表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/32

30、夜の海



海岸で沈む夕陽を眺めていた修人と美香、既に日も暮れて、夜の帳が下りた頃、少し離れた場所にはアキラと清美が・・・。



「あの二人、いい感じね、」

「あぁ」


波の音が聞こえてくる。


水面に映るは昇り始めた、月の光。満月だ。


「水晶の女、望月教授、大学を去ったよ」

「・・・・・」


「随分と世話になった・・・」

「・・・そう、」


「金払ってねーけどな。あはは!」

「・・・・・」


「ねぇ、」

「ん?」


「水着、買ったのよ。気づいてた?」

「あぁ」


「・・・・・なんか、言ってよ、」

「綺麗だ、」


「・・・・・」

「本当だよ」


「じゃあ、もっと、なんかあるでしょう?、良く見てよ」

「見れねーよ」


「何でよ!」

「照れるから・・・」


「・・・・・ねぇ、」

「ん?」


「水晶の女の事、好きなの?」

「・・・・・」


「いや、俺は・・・、」


美香は立ち上がり、言った。


「へへ、捕まえてみなよ!」


美香は波打ち際に走る。


「オイ!待て、待てったら!」


月光の下、アッカンベーをする美香。膝まで海水に浸かってる。


「オイ!危ないから辞めろ!」


美香の腕を掴んだ。


勢い余って倒れ込む二人。二人は笑い、座ったまま見つめ合う。


「修人!私のこと、ちゃんと見てよ!」

「・・・・・」


それが涙だったのか?水飛沫だったのか?そんな事はどうでもいい。ただ、美香の想いが伝わっただけ。修人は美香を抱きしめた。



近づいて来たのは大きめの波であった。



「海生さん!アレ!」

「クソ!あいつら!浅瀬とはいえ!行くぞ!」



修人と美香、口づけをしようとした、その瞬間、波に、飲まれる。波の引き際に、一気に沖に、流される。



「マズイぞ!ジェットスキーも準備しろ!」



清美が走る!



「オイオイ、アイツら・・・」


アキラが呟く。




沖合。


「大丈夫。力抜け。浮かんでりゃ、助けがくる」


修人は美香を浮かせ、必死に泳ぐ。




「急げ!持たんぞ!」


海生が叫ぶ!




遠くにジェットスキーの音が、、、。



「間に合わない!」



海生、必死に泳ぐ。もう少しだ!


「修人ーーー!頑張れーーー!」



海生、たどり着く。ボードに美香を乗せる。沈み行く修人。


「修人ーーー!」



潜る、海生。



修人を掴み、水面へ。



満月が揺らめく。



…お願い!死なないで!…





その時、時空が止まった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