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二十二日目

気がついたら、私は床で寝ていた。

記憶を堀り返す。


『幸華さんの抱擁の意味は『訣別』です。』


思い出した。私、香奈に泣きついてそんまんま寝たんだ。

そして、当の本人はそのまま横たわって寝ている。

彼女はなにも言わなかった。むしろなにも言えないというような表情だった。

そして、急いで病室に引き返すと、いきなり黒い影が突進してきて、私の体を真後ろに突き飛ばした。

黒い影の正体は幸華だった。


「ちょっと、なにすんのよ!」


といったら、


「うるせえ。」


と返された。


「あんたね、蹴っ飛ばしといてうるせえって何なのよ!え?!」


というと、


「あんたなんか、友達なんかじゃねぇんだよ!死ねよ!」


私の言葉に、その言葉が突き刺さる。

私は人目をはばからず泣いた。

**************************************

私はさっきまで寝ていた。

誰かの泣き声で目を覚まして、起きたら廊下で翼さんが泣いていた。

やはりショックだったか。幸華さん、ひどい。

私は一瞬だけ幸華さんに怒りの念を覚えたが、すぐに冷めた。

**************************************

私は泣くのをやめ、外の景色を見た。

そのとき、誰かの人影を感じたが、気にしなかった。

そして、病室に戻ると幸華がいた。


「あっ、生きてたんだ。カンドー。」


そう言われた。

私は拳を握りしめ、幸華を思い切り殴った。

拳に血がついた。

幸華は鼻血を出して倒れていた。


「てんめぇー。」


もうそれは幸華の声では無かった。いつも明るくて優しい人なつこい高い声から、

陰湿で冷たくて低い声に変わった。

そして、私は幸華に殴り倒された。

攻撃を受けていつしか私は倒れた。


「あっ、泣いた。ざまあねぇなー。」


そう言う幸華の声で私は泣いているんだとわかった。

そして、私の頭を何回も踏みつけ、さらに点滴の台で殴った。

頭が割れるように痛い。


「おい、香奈。こいつを頼んだ。」


そう言われた。私は死を覚悟した。

そして、私の意識が遠のいていた。

そのとき、体全体にぬくもりを感じた。抱きしめられている。そんな感じのぬくもり。

抱きしめられてる?誰に?香奈?絶対に違う。恐らく里奈さんだろう。

私はそう確信して、眠りについた。


**************************************


私は、幸華さんに殴られて倒れている翼さんを見つけて抱きしめ、ベッドに移動させる。私は体の中にあつくたぎるものを感じた。私はきっと幸華さんに怒りを持っているのだろう。

私は幸華さんが走って行った方向に走る。

そして、幸華さんを見つけた。標的に向かって、思い切り拳を振り上げた。


「なにすんだよ!」


あなたにはついて行けません。


「なにすんだよ!じゃないでしょう。あなたが蹂躙している間翼さんがどれだけつらい思いをしたか、あなたにわかる?」


「知らねえよ!あいつのことなんか。あいつはあたしの気持ちを奪った。こっちが重ねた手をはたいて離したんだ!」


「それは…おつらかったでしょうね。でも、それはきっと彼女も傷ついているでしょう。」


「なぜあいつをかばうの!最初はあんただって、敵に回してたじゃない。」


「最初はそうだった。でも、彼女が私を思いやっていたことを知って…。」


「なぜそれを私にやらなかった!あたしだって苦しいのに!!!」


「はっきり言いましょう。それはあなたが、馬鹿だから!!!!」


「テメェ!黙って聞いてりゃつけあがりやがって!!」


「もうあなたのことは知りません。しかし、一つだけ申し上げます。八つ当たりなら翼さんじゃなく、自分自身にしてください。」


私は病室に戻りながら、つぶやいた。


「もう、これは里奈さんに頼むしかないですね…。」


*************************************


私は夕食を食べた後、ケータイのメールを見た。

するとそこにはこう書いてあった。


「あんた、マジうざい。消えて。関わらないで。」


ウソ…。気づいたら、私は自分の家から持ってきた果物ナイフを握っていた。

私はそれを自分のおなかに当てる。私が死ねば幸華の心の傷もよくなる。

そこに


「翼さん!早まっちゃだめ!死なないで!」


香奈だ。でも、香奈とは思えないほど悲痛な声だった。

さらに


「やっと死ぬ気になった?死ね!」


幸華だった。


「まだ未練があるのか。あたしがやってやるよ!!!!!」


「ダメ!!!!!!!!!」


香奈が幸華を制止しようとした手が、トンカチでたたかれた。

そして私が持ってるナイフの柄の部分を幸華がトンカチで思い切りたたいた。

死にたくない。そんな気持ちが芽生えた。しかしもう遅かった。ナイフが私の手を抜けおなかに刺さり……はしなかった。トンカチが行き先を失い、柄の部分の横をうったのだ。私はおなかを掠りはしたが軽傷だ。

しかし、ナイフは真横に飛んで香奈の方に飛んでゆく。

私はとっさに飛んで、香奈をかばった。ナイフはまたしても行き先を失い。私の背中に向かって落ちていく。私は腰を浮かせ、ナイフが落ちてくるのを待つ。

そこに、パシッと言う音がして、ナイフが捕まれたことを表していた。


「藤井幸華…。あんた………。」


すごく恐ろしい声だった。

その人の声に怒りと憎悪があるのがわかった。

その人は………

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