十五日目
私は夕方に起きた。最近起きられない。突然目眩がした。え?と思った時には既に意識は無くなりかけていた。
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翼はそこに倒れていた。人は皆、私のことを完璧超人扱いするが、それは違う。私はただ勉強と運動に長けているだけの人間だ。
私は翼をここまで傷つけた人間を許せない。やはり私は完璧超人なんかじゃない。少し嬉しくなった。だって完璧超人だったら感情を持っているはずがない。感情は人を脆くさせる。
では、感情を持ってなかったら完璧超人になってしまうのか?
それはない。感情を持たない人間に優しさはない。優しくない人間など完璧超人ではない。
何が完璧なの?私の問いかけに答える人はいない。
翼は目をパチクリしながらゆっくり立ち上がった。
しかし、何かに蹴られ一瞬にして倒れていった。
蹴ったそいつは座り込んでしまった。
そいつは数美だった。
「また、やっちゃったの?」
私の問いかけに力なく首を縦に振った。
「私、怖いの。」
「怖い?」
「また、あんな事をしてしまったら―――」
「大丈夫。私はいつも数美の味方だから。」
「私は、殺人犯になるかもしれないの。それでもあなたは?」
「うん。もうあんな事、誰にもさせない。大丈夫。全部あいつが悪いんだから。」
「私は、普通の人に戻れるかな?」
「何とかなるよ。ちょっと行ってくるね。」
私は翼を抱えてナースコールをした。しかし、一向に看護師の姿が見えない。私は学校で習った応急処置をとろうとした。けれども、焦って手が動かない。
私は完璧超人なんかじゃない。改めてわかった。
翼はシンジャウ。どこか遠いところに行ってしまう
やめてイカナイデ。シナナイデ。
私は意識を失った。
目がさめた。由似が涙目で座ってた。
「翼は?」
「ICUよ。このままだと―――」
と由似は涙をこぼし、
「シンジャウッテ。」
私は翼と死が結びつかなかった。シンジャウッテ。シンジャウって。シんじゃうって。
死んじゃうって。
嫌だ。
「嫌だ!逝かないで!!死なないで!!!」
「大丈夫だよ。」
「優しいね。由似って。」
私がそう言うと、突然立ち上がって、
「い、いや、私は、別に沙耶の事を可哀想だとか思ってないし、守ってあげようとも思ってないんだからねっ!!」
「よしよし。ありがとう。」
「何かあったの?」
あいつが来た。数美がああなったのはこいつのせい。由似の父親をはめたのもこいつ。
ほんとは殴ってやりたい。でも、へりくだって頼むしか二人を守れない。
「数美と由似に手を出さないでください。お願いします!!」
土下座で頼んだ。




