は?」
「うん、大丈夫」
「・・・そっか」
「乾杯しよ、」
アキラが呟く。
「何に?」
「そうね・・・、青春、乾杯!」
俺たちは、乾杯した。
美香が高校を辞めたのを知ったのは、それから二週間後だった。




