13、水晶
冬が来た。修人は年が明けると、三度目の受験だ。イケるかも!僅かな期待が自身の中で膨らみ始める。手応えが変わってきたのだ。イケるかも!
…お願い、お願い、お願い、します・・・、…
…お願い、します、…
…お願い、します、…
祈り続ける、碧海。
一方、美香とアキラは、街の中、その館を探して、彷徨い歩く。目指すは、『水晶の館 月』。アキラは占いとか、そういうのは苦手だった。胡散臭くてたまらんと。しかし、美香の一言で、俄然、ヤル気を出した。『すっごい美人なの』。
町外れの住宅街に突如として姿を現したのは、庭のデカい木に覆われた古ぼけた洋館。まるで、ホラー。ホラー映画によく出るあんな洋館だ。門を潜り庭に入る二人。突然、舞い降りたカラスの群れ。不気味な鳴き声だ。庭のあちこちに意味不明なオブジェが立ち並ぶ。ケケケと後ろから笑い声が。そこにいたのは『ひとつ目』のオブジェ。気のせいか?その目が動いた様に見えた。ゴクリと喉を鳴らす二人。空間が歪む。
玄関に辿り着いた二人はノックする。コーン、コーン!不気味に鳴り響くノックの音にカラスの群れが一斉に飛び立つ。ケケケケケケ。突然、音を立て開く玄関。誰もいない。玄関から見える中は暗く、よく見えないが、ホール中央に、二階へ上がる螺旋状の階段が。これもホラー映画でよく見るやつ・・・。恐る恐る中へ入る二人。バタン!玄関が閉まる。アキラが玄関に手をかけたが、開かない・・・!閉じ込められた!
「大丈夫。来て!」
美香が言い、螺旋状の階段を登って行く・・・。壁の絵画が嘲笑う。壁紙には真っ赤なスプレーで不気味な落書きが・・・。軋む階段・・・。二階へ着いた。
「あそこよ!」
奥の部屋、ドアの側の窓から見える空は、どんより曇った夕暮れの空。景色が歪む。美香がドアを開けた。ギッシリ詰まった本棚を二面に持ち、その背後には意味不明な大きな絵画。机の上には水晶球が。水晶球の向こう側、長い黒髪の女が机に突っ伏している。死、死んでる・・・!!!
「グー、グー、スピ、グー」
「寝とんのかい!!!」
「ん?あ!いらっしゃい!」
女の前歯は・・・、欠けていた。




