三日目
私は、まだ寝ている幸華の背中を、ゆっくりさすってあげる。
これも幸華が私にしてくれた事だ。
そのうち幸華が起きてきた。
私は、少し考える。
もしも、幸華の心が、そのことを聞く事によって、壊れてしまったら、と言う恐怖が私を襲う。でも、今聞いとか無いと後悔するかもしれない。だから、聞く。
「ねえ、幸華、昨日何の話しをしてたの?」
と聞くと、幸華は、嗚咽を漏らし、しばらくすると、号泣し、私に抱きついてきた。
「私ね、スキルス胃ガンなの。余命………半年。だから、………だから、………」
と言って私への身のゆだね方が、もっと大きくなってきた。
そうやって、幸華を抱いている、私の目からも涙。私たちは、抱き合いながら、泣き叫びあった。
周囲からは、ひかれまくるが、そんな事を気にしてはいられない。
だって、私たちは、たった半年しか、一緒にいられないのだ。
半年たてば、幸華は死んでしまう。そう思うと、涙が止まらない。
私は、思う、せめて、最後の半年だけ、友情を感じよう。それが、幸華に対してできる、せめてもの、贈り物だ。
そう思った矢先、幸華がいった。
「あんたの心、もう壊れてるよね。」
「なによそれ、あんたの心もとっくに壊れてるくせに、あんたなんて、五年前見たいに、自殺して、今度は、死んじゃえばいいのに。」
後悔は残らない、むしろ、すがすがしいくらいだ。
「勝手にしろ!」
と言って外に出た。その時、幸華が唸るような声を出して泣いてるのが分かった。ざまあみろ。
そしてわたしは外に出て、私鉄を乗り継ぎ、お台場へ、いろいろ遊び、ついでにディズニーランドにも行ってきた。
その時、親と一緒にいた友に出会う。
「あれ、翼ちゃん、幸華は?」
「今、看病の休養中。」
「いいの、ホントにそれでっ!かわいそうだよ、だってそうでしょっ!!だって幸華とあんたは、昔っからの友達でしょっっ!!!。」
はっとなる。私がすべきことは、こんなことじゃない。
私がしなければいけないのは…幸華を見守ることだ。今は、23時47分で、名鉄どころか、東海道線すら出ていない、今帰るのは難しいから、今日は泊まる事にする。