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ブラッド・ZERO  作者:
第二章 学園編
23/119

第23話  戦い

 マヤカ班は昼食の後バグベアー捜索の為の聞き込みを開始していた。村では畑だけではなく村人にまで被害が出ており皆困り果てている。

 エルドナと違いここは普通の村だ。皆が戦闘訓練を受けている訳ではなく。受けている方が少数である為に、こういったモンスターの出現は死活問題であった。


 しかし村民の被害は何故か怪我などではなく村の前にある森から帰ってこないといったものが殆どだ。つまり行方不明なっているというのが問題であった。バグベアーの被害ならそんな事にはなる訳がない。

 森でバグベアーに襲われ行方が分からなくなったと考えられない事もないが、手がかりなどが一切ないもの不自然だ。被害の人数はもう5名に登り5人全てが何の手がかりもなく消えるなどありえるのだろうか? と、一同は話し合っていたのである。


 村人は森で暖をとる木々などを集める為に森に入らない訳には行かなかった。今は危険なので数人のパーティで入っているらしく村全体の問題となっている様子だ。

 マヤカは深刻な顔で何か考え込んでいる様子だ。班のリーダーだけに、何かあればその責任を背負う事になる為、判断を迷っている様だ。


「とりあえず、一同森の中を調べて見る必要がありそうね。何か手がかりになりそうな物があるかも知れないわ」


 一同は大きく頷いた。まずは森を調べない事には進まない。もし仮に人的な事件なら放置しておくのは流石に不味い。


「もしバグベアーじゃないヤバイ奴なら直ぐに引き上げるぞ」


 スコールらしくないセリフに少しルータスは反応し視線を投げかける。いつものスコールなら「俺が始末してやる!」位言いそうなものだが今日に限っては嫌に慎重だ。その反応にエリオットが気づきルータスに口を開く。


「た、多分スコールさんは僕達の心配をしてくれているんじゃないかな?」


 そのセリフにルータスは少し感心した。ルータス自身スコールとアイが入れば多少の敵なら勝てるだろうと思っていた。そんな所まで気が回らなかったからだ。ルータスは昔聞いたマヤカの言葉を思い出し小さく呟いた。


「仲間思いか……」


 その声は誰に言った訳でもなかった。自然と口から出た独り言の様な声だ。

 スコールはルータスの視線に気づくと小さく舌打ちをしてそっぽを向く。相変わらずな態度に苛立ちを覚えるがスコールも二級生としての責任を果たそうとしているのに免じて許してやる事にした。


「もし何か危険な状態に陥った場合は、後ろは俺とルータスが抑える。その間に他の者はマヤカに続いて逃げるんだ」


 スコールの説明にルータスは苦笑しながら。


「僕は全く聞いてなかったけどね。本人の意思くらい確認した方がいいぞ」

「何だ? 一々意思確認が必要な玉じゃ無いだろう」

「ふん、別にいいけどさ」


 確かにやるなら自分とスコールしかいない事は分かっていた。スコールとは真剣勝負をした位だし、ある程度は連携も取れる自信もあった。嫌な奴だが味方に付くならかなり心強いのは間違いない。


「俺かマヤカが無理だと判断しても直ぐに撤収する。その都度だす指示を聞いておけよ」

「了解」


 一同はスコールの指示に気合の入った返事をした。学生でも依頼書は遊びではないため、その返事から緊張感が感じ取れる。

 そしてマヤカ班は村を出て森の中へと出発した。隊列はコロナ村へ来た時と同じ順番だ。森は村から直ぐの所あり、入り口の前まで一同は来るとスコールは足を止める。


 コロナ村の人々によってある程度手入れされている様だが、森の木々や草の騒めきを見ていると、何処かに吸い込まれそうな感じがする。やはり人が行方不明になった森と聞くと何か不気味だ。


