第11話
「たく…勇者様の奴さっそくヤる気かよ」
この部隊の副隊長である、騎士は戦闘の後のお楽しみをしようとする、勇者を見ながら溜息を吐く。
この戦闘自体もう終わったのも同然だが…其れでもまだ油断は出来ない。
例えば何時伏兵が飛び出すか分からない、そんな場所でお楽しみをしようとするなんてはっきり言えば正気の沙汰じゃないが…其れでも彼、勇者と呼ばれる存在は我々とは一桁二桁離れた実力を持っているのだ…そう、この世界に召喚されて数ヶ月しか経っていないにも関わらずだ。
そんな化け物が不覚を取るとは思えないが……
「……少しは自制心を持たせる訓練でもさせれば良かったな」
「恐らくは無駄でしょう」
その言葉に部下が答える
「そうだな、あの勇者様には俺らが何を言っても無駄だな…全く何であんな常時発情期の豚が勇者なんだ。」
「全くです」
「本当だな」
BAN‼︎BAN‼︎BAN‼︎
「そうだな、あの勇者様には俺らが何を言っても無駄だな…全く何であんな常時発情期の豚が勇者なんだ。」
「全くです」
俺の前にいる騎士が苛立ちながらそう言い其れに彼の部下が賛同する。如何やら彼と彼の部下達は比較的まともな様だ、現に強姦などをしようとしているのは彼等が言う勇者様以外いない……まぁ『戦利品』を安全な場所に移した後はどうかは分からないが…まぁ然し
「本当だな」
彼等の意見には俺も同じく同感で、そう言いながら騎士の背後で隠れていた俺は立ち上がりながら、銃…世界初の実用自動拳銃 ボーチャードピストルをホルスターから抜き騎士に突き付ける。
「なっ…⁉︎」
当然俺の声は騎士と部下に届き、振り返るがもう何もかもが遅い。
《ナンノウラミモナイガオネンネシナ》
BAN‼︎BAN‼︎BAN‼︎
騎士の頭に一発、心臓に2発このボーチャードピストルの専用弾7.65ボーチャード弾を叩き込む。
「たっ…⁉︎」
《オマエモダ、ボーイ》
BAN‼︎
部下が騎士の事を言う前に頭部に弾をプレゼントする。
頭や心臓から血を流しながら地面に倒れ伏す、二人を流し見て、視線を前に戻す。
流石に気が付いたのか此方を見る、死んだ騎士の部下達、彼等との距離は100m。
《ヤツラコロスキデクルゾ》
知ってる、なら殺される前に殺せばいい死ななかったら解体すればいい、そう言うのは慣れてる。
……今四発使ったから、ボーチャードピストルの残りの装弾数は四発。
敵を倒すのに四発じゃあ足りないが…
「お生憎様こう言うのは慣れてるんでね」
《クルゾ!カエリウチニシテヤレ‼︎》
歩兵達が俺目掛け駆けてくる。
手にはショートソードや槍などを持っている。
《マズヤッカイナヤリヲツブスンダ》
分かってる
ボーチャードピストルを両手で構えちゃんと肩にストックを当て狙いを定める。
BAN‼︎BAN‼︎BAN‼︎BAN!!
撃った弾は全部敵に当たる、ハンドガンは本来中々当たらない物だが、流石に固まって突き進んでくる敵には当てる事は出来るさ。
バタンバタンと弾が当たった歩兵は倒れ、後続の敵に踏まれて行く。
《キョウフノツウキンラッシュダナ》
通勤ラッシュよりコミットマーケットだろ…弾切れ!リーロード!
《カバー!》
瞬く間に四人が自分達の射程距離外から一方的に倒され、その足を止めてしまう。
《ソレガイノチトリダ》
全くその通りだが…仕方ない奴等は未だマスケットも出ていない時代の人間だ。
リーロードを完了し、更に撃つ
「ひっ怯むな‼︎突撃‼︎突撃‼︎敵は女ただ一人だ!」
《トツゲキスルナラモット、オオニンズウデスルベキダナ》
同感だ…其れにしてもこうも一方的な戦闘になると同情するな…手心は加えないがな。
距離が遠ければ遠い程、拳銃は当てにくいが逆に言えば近ければ近い程当然当てやすくなる。
《ノコリゴニン》
残弾数無し…仕方ない、背中のクレイモアを抜刀し駆け勢いに乗せクレイモアを投擲。
「なっ…!」
歩兵が声にならない声を上げる、其れもそうだろう数十キロにも及ぶ大剣にカテゴリーされるのクレイモアが、見た目が女の俺が軽々しく投げ飛ばしたのだから。
困惑する歩兵五人に対し、襲撃する前にボーチャードピストルの予備として買っておいた、拳銃を抜き五人共倒す。
…買っておいて良かったルガーPo8
《ヨウヤクカタヅイタナ》
あぁ…しかし、少年の姿が見えな……
「グッ……‼︎」
唐突に訪れた激痛を何とか歯を食いしばり耐える
「良くもやりやがったな‼︎」
俺の背後からそんな怒りに満ちた声が聞こえてくる、騎士とその部下達は倒した。
なら……俺の肩を刺した奴は…只一人
「勇者……」