表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最速の女神たち   作者: YASSI
進化する世界
231/398

シャルのまほう

 土曜日、予選はランキング10位、つまりラスト10人でスタートしたスターシアが、二日間の練習走行を通じてベストタイムの暫定トップに立つと、そのあとのハンナ、ケリーは届かず、果敢に攻めたアンジェラの最終コーナー手前の13コーナー立ち上がりでハイサイド転倒のアクシデントにより、予選は一時中断された。

 慣れないコースマーシャルのせいもあるが、自力で動けないアンジェラの収容とコース上に撒き散らされたマシンとその破片の撤去とガソリンやオイル、砂などの処理に予想以上の時間が掛かり、すでにコース上に出ていたナオミは一旦ピットに戻り、もう一度準備をしなおさなければならなかった。

 トップクラスのライダーならこれくらいで集中力を乱すことはないはずだが、今季のMotoミニモ予選は100分の1秒差でグリッドが変わってしまうほど各ライダーの実力は伯仲している。おまけに只でさえ繊細なMotoミニモのマシンに、さらに予選用のシビアなセッティングが施されているのだから、メカニックたちは念入りに調整したマシンのウォームアップをもう一度やり直し、いつ再開されてもいいように気を使わなければならなかった。


 そのせいかは不明だが、優勝候補のバレンティーナとラニーニのタイムも今一つ奮わず、愛華がタイムアタックに入る時点で暫定グリッドは、スターシアがトップのまま。2番手はフレデリカ、3番手リンダ、4番手のマリアローザまで前回10位以下、つまり中断される前にタイムトライアルに挑んだライダーがフロントローに並んでいる状況になっていた。この時点でプライベートチーム扱いのフレデリカを除いて、ワークスのエースライダーは5番手のバレンティーナが最高だ。


 そして愛華もまた、6番手以降のケリー、ハンナ、ラニーニ、ナオミに次ぐ10番手タイムに終わった。自分ではまずまずの走りをしたつもりだったが、思ったほどタイムが縮まなかったことに、少し落ち込む。


 ここまで中断前と中断後の明暗がはっきりと分かれ、しかもスタート順が遅いほどタイムが伸び悩んでいる状況から、コースコンディションが大きく変わっているのでは?最初からやり直すのが公平では?との声があがり始めた中、シャルロッタがそれらの言い訳を黙らせるトップタイムを叩き出した。


 スターシアのタイムをコンマ5秒上回る驚愕のコースレコードだ。これには愛華だけでなく、バレンティーナまでもが目を丸くして驚いた。


 去年のインディアナポリスGPから11戦連続ポールポジションとしたシャルロッタは、群がる報道陣を前に、「これであたしの魔力が、ラニーニやアイカたちとは桁ちがいなのがわかったでしょ?」とタンクに描かれた魔方陣を指し示して鼻高々だ。確かにラニーニもアイカも、魔力などないので勝負にならない。

 

 


 シャルロッタとスターシアの一番二番という予選結果に、今回もストロベリーナイツ優位という見方のある一方、愛華のスタートグリッドとスタートにハンディのあるスターシアでは、前回のようにスタートダッシュから独走での逃げ切りは難しいと見る意見もある。

 ライバルチームにすれば、ここで連勝を許せばますますシャルロッタが調子づくのが目に見えているだけに、なんとしてもここで一勝をあげておきたいところだ。

 意外にもストロベリーナイツのファンの中にも、シャルロッタの独走を望んでいない人たちも少なくない。やはり独走より競り合いの方が、レースとしては面白いに決まっている。

 

 

 

 アルゼンチンGP予選結果


PP シャルロッタ・デ・フェリーニ(ITA)ストロベリーナイツ スミホーイ

   1:42.632

2 アナスタシア・オゴロワ(RUS)ストロベリーナイツ スミホーイ

   1:43.129

3 フレデリカ・スペンスキー(USA) リヒターレーシング LMSヤマダ

   1:43.133

4 リンダ・アンダーソン(USA)ブルーストライプス ジュリエッタ

   1:43.301

5 マリアローザ・アラゴネス(ITA)team VALE ヤマダ

   1:43.356

6 バレンティーナ・マッキ(ITA)team VALE ヤマダ

   1:43.411

7 ケリー・ロバート (USA)team VALE ヤマダ

   1:43.467

8 ハンナ・リヒター(GAR)リヒターレーシング LMSヤマダ

   1:43.489

9 ラニーニ・ルッキネリ(ITA)ブルーストライプス ジュリエッタ

   1:43.500

10 アイカ・カワイ(JPN)ストロベリーナイツ スミホーイ

   1:43.523

11 ナオミ・サントス(ESP)ブルーストライプス ジュリエッタ

   1:43.575

12 コトネ・タナカ(JPN)リヒターレーシング LMSヤマダ

   1:43.623

13 ジョセフィン・ロレンツォ(ESP)アルテミス LMSジュリエッタ

   1:44.653

14 アンナ・マンク(GAR)アルテミス LMSジュリエッタ

   1:44.815

15 エバァー・ドルフィンガー(GAR)アルテミス LMSジュリエッタ

   1:44.905

16 ソフィア・マルチネス(ESP) アフロデーテ ジュリエッタ

   1:45:346

17 オリビア・ジャック(FRA) プリンセスキャット ジュリエッタ

   1:45.487

18 クリスチーヌ・サロン(FRA) プリンセスキャット ジュリエッタ

   1:45.678

19 カルロサ・ラバード (VEN) アフロデーテ ジュリエッタ

   1:45.865

20 ドミニカ・サロン(FRA) プリンセスキャット ジュリエッタ

   1:46.332

 以下略

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 予選結果やランキングに並んでいるライダーの名前を見てニヤニヤしているのは私だけだろうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