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七日目

正午頃、私は屋上のフェンスに身を任せていた。


このフェンスさえ飛び越えれば楽になれる。

フェンスに足をかけた。真夜中の風が肌にヒンヤリと沁みる。もう私に迷いなどない。それなのに飛び越えられなかった。…裕也。


そう、私は裕也と離れたくない。


でも、運命とは残酷なものだ。何者かが私の胴をつかんだ。そしてその傷は禁忌の傷に延びていた。鋭い腹痛に襲われた。泥のような色をしたものが私の服を濡らした。


体が痺れた。私の口から泥のような色をした何かが溢れてきた。なにやら鉄の味がした。

血だ。もう何が何だかわからないほど意識が朦朧としてきた。


*****************************


何とか気づかれずに仕留める事ができた。胃袋を握りつぶしたときの感触がまだ残っている。


地面が濡れ始めた。あの女が失禁しやがったのだ。


「ひっ。」とか「いやっ。」とか泣きながらうめいている。つくづく往生際の悪い女だ。

二、三発蹴ってやった。ついにあの女は息をしなくなった。こんな汚物はとっとと処分してしまおう。そう思って汚物を持ち上げ、落とそうとした。指先が震える。心の中に不安の渦が隠れている気がした。何だろう。この気持ち。


何者かが私を引っ張り倒し、汚物を抱き上げ私を蹴った。


裕也さんだ。更に殴られた。


「そこまでしてこんな女―――」


「―――それ以上言うな!!翼がいなけりゃお前は今頃ムショ暮らしだ!!!」


「あの女が私を庇ったとでも?冗談も程々に―――」


「これを聞いてから言え!!!!」



『一体何故警察官を始めとして裁判官を殴ったの?何か言わないとおじさんわからないよ。』


『うるせえ』


『人が下手に出りゃつけあがりやがって。何で松岡を殴ったんだ!!しかもうるせえたぁ何事だ!!!!誰に向かって口をきいているんだ!!!!!何で殴ったのか言えや!!!!!!お前は傷害罪と公務執行妨害と殺人罪に問われているんだ!!!!!!!その態度は一体なんなんだ!!!!!!!!

………何でお前は二階堂恒夫と二川洋一を殺した。そもそも犯人はお前なのか。どうなんんだ。ゲロすりゃ楽だぞ。正直に言え!!!!!!!!!!』


『真犯人もくそもありません。犯人は私です。私の友達の彼氏が殺された事件の犯人がそのその二階堂恒夫氏と二川洋一氏だったんですす。だから私は二階堂恒夫氏をナイフで刺し、ピストルで応戦してきた二川洋一氏をそのピストルで返り討ちにしました。友達が犯人だと決めつける裁判官とそれに天誅を下すのを邪魔した警察官を殴ったまでです。』


『何が天誅だよ。てめぇは殺してないんだろ?てめぇが言う友達というのは京野香奈だろ?悪友とは手を切りたまえ。』



冗談?ありえない。私達は親友なのにどうしてこんなことになってしまったのだろう。


翼は悪くない。私が悪いのだ。欲に溺れてしまえば、簡単に途切れるほどの絆だったのだろうか?否、それは違う。変えてみせる。翼はそう言ってた。今から思うと凄いことだ。だから今度は私が変える番だ。


そもそも私に翼を犯罪者と蔑む権利はあったか。否、あるわけがない。情が絡めば法律など案外どうでもいいものである。


「行くか」


「本当にいいのですか?私は翼を裏切ったんですよ?」


「以前のような深い絆を取り戻せたみたいだし、大丈夫だ。問題ない。それより倒すべき敵がいるんじゃないか?」


「はい。」


私達は病室に入った。


「あら、香奈ちゃんじゃない。あの女は始末した?」


「私達は間違えてます。こんな馬鹿らしいことはもう終わりにしましょう。」


「あんたは一体何!裏切る気?」


「裏切る?私はあんたの仲間になった記憶はない。少なくとも今のあなたの。」


「殺されたいの?」


「目には目を、歯には歯を。」


「なによ。」


「そんな言葉は生温い。目には骨を、歯には命を。やられたら例えどんな状況だろうとどんな相手だろうとやり返す。反撃だ!!!!!」

「惨たらしく死になさい。」


「子供の喧嘩ですか?なんか言われたら死ね。と言う。」


「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!」


「行きましょう。これではもはやお話にもなりません。」


「お、おぅ。」


その後、翼を抱えて手術室まで行った。ベンチに座ったとたん、睡魔に襲われた。


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