「マヤカ班皆絶対に離れないでね。勝手な行動はしてはダメよ」


 マヤカは最終確認をするかの様に皆を見るとスコールに合図を送りスコールは足を踏み出した。森に入ると頬に当たる風が冷やりと感じ木々の擦れる音だけが周りに漂っている。ルータスは上に視線を送ると、木の葉の隙間から見える光が何か幻想的に思えた。

 スコールが面倒くさそうに、


「バグベアー退治がなんか変わっちまったな」

「そうね。でもまだ分からないわ。どっちにしても森の中は調べないと行けないしね」


 スコールは態度とは裏腹に木に何か色の着いた紙の様な物を一定間隔で貼り付けていっていた。帰る時の目印だろう。アビスほど広大な森ではないが迷うには十分な広さが有る森だ。森に探索に行った者が行方不明になってしまったら目も当てられない。

 スコールのこういった事を当たり前の様に出来るのは流石である。普通はこの様な状況の中では何かしら抜けがあるものだ。しかしスコールに至ってはそういったミスなどはない。これが天才と言われる由縁なのだろう。

 するとエリオットが指を指しながら。


「ちょっと待って、あれ見てよ」


 その指の指す方には一本の木があり、その木は地上から1.5メートル位の位置が鋭利な物で切り裂かれた様にズタズタになっている。


「バグベアーがツメを研いだ後だな。まだそれなりに新しいぞ」


 スコールがその木の部分を指でなぞりながら言った。その声に周りの空気が一瞬明るくなったのをルータスは感じ取れた。普段なら依頼書の目標が近くにいる手がかりを見つければ戦闘が苦手な者は逆に緊張するだろう。しかし今は謎の行方不明事件の陰が皆を不安にさせている。

 その緊張の中で見つけたバグベアーの証拠は、少なくとも正体不明の何か? では無い事を連想させるに十分だったからだ。しかもその証拠は、森の中さほど深くない場所にあった。

 村人が薪拾いなどで森に入るのにそこまで奥深くには行くはずは無い、この辺で襲われた可能性は十分にある。しかしルータスには疑問があった。


「仮にバグベアーに襲われたら、死体も残らないものなのか?」


 その言葉にアイ以外の者は反応しルータスに視線を送る。その視線はまるで今まで誰も口にしなかった疑問をよくぞ言ってくれたと言わんばかりの視線だ。誰もがその答えを求めているかの様に周りを確かめ口を開く者を待っている。しかしそんな思いとは裏腹に沈黙が続く。


「――そんな筈はない。バグベアーは雑食だが人5人も死体を残さず食べる程器用じゃない。周りに血の跡がないのも不自然だ。ここで一体何があったのかそれはまだ分からないが間違いなくバグベアーの仕業ではないだろう」


 スコールの言葉に皆が息を呑んだのが分かった。正体不明の者ほど怖いものはない。皆が無言で視線を合わせる中、急に突風が吹き周りの木々がガサガサと擦れる音が周りに響く。

 その音にエリオットがビクッと動き明らかに動揺したのが見えルータスと目があった。ルータスはニヤリと笑い「何ビビってんだよ」と言うかの様に顎を動かした。

 その時ルータスは異常に気づいた。


「――血の匂いがする」


 低く発せられた声に皆が反応する。しかしそれに誰も言葉を返さない。それはその先に敵がいる可能性が高いのを知っているからだ。不用意に騒いで自分達の場所を知らせるような真似はしない。

