二十一日目
真夜中だった。翼ちゃんの呼吸が止まった。
やはり私なんかでは翼ちゃんを守ることなんかできやしない。
翼ちゃんの首には頸動脈に突き刺さらず交わるようにフェンスの足が突き刺さっていた。
本当なら私がこうなるはずだった。それがもう一つの未来だ。しかしそれを翼ちゃんが変えた。
私だけが台風に飛ばされてこのフェンスに突き刺さった。
そんな未来だったらどんなに良かっただろうか。
そんなわがままがまかり通るわけがないのはわかってる。
それでもそう思わずにはいられなかった。そうすれば誰も悲しむことなく終わったのだから。
そこに白髪の少女が現れた。
「あなたは自分勝手だ。自分がこうなれば良かったと思っている。そんなのは自分のこと以外に何も考えていない証拠だ。この人間は確かにたわけだ。だがこのたわけはたわけなだけじゃない。他の人間に優しい。このたわけはあなたがこうなったらきっと悲しむ。」
口は悪いけど言ってることは正しい。
私は翼ちゃんを運んだ。その途中、まるで殴られたような気分になった。そして思ったのだ。生きて翼ちゃんを守るというのが因果なのだと。
もう一度ここで看護婦として再出発だ。そうすればまた翼ちゃんを医療面からも守れる。
そう思い、私は院長室に向かった。
私は医者に邪見にされた。当然院長に笑い物にされるだろう。
そして医者達にも笑い物にされる。そんな事は読み切っている。
それがどうした。これが私への罰だ。
そんなことを思っていると、院長室に着いた。
「ああ、あなたか。用件は?」
「私をこの病院の医療に携わらせてください。お願いします。」
「ん。ああ。OKだ。沙吉田の地位に加えて医者というものが入るが、別によろしいかね。まぁ、この病院には財政管理部なんてないがな。」
沙吉田の地位。つまり看護婦兼財政管理部長。
そこから財政管理部長を引いて医者を加えた感じだ。すると、
医者兼看護婦ということになる。
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私は今これ以上ないくらい憤っていた。なぜあの女が研修医までやっと上り詰めた私達をさしおいて医者になったのだろう。
すぐにとっちめてやりたい。そんな気持ちになった。
そしてその元凶が廊下を歩いていた。
私はそいつを殴った。するとそいつは私の手首を押さえた。
「何なのよ!!」
「やめなさい。」
「えらそうに説教すんなこのくそアバズレ!!!」
「誰に向かって口を聞いているのかしら?あなたを傷害罪で訴えてもいいのよ?」
私はしぶしぶそれから離れた。




