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恋愛癖

〈大学一回生〉


今日は高校の時の友達のめぐとカフェに行ってきた。彼女には何でも話している。お店オススメのパンケーキを食べながら、今日も色々な話をした。




「めぐさぁ、丸山先輩って覚えてる?」


「うん。さきが高一の時に一時期好きだった先輩でしょ。てか、私先輩と大学もサークルも一緒だよ」


「えっ、そうなの!?教えてよー。そっかそっか」


「好きだったの前だし忘れてた。で、丸山先輩がどうかした?」


「こないだ偶然会ったんだ。久しぶりだったけどやっぱり格好いいなぁって思っちゃった」


「先輩、高三の時に付き合ってた彼女とまだ続いてるよ」


「本人にさりげなく聞いたから知ってる。でも、『好き』って伝えるくらいは問題ないでしょ」


「ハァー、あんたの場合、伝えるだけで終わらないでしょうよ」


「えーっ、それは相手しだいだよ」


「よく言うよ。高三の時、高野に気持ちだけ伝えるって言ってて、しばらくしたら付き合ってたじゃん。バレてたら高野教師クビになってたかもよ。

せっかくさきが卒業して気にせず付き合えると思ったら、大学入って二ヶ月ぐらいで、さきからサヨナラしたんでしよ!?」


「ご丁寧に思い出話をありがとう。先生って人気だったでしょ。だから、その他大勢の内の一人じゃなくて、特別になれたら良いなぁって」


眼鏡を外した清ました先生の素顔が見たかった


「学校にバレないようにやり取りするのも楽しかったしね。在学中はやっぱり、一教師と一生徒っていう境界線が先生には特にあって、そこが大人な感じがしてカッコ良かったんだけど、なんか卒業したらそうでもなく思えちゃって。ドキドキしなくなっちゃったんだよね」


「はいはい、そうでしたね」


「それより丸山先輩の話。いつも物腰柔らかくてニコニコしてるでしょ。彼女には、ふざけたり怒ったりするのかな!?興味あるなぁ。彼女に一途なところも良いよね」


優しい姿の裏の荒々しい面を暴きたい


「さきのその嗜好、恋愛として正しいのかね?」


「ぷっ、『かね』って、今の語尾何?」


「笑わない!心配してあげてんだからね」


「ありがとう。でも、『好き』って最初は『気になる』ってとこから始まるものでしょ。間違ってないと思うんだけど」


「そう、だね」


「だ・か・ら、めぐちゃんにはご協力をお願いしたいです」


「先輩を落とすのは難しいと思うけどな。まっ、今日はさきの奢りということで、承諾致しましょう」


「ちゃっかりしてるなぁ。それにしてもここのパンケーキ美味しいね。めぐのちょっともらってイイ?」


「いいよ。あたしもちょうだい」


「んっ、キャラメルもいける!こっちと迷ったんだよね〜」


「おっ、アップルシナモンもなかなか」


「この後どうしよっか?」


「そうだ、もうすぐ夏休みだし水着でも見に行く?普通に夏服も欲しいなぁ」


めぐと過ごすのは楽しい。大学にもそれなりに仲の良い友達はいるけど、なかなか本音で話せる友達はいない。


家に帰ってきて、めぐに教えてもらった丸山先輩のアドレスに早速メールをした。







〈大学三回生〉


今日はめぐと個室のある韓国料理やさんに行ってきた。料理はチゲ鍋とチヂミと牛蒡の素揚げをたのみ、飲み物にはマッコリをたのんだ。早い段階で酔ってしまった。




「こないだ先輩と別れるかもって言ってたけど、あれからどうなったの?」


「うん……。やっぱり別れちゃった」


「そうなの!!」


「前にも言ったけど、圭佑君が社会人になってからちゃんとしたデートの回数も減っちゃって、会うっていったら部屋でさ。

そりゃ会えないより会えてて良いんだけど、私が大学卒業したら今よりもっと会えなくなるでしょ。今の感じだと寂しいなっと思って」


「社会人になったら学生の時みたいにはいかないって」


「分かってるよ。でもこのままダラダラ付き合ってて、本当にこのままで良いのかわからなくなったんだよね」


「略奪しといて、そういうこと言うかな!?」


「略奪って言い方好きじゃない!ってか奪ってないし。元カノとは倦怠期に入ってて、別れようかどうしようかって感じだったみたいだよ。そしたら5ヶ月後くらいに喧嘩して別れたの。それで私がアプローチして、付き合うことになったの。」


「もし先輩達の喧嘩の原因が、さきにあったら?まっ、もしかしたらって話だけど……」


「それは、ないと思うよ」


「そう」


「ちょっと下ネタになっちゃうけど、圭佑君って性欲凄いんだよね」


「ちょーっ、いきなり!マッコリ噴いたじゃん」


「ごめん、大丈夫?

