第10話
《マサニマチヲサガシテナントカダナ》
歩けど歩けど草草草と言うか草原、一向に街とか人間が舗装したであろう道すらも見当たらない。
ただひたすら草原が広がっている…まぁそんな草原でも酔狂な旅人も何人か居たりした、悉く死体だったがな。
旅人の死骸からはもう必要ないこの世界の金や地図を拝借した。
地図を手に入れた事で楽になった筈だが、何故か分からない筈の文字が分かるのだが…恐らくは自動翻訳のスキルが何かが有るのだろう……スキル欄には無かったがそんなスキルもあると結論する。
昔の地図は大凡、俺達が思っている以上に価値がある物だ
歴史はかなり古く、地図自体は原始時代にもあったとされており、タヒチの先住民による木片を用いた立体図やマーシャル諸島の先住民によるヤシの繊維とタカラガイを用いた航海用図といったものがある。
国家の様な社会体制が誕生すると、必然と必要になる土地の耕作や用水路の建設など、行政のために地図は欠かせないものとなっていった。
そして当然ながら戦争にも必要となり、戦争に勝つ為に地の利を活かす必要や軍事面でも自国や敵国の地形を把握することが重要となっていった。
そのためか地図は凡ゆる時代を問わず、正確な地図を作るために力を入れ、様々な地図が各地で作られた。
当然そんな地図特に精度の高い物なんかは途轍も無い価値があり、当然俺が持っている地図はそんな精度が高い地図な訳もなく…
《チズニホンロウサレルナンテナ》
迷った、其れはもうものの見事に
《チズヲツカッテルノニマヨウノカ…》
相当な粗悪品を掴まされたんだな可哀想に
《マァオレラモ、ソノカワイソウナイチインニ、ナリソウダガナ、オォユウシャヨ、クタバルトハナサケナイ、ニューワシントンD.C.コウリャクセンデ、コンジョウヲキタエナオシテコイ》
「激戦区じゃねぇか‼︎ふざけんな!………たく、待った」
溜息を吐きながら歩き出す………が止まる。
《ドウシタ?………ナルホド》
「あぁ…」
其処迄遠くない所で人の男女複数名の怒声や悲鳴…極め付けは金属音
《シュラバダナ》
あぁ…近い場所で戦闘が起きている
《ドウスル?》
愚問も愚問、行くに決まってる戦闘ある場所に人間あり、人間ある場所に情報ありだ。
音のする方に歩けば…街道に辿り着き、其処で戦いが起こっていた。
一方は劣勢、一方は優勢……優勢所の話ではない、一方的なワンサイドゲームになっていた。
劣勢側の戦力はプレートアーマの騎士が5名、内3名が死亡、騎士が乗っていたであろう七匹の馬も全匹死亡、ラメラーアーマーらしき物を着込んだ歩兵約20名は全滅、他は村人の格好をしている不自然な少女とその少女を守る様に立ち塞がる女騎士と魔術師らしき格好の少女。
優勢側の戦力は歩兵が30名内半数が死亡で騎士は1人、そして騎士よりも遥かに豪華な装備を着た少年が1人。
《ニホンジンダナ》
その少年は明らかに日本人の容姿をしており、手には無駄な装飾を施してあるブロードソードが握られている…戦闘用と言うか儀礼用に見えるそのブロードソードは人を斬ったのであろう、血が滴っている。
《ヨモスエダナ》
全くだ…地球とは違う場所ではあるであろう場所であれ、同じ日本人…然も俺よりも若く軍人でもない彼が人殺しをさせる環境に頭が痛くなる。
恐らくは…あの装備などを見ると少年は何処かの国に所属しているだろう、俺から見ても少年の装備は博物館などに保存される様な物だ…
《……クニノトップガ、ワカイショウネンヲセントウニイカセルトハナ》
時代が違うんだろうな…其れかそうせざるを得ない状況なのか
《デッドチラカニカセイスルノカ?》
勿論…その為に此処に来たんだ。
《カワイコチャンヨリ、オナジニホンジンカ?》
………確かに劣勢の女の子達は皆可愛い加奈よりは劣るが其れでも美少女の類だ。
此処で女の子達を助ければ好感度は上がるだろう、俺今は女だが……
《ニホンジンヲタスケタイノハワカルガ…》
「いっておくが…俺ら軍人はヒーローなんかじゃない」
《…………》
ヒーローの様に自分の利益より他人の幸福を優先出来る様な立場でもない…俺らは命令に従いどの様に自分達が助かるかを冷酷に判断する冷たい殺戮マシンだ。
だが………
少年が女騎士達の包囲網を突破する、突破した際に騎士の1人の首が飛び、女騎士と魔術師にも傷を負わす。
包囲網を突破した少年は村人風の女の子に馬乗りになり
あの光景がまた蘇る
「早く撃て‼︎」
「でも!此奴はまだ…!」
「何を手間取ってる‼︎何時ものように引き金を引け‼︎」
「…………あッ」
「撃てッッッ‼︎」
「あぁぁぁぁぁッッッッ‼︎」
BAN‼︎
「………其れでも俺は其処まで堕ちてはいない…」
《ナラ…》
「あぁ、説教の時間だ」
今まで街道から外れた草むらで隠れていたが立ち上がり、村人風の女の子の服を剥ぎ、大胆にこの場で強姦をしようとする少年に向かって掛ける。
《サァパーティータイムダ!》