十七日目
最初の視点翼
中間裕也
終盤翼
午前1時頃、ものすごい爆音で私は起きた。
あたりを見渡すと、すでに廊下がオレンジ色の補のをで埋め尽くされている。
不意にあのときを思い出したが、私はもう泣かない。
そのうち、炎が扉を突破し、こちらに侵入してきた。
幸華の姿も炎で見えない。
私は布団を待ちだし、炎の中に突っ走る。
前が見えないという恐怖はあるが、幸華にはまだまだ生き続けてもらわないと非常に悲しいのだ。
私は、幸華を布団にくるみ、抱きしめ、点滴とともに走り出した。
階段を駆け下りると。いつしか出口が見えた。里奈さんもそこにいた。
私は安心感からか、そこに倒れた。
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俺は、近くの騒ぎを聞いて真っ先に病院に行った。
そしたら、女の子二人と、一人の女性がいた。
一人の女性がうめき声を上げながら立ち上がった。
「初めまして、隣の学校で歴史の授業をやってます。遠野裕也です。何かあったんですか。」
というと、その女性は
「初めまして、酒井里奈です。」
「その女の子たちはどうされたんですか?」
「いろいろあって…」
それから、俺はこの女の子たちに惚れてしまった。
いかに勇敢かを思い知ったからだ。
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私たちが起きると、里奈さんと知らない男の人が話していた。
むろんあの男ではない。
あの男は今頃牢屋で教育上よろしくないおぞましき自慰行為でもしていることだろう。
「あっ、君たち、起きたんだね。名前はなんていうの?」
「横沢翼です。」
「藤井幸華です。」
私たちはどや顔で答えた。
そうすると知らない男の人が、
「えー、初めまして。えー、靴田ーじゃなくて、えー、遠野ーオ裕也です。23歳です。勃起長は、えー…あいたっ」
「女の子の前で、妙齢の男がそんなことを言うもんじゃありませんっ!!これは売春という名の犯罪ですよっ!!」
そういう男の人…もとい遠野さんが最後の言葉を言い終わらないうちに里奈さんが遠野さんの頭を力一杯はたく。
明らかに動揺している、この人もなんだか怪しい。
幸華が私の耳元で
「彼、結構おもしろそう。あたし、惚れちゃったかも…。」
このお色気発言である。
しかし、これについては、私も同感である。ちょっとエロいけどおもしろいし、ちょっとイケメン。
あちらもすでに私たちにめろめろのようすだ。
「さて、裕也君にもこちらに泊まってもらうとしましょうか。」
と里奈さんが言った。
「いいんですか。じゃあ是非。」
すっかりノリノリだ。
「さて、私の家に行くとしましょうか。」
といって、来た道を引き返した。
やがて、家に着くと、唐突に里奈さんが医療器具を用意し始めた。
何をするか。その答えはすぐにわかった。
しばらくして、
「裕也君、ちょっときてもらえる?」
とハスキーな里奈さんの声が家中に響き渡った。
私たちは下に降りて、内容を盗み聞きした。
「はーい。このナイフみたいなのがメスです。そして、こっちが…」
「ちょっと待ってください、まさか、これ全部覚えさせる気ですか?」
そこには、修学旅行のガイドさんのように、医療器具のことを説明する里奈さんの姿と、困りあぐねた顔で正座させられている遠野さんの姿があった。
「ええ、そうよ。幸華ちゃんが倒れたときのためにあなたにも使ってもらうつもりだからね。」
うわぁ、里奈さん、不謹慎なくらいのすごい笑顔になってる。
そして、遠野さんの実習もすんだら、もう日が沈んでいた。
「遠野さん、何があったんですか?」
「ああ、ちょうど今言おうと思ってた。」
もう知っているが、また聞きたくなってきた。
「俺のことは、裕也君と呼んでいただけないかな。あと、翼には裕也と呼んでもらえるとうれしいんだけどな。」
すごいほれ方…。でも幸せ。
賑やかな食卓は、終わった。
私たちはそこで寝た。