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愛の救い

広美と友達になり、友達が一人増えたのだが、やはり幸華が死んでしまったという事実は尾を引く。


それだけ幸華の存在は大きかったのだ。


尤も、私にそんな事を言う筋合いはないのだが。


なぜなら、彼女の強がりを全て悪い方向に受け取ってしまい、結果的に傷つけてしまっていたからだ。


幸華のことを考えると、悲しくなってきた。


何事もなかったかのように過ごしていけばよいのに、なぜかそんな簡単な事ができない。


好き勝手傷つけておきながら、ずいぶん虫が良すぎると自分でも思う。


そんな考えに陥った時、愛の救いが欲しくなる。


これもまた自分本位甚だしい考えであることはわかっている。


しかし、人間というものは、一度甘い考えにたどり着くと、そこから抜け出すことができないというものである。


それは、一瞬だった。不意に冷たいものが頬を伝った。


それはとめどなく溢れ出してきた。


********************

俺はだんだん寂しくなってきた。幸華がいないからだとわかった。


だとしたら、俺よりも幸華といる時間が長い翼はもっと悲しいに違いない。


抱きしめてやりたい。そう思った。


逆に、それしかできない自分に腹がたった。


俺は無意識のうちに駆け出していた。


○●◎◇◆□■△▲△■□◆◇◎●○▽▼●

予想通り、翼は泣いていた。例え仲間が増えたって元からの友達が死んでしまうのは耐えられないだろう。


―――後ろからそっと抱きしめた。なぜ前からじゃないのか?と自問自答してみた。答えは簡単だ。泣いている翼を見ると悲しくなるからだ。


恋人の癖に何もわかっちゃいない。こういう時こそ抱きしめてやらなくて何が恋人だ。自分の考えの甘さに改めて気がついた。


俺は甘い考えを振り切って、前向きに抱いた。


翼の暖かい手がゆっくり俺の背中に回ってくるのがわかる。


いつまでもこうしていたいと思うほど心地よいひとときだった。


だが、いつまでも立ち止まってはいられない。


前に進もう。立ち直るために。


俺はそう決意し、立ち上がった。


********************

私は裕也から愛の救いを受け、立ち上がった。


裕也は、私の思い人はいつまでも暖かい。


だけど、頼ってばかりではいられない。悲しんでばかりではいられない。


自分で立ち上がる―――そう決意したとき、香奈が目の前に飛び込んできた。


「春菜さんが死にそうなの!!」


信じがたい言葉と共に。


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