 そして先程の風が運んできたであろうそのそれは、生々しくルータスの鼻に纏わりつく匂い。他の者には分からないがヴァンパイアのルータスだけがその匂いに気づいた。

 ルータスは無言で足を進める。隊列は自然とスコールとルータスの位置が入れ替わり先頭のルータスがその匂いの場所へ皆を引っ張っていく。

 ――その先で皆を待ち受けていたものは誰もが予想すらしていないものだった。


「バ、バグベアー?」


 ルータスの後ろからエリオット呟くような声が聞こえた。ルータスの目の前には、血溜まりの中胸に大きな穴を開けたバグベアーの死体が転がっていた。

 正面から何かで撃ち抜かれた様な胸の穴、そのままの反動でひっくり返り仰向けで大の字の様な格好だ。

 最期に見た光景が焼き付いるかの様に見開かれた目がルータス達を唖然とさせた。そして自分の血で作った血溜まりの中で背中の毛がその血を吸い黒く変色している。


 その凄惨な光景にマヤカ班全員が一時思考を停止したかの様にその場に立ち尽くす事しか出来なかった。依頼書の目標であるバグベアーが殺されているのだ。単純に考えてこれを行った奴はそれ以上にヤバイ奴なのは間違いない。

 もはや学生の依頼書で行うレベルを越えている様にルータスは思った。


 やがてスコールが一歩踏み出しバグベアーの死体へと近づいてく。ルータスもそれに続き死体の前に立つ。


「おい、ルータス」


 そう言ったスコールが指を指した先にはバグベアーの血溜まりだった。一瞬何が言いたいのか分からなかったが、すぐに気づく。血が完全に固まっていない。それは死んでからそれ程時間が立っていないという事を意味していた。

 ルータスの警戒レベルが一気に上る。それは同時に近くにまだバグベアーを殺した奴が居る可能性が高い事も教えたからだ。そんな得体のしれない奴に何の準備も情報も無くここで出くわす事は避けないといけない。

 ルータスとスコールは目線を合わしお互い頷いた。それは「もうこれ以上は危険だ。撤退しよう」と言う意思の疎通によるものだ。2人は振り返りマヤカに視線を飛ばすと。


「これ以上は、もうここに居ないほうがいい」


 スコールの声にハッと気づいた様な素振りをマヤカは見せる。


「そ、そうね、ここは不味いわ、早く撤――」


 その言葉が言い終わる前にマヤカの後ろで物凄い音とともに何かが光った。まるで巨大な雷でも落ちたかの様な音はルータスの耳に耳鳴りが起こる程のものだった。

 一同は一斉に振り返ると、そこにはその得体の知れない何かがルータスの目に写り込んだ。


「な、何なのよ……あれ……」


 その声は震えている。目の前には大きな巨人が立っていた。その大きさは優に5メートルは有ろうかと思える程巨大で、その筋骨隆々の肉体の腕には大きな棍棒を持っている。目には全く感情と言ったものが感じられずルータスも見た事もないモンスターだった。

 巨人の目が正面からゆっくりとルータス達のいる方向に向けられる。その瞬間、巨人から放たれる凄まじい殺気に周りの空気が変わる。それと同時にルータスは剣を抜いた。


「グオオオオオ!」


 物凄い雄叫びを上げる巨人マヤカ班はその声と同時に一斉に後ろに下がり距離を取った。


「コー君! あれは何なんだ!?」


 ルータスはスコールに叫ぶように投げかける。


「そんなもん分かるか! なんだアレは! ギガースの様な見た目だが大きすぎる! 何故いきなり現れた!?」


 ギガースは、アビスなどにいる巨人系のモンスターだ。しかし目の前の巨人は普通のギガースの優に1.5倍はある。アビスでも無いエルフ領土にこんなモンスターが居る筈が無いのだ。

 何よりもの謎がそんな巨人が何故いきなり現れたのか? ルータスの知る限りそんな方法は召喚くらいしか無い。目の前に現れた巨人は召喚などでは無くいきなり音と共に現れたのだ。


 ――まさか転移魔法? いや違うゲートを使うには術式を登録しないといけない。そんな物は無かった。ならテレポートで飛ばした? それも違う。飛ばせるのは目に見える範囲しか飛ばせない。それにあんな雷の様な音はしない。


 様々な推測の中でルータスは1つの結論にたどり着いた。それは――レリック。


 これは不味いルータスはゴクリと唾を飲みこんだ。なぜならレリックを所有している者が普通の人である訳が無いからだ。何かしらの組織が関わっている可能性が高い。この異常事態の中スコールは叫ぶ。


