14、試験会場
三度目の受験当日、修人は朝早く、試験会場に辿り着いた。そこに辿り着いたのは修人だけではない。建物の陰に身を隠す、美香とアキラ・・・。一体全体、何事だろうか?
実はこの二人、例の水晶の女から、ある重要な事を聞いたのだ。すっかり信じ込んだ二人は、何かを企んでいるようだ。殺気漂う試験会場に更なる殺気を持ち込んだ。
「試験まで一時間。準備はいい?」
「オーライ!」
大きなサングラスをかけた二人は修人の背後から近づき、修人の背中に、エイ!・・・大量の塩をぶっかけ、ダッシュで逃げ出した。
「な、な、何だ?!!!・・・塩?」
突然の事に修人は唖然とするばかり、大事な日に、一体全体、何なんだ?修人はふと、気になった。
…碧海?大丈夫か?…
…碧海?、?…
…碧海!!!…
碧海の気配がない!マジか!?クソ!碧海!!!
あの日、美香とアキラの二人に、水晶の女は、こう言った。
「この子が修人君かぁ・・・」
水晶球に映し出されたその男は鼓を叩く。・・・え?
「確かに、取り憑いているわね・・・」
「そ、それは、俺の、兄貴です・・・!修人は、もちっと右、」
「あら!あらら!あらららら!」
水晶の女がパニクる。
「右!右!」
水晶球が右側を映す。
「コイツ!コイツが!」
「修人君ね。なるほど、直ぐ分かったわ!」
え?
「取り憑いているわね。女の霊魂が・・・!」
「マジすか!」
「これは!これは、修人君、女の霊魂に利用されて、死ぬかもしれないわ!」
「本当ですか?!」
「直ぐに!除霊しないと!死ぬかもしれないし、死なないかもしれないわ!」
「・・・マジすか!、え?」
「除霊するのよ!」
「分かりました!」
「五万円よ、」
「え?」
「これは、特殊な、霊塩。これを修人君にかけるのよ!」
「はい!」
「五万四千円、」
「え?」
「消費税よ」
「・・・」
…碧海、どこ行っちまったんだ?…




