序章1-2
「招待、ですか?」
「?そうだよ。 どうしたんだい?」
「いや、そのーー何というか突然すぎて・・・・」
逢坂はいきなり置かれた自分の状況に困惑したため、取りあえず質問してみようという結論に至った。
「あのー、何で俺なんですかね?」
「ん?ああ、それはね実は君の親御さんたちに頼まれていたからだよ。」
「両親を知っているのですか!?」
バァァン!!と思わず両手を机にたたきつけ、身を乗り出していた。突然の出来事で雨宮も少し驚いていた。その雨宮をみて少し冷静になり椅子に座った。
「すいませんでした・・・・・・。あの、両親を知っているのですか?」
「ああ。もう何年もあってないがね。君は両親を覚えてないのかい?」
「はい。全く・・・・・・。幼少期は会ったか分かりませんが小学校は親戚に助けてもらって今は一人暮らしだったので・・・・・・。」
「そうか・・・・・・。私は10年ほど前に君の両親から息子が高校生になったらお前の学園に入れてくれと頼まれていたんだよ。彼らとは仲良くさせてもらってたからね・・・・・・・。断ることなんかできなかったよ。」
「あの、今両親がどこにいるかしりませんか?」
そう聞くと雨宮は申し訳なさそうに首を左右に振り
「私もあの時あって以来音信不通なんだ。すまない。」
「そうですか・・・・・・。」
とは言っても、正直今まで何も知らなかった両親を知る機会だと思ったせいもあり、かなり残念な気持ちで一杯になっていた。
つかの間の沈黙のあと、雨宮がまたゴホンッと咳払いをし、
「それで、逢坂煉君。君は私の学園に来るかね?」
「俺は・・・・・・。」
と言いよどんでいると、ふと思い出したかのように
「そうだ。君の父からの伝言だ。『多くを知って、正義を貫け』だそうだ。」
と伝えた。
「俺は・・・・。」
2013年4月、俺は東京都に位置する第3魔法学園、八雲学園の前に立っていた。
「『多くを知って、正義を貫け』か・・・・・・。」
一人、ポツリとつぶやくと学園の中へと一歩を踏み出していた。