「ルータスやるぞ! 他の者はマヤカに続いて逃げるんだ! そして村にこの事を知らせて避難させろ!」


 スコールは剣を抜き合図をした。マヤカはその意味に気づき、


「アイちゃん、エリオット行くわよ! 村が危ないわ!」


 確かにこの巨人を倒す事が出来なければ村は不味い事になる。エルドナに応援を呼びに行っている時間など無いのだから。


「アイはここでお兄ちゃんと戦うよ。こう見えてもアイは魔法が得意なの」


 冷静なアイの言葉にマヤカは面食らった顔になる。当たり前だ、凶暴な巨人の目の前に一番年下が戦うと言っているのだから。


「何言ってるの! アイちゃん!」


 まるで理解できない様子でそれを拒否するマヤカに、


「マヤカさん! アイなら大丈夫だから先行って! 早くしないと不味いよ!」


 ルータスの声にマヤカは納得していない様子だがスコールに促されてマヤカとエリオットは走り出した。その姿に反応するように巨人はルータス達の方に向かってその巨体で凄い音とともに走り出した。向かってくる巨人を前にアイは杖を構え少し浮かび上がった。


「“ウォーラ” か……」


 ウォーラとは飛ぶ魔法の事である。しかし5級生が使えるような魔法では無い為にスコールの少し驚いた声を上げるも直ぐに剣を構える。


「なんか久しぶりだね。お兄ちゃんと一緒に戦うの」


 楽しそうなアイの言葉にルータスもニヤリと笑いながら。


「面倒くさい事になってきたな!」


 巨人は走った勢いと体重をその右手に持った棍棒に乗せルータス達目掛けて振り下ろした。ルータスとスコールは左右に素早く回避しアイはそのまま空高くに舞い上がる。そして地面に叩き付けられた棍棒は物凄い轟音とともに地面に大きな穴を開けた。

 流石にあれを直で受ければ只では済まない。ルータスは剣武を発動させ巨人目掛けて走り出す。巨人はそれに気づくと棍棒を横から地面に叩きつけルータスに石を飛ばしてきた。

 只の石つぶてなど大した脅威では無い。それをルータスは剣で全て落とす。流石に巨人の豪腕から飛ばされた石は只の石でもルータスの腕にかなりの衝撃を伝える。しかしそれと同時に。


「ギァウ!」


 大きな声と共に巨人の右腕からいきなり真っ赤な血が吹き出た。


 それはスコールの攻撃だった。巨人がルータスに気を取られたスキを見逃さずに攻撃を入れたのだ。巨人の肘から肩にかけてパックリ割れるように裂け真っ赤な割れ目から血が下垂れ落ちる。

 流石スコールだ。お互い啀み合っているがこんな時は頼りになる。それはルータスが一番良く分かっていた。

 そしてスコールが巨人の腕を蹴って距離を取ると、


“アイススパイク”


 アイの声とともに空から30センチは有ろうかと言う氷の刃が無数に雨の様に振ってきて巨人に降り注いだ。 


「オオオオオオ!」


 巨人の悲鳴の様な声があたりに響く、空から振った氷の刃で体中無数の穴が空きそこからおびただしい血が流れ出ている。しかし巨人動が鈍くなった様子は無く目標をスコールに変えそれに向かって攻撃を仕掛ける。しかしスコールは見事な剣捌きで攻撃を回避し着実にダメージを与えていく。


 状況は3対1だ。いくら未知の巨人とは言えこのパーティなら圧倒的に有利だ。このまま押し切れるとルータスは確信した。

 スコールの激しい攻撃に巨人は気を取られている。その時空ではアイは又1つの魔法を詠唱していた。アイの足元から展開される大きな魔法陣は強くその魔力を高めている。


“アイスエッジ”


 先程の物より遥かに大きな氷の1本の矢は巨人の左目に目掛けて飛んでいく。そして左目はまるで弾けるように吹き飛んだ。痛みによる呻きを上げながら巨人は左目を押さえながら苦しんでいる。そのスキを今度はルータスが見逃さなかった。