社会人になってからは学生の時より回数は減ったんだけど、部屋で会う度にするでしょ。デートもしてないのにやることはやってさ。

そりゃ、圭佑君の傍にいてあの笑顔に癒されたし好きだったけど、自分の家に帰ったら虚しくなった。

それに、長いとこっちも段々疲れるんだよね」


「ふっ、まぁ男の方が体力使うわけだし、淡白より良いんじゃないの!?」


「しかも、圭佑君ってエッチなDVDいっぱい持ってんだよ」


「先輩も男だしね。でもそういうのって、一応彼女にはバレないように隠しといて欲しいよね」


「でしょ!!しかもだよ、してる最中にそのDVD見せたりするの。どういうことだと思う?」


「いや〜、どういうことだろね。私にも分からんよ」


「前まではさ、まあいいかって思えてたんだけど、気持ちが離れ始めたらそれもなんか嫌に思えてきて」


「そうなんだ。あの先輩にもそういう一面があったんだね」


「元カノ尊敬するよ」


「長いこと付き合ってたもんね」


「でさぁ、話変わるんだけど、最近気になる人が出来たんだよね」


「あんたの切り替えの早さも尊敬するわ」


「バイト先の社員さんなんだけど、既婚者なんだよね。無理かな!?」


「無理とかの前に、ダメでしょ!!」


「やっぱそう言うよね。でもこの間、彼氏が全然デートに連れていってくれないって話したら、遊びに連れていってあげようかって言ってくれてさ」


「あー、ダメダメ!完全にアウトになってくよ」


「本当に遊ぶか分かんないし、その人軽いっていうかノリが良いから、励ましのつもりでその場の冗談で言っただけかもしれないんだけどね

他のバイトの子達の相談とかにものってあげてて、私らアルバイトは女性しては見てないんじゃないかな」


「ちなみに聞くけど、その人何歳?」


「三十代後半かな」


「おっ、私のストライクゾーン」


「そういえば、めぐって老け線だったよね」


「さき!四十才手前は決してオジさんではないのよ。ある程度の経験もして青さも抜け、少しミドル臭を漂わせた一番セクシーな年齢なの、分かる?

まぁ、私的にはもうちょい上の方が良いんだけどね」


「……分かるような、分かんないような。

でも、その人に関してはだけど、大人の余裕っていうのかな、それは感じる。よく気付いてくれたり、労ってくれたりするし」


「察知能力の高い男だね。モテるんじゃない!?」


「結婚するまでは結構遊んでたみたいで、『俺みたいな男に引っ掛からないように』って言ってたなぁ」


「手出したら遊ばれるかもよ!だいたい、不倫は奥さんを傷つけるからしちゃダメです!!」


「はい、めぐ様の仰る通りです」


「よし。もう一杯おかわりする?」


「私もろこし茶にしようっかな。たぶん結構酔ってると思うから。めぐは気にせず呑んでね」


「じゃあ、私はもう一杯もらおっかな」


「本当にお酒強いよねー」





私はめぐに嘘をついた。既にその社員とは一度デートをした。もちろん、何もなかった。だけど、来週の火曜日にまた遊ぶ約束をしている。次はどうなるか分からない。この事は、めぐには話せそうにない。


今までもそうだ。高野先生のことにしても丸山先輩のことにしても、何でも話せる友達と言っておきながら、いつも核心の部分は話していない。


話せば見放されてしまうかもしれない。私は繕ってない彼女の返しが好きだ。今の関係を壊したくはない。


前にめぐが、私の恋愛嗜好は正しくないようなことを言ってたけど、その通りかもしれない。気に入った男の人を自分の海に沈めたいと思うのは、普通ではないだろうから。でも、そんな風に思える相手じゃないと、愛情が湧かないのも事実だ。


そして、沈めた後は解放し、浮上させる。



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