 両手で持った剣に全力の剣武で巨人の腹を目掛けて思いっきり薙ぎ払った。ルータスは手応えを感じる。確実に肉を切断した感触があった。巨人の腹は大きく引き裂かれ血が溢れ出しているがどういう訳かまだ倒れない。

 そして距離を取るとルータスとアイはスコールの元に集まった。流石にデカイだけあって強力な一撃が無いと倒しきれない。


「コー君、流石に学園の武器じゃ倒しきれない。アイの魔法でとどめを刺すぞ」


 巨人のダメージは確実に蓄積されているが先頭を長引かすのも危険だ。ここは一気に倒すのが得策だ。


「分かった。アイ行けるか?」


 スコールの問にアイは自信満々で、


「ちょっと詠唱しないとだけど、一撃で決めるよ。アイに任せて」


 その答えに、スコールとルータスは目を合わせ大きく頷いた。そして2人は同時に走り出す。それにあわせ巨人は落ちている岩を掴むとこちらに目掛けで投げつけてきた。その巨体から放たれる岩は並の魔法よりも遥かに凶悪だった。

 しかしルータス達にそんな単純な攻撃は無意味だ。只まっすぐ飛んでくる岩など大きいだけの石ころにすぎない。難なく横に避けるとスコールはその場から剣武による斬撃を飛ばした。ルータスはそれに合わせ大きくジャンプする。

 スコールの斬撃は巨人目掛け一直線に飛んでいく。巨人は受けたダメージにより動きが鈍く回避出来ず足のスネに直撃した。それによって巨人はバランスを崩すとそのスキにルータスは上から巨人の右目に剣を突き刺した。

 剣は深々と刺さり刀身にまでめり込むとその大きさゆえにルータスの体に血と他の液体が混じり合った物が体にかかる。


「ギギギャ!」


 悲痛な叫びと共に巨人は両目を潰され腕を無茶苦茶に振り回している。ルータスはアイに向かって


「今だ! アイ放て!」


 空に向かって叫んだ先にいた。アイは杖を高くに振りかざしその先は青い光で包まれ強い魔力が練り込まれている。アイの周りには冷気を思わせる白い空気の霧が立ち込めており十分に準備は整っている様だ。

 そしてアイの杖は振り降ろされる。


 “アイスエッジ”


 アイの口から唱えられた魔法は発動され、先程のアイスエッジとは段違いの魔力の練り込まれた巨大な氷の矢が巨人目掛けて飛んでいく。それは一瞬で上から巨人の胸に斜めに刺さり皮膚を破り骨を砕き地面へと貼り付ける様に串刺しにした。胸に大穴を開けられた巨人は、ビクビク痙攣を起こし次第にその動きが弱まり命は失われた。

 ルータスはホッと安心の息を吐きアイにむかって、


「アイよくやった」


 アイはフワフワと上からゆっくり降りてくるとスカートの中のシマシマパンツがルータスの目に写った。「学生服を来て戦う時は魔法使いのアイはパンツ丸見えだぞ」と、後で教えてやる事にした。

 アイは嬉しそうに。


「エヘヘ、もっと感謝したまえ!」


 するとスコールが巨人を剣で指しながら。


「とりあえずこの巨人の事は早急にエルドナに帰って報告する必要があるな」

「そうだね。コイツは一体何なのか、どこから来たのかも不明だしな」

「又出たらアイがバーンとやっつけてあげるよ!」


 スコールが村の方角に向きながら、


「丁度マヤカ達が戻ってきたようだ」


 ルータスは振り返ると村の方からマヤカとエリオットがこちらに向かって走っくるのが見える。ルータスは巨人の死体を眺めながら呟く、


「このモンスターが一体何なのか、何か悪い事が起こる前兆なのかもしれないな……」


 その声に答える者は居なくルータスは胸のもやもやだけが残った。

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