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十二日目

引き続き酒井里奈視点。

「ふざけないでくださいよ!たかが経営不振で、なぜ病院を辞めて、患者を犠牲にし、病院をそんなものにしなければいけないんですか!!ふざけるのもここまでにして下さいよっ!!!」

怒鳴った後に悲しみで涙が出てきた。本当に許せなかったのだ。

だって、この人たちは自分たちだけの都合で人を殺そうとしている。

もちろんそんなことはあってはならない。

「さて、最初に504にいきますか?」

「当然だべ。余命半年の患者なんて最初に手を打っておくべきだべ。」

私は黙ってはいられない。先に504に向かう。

私は、幸華ちゃんと翼ちゃんを負ぶって、病院から逃走を図る。

当然、あいつらとは逆をたどる。びっくりするぐらい必死だった。

なんとしてもこの子たちを守らなければいけない。そこで、目をつけたのは、私専用のヘリだった。

翼ちゃんと幸華ちゃんを後ろに乗せて、そのまま発進した。

私は、警察に電話する。

「もしもし、こちら沙吉田総合病院ですけど。」

「はい、どうされましたか。」

「いますぐ病院に行き、大至急院長と副院長を止めて下さい。患者の命がかかっています。」

「わかりました。」

私は、どこに向かえば良いのだろうと思ったそのとき。

横に院長専用ヘリがつけてきた。

院長専用ヘリは、私の行く手を遮ってくる。ところが、それだけではなかった。狙撃銃であるレミントンを私に向けて発砲しようとしてくる。

「引き返せ!引き返さなければ撃つぞ!!それか、おとなしくその子たちを引き渡せ!!!」

何それ…。都合よすぎる。

「そんな命令を私が受け入れるとでも思いましたか?いやですよ。」

「発砲用意」

突然沖縄なまりの声が響く。

ものすごい爆音と同時に。窓ガラスが割れる。私は、トップスピードで切り抜けるが、院長たちに追いつかれ、窓ガラスの割れ目から私に撃ってきた。

私は被弾した。

幸い脈に触れなかったらしく、血の量は少ない。まだ撃ってくる。

私は懇願するような声で

「いい加減にして下さいよ。患者を犠牲にしてまでコンビニ経営をするんですか。」

あの二人がにやける。

「いい加減僕を困らすのをやめて、患者を引き渡して下さいよ。」

とハモったまま甘い声で言ってきた。

もちろんそんなふざけた呼びかけに応じることはせず、私は目の前にある中部国際空港に向かって急発進した。

やはり、あの二人が追いかけてきた。発砲もしている。音からすると、短機関銃だろう。

私は、翼ちゃんと幸華ちゃんを抱いて、着陸準備に入る。そこに警察用のヘリコプターがやってきた。私は中部国際空港でヘリコプターを降りて、持ってきた医療用具を持って中部国際空港に入った。

行き先を考える。まず、選択肢として、

1.私の実家(広島)に向かう。

2.宿を転々とする。

2の場合だと疲れてしまう。

とりあえず私の実家に向かい、日本赤十字社病院に幸華ちゃんを入院させればいい。だが、問題は私だ。今も撃たれたところから血液がしたたっている。でも、今は翼ちゃんと幸華ちゃんの方が心配だ。

そして、岐阜羽島から新幹線で広島へ。

そして、タクシーで私の実家に着いた。

その途中で何回か職務質問を受けた。そして、最寄り駅である皆実町六丁目から広島電鉄で日赤病院前に。幸華ちゃんの入院手続きを終えて、再び皆実町六丁目に戻り、翼ちゃんの面倒を見る。私の両親はもう居ない。

翼ちゃんを寝かせてあげた後、私は、彼女を見つめる。小さい。翼ちゃんの体は小さい。

こんなに小さい体を見つめているうち、こんな小さな体で必死に幸華ちゃんを見守っていたり、看病してたりしてた翼ちゃんが愛おしくなり、そっと抱きしめてあげた。しばらくして私は、流動食を作り、翼ちゃんの部屋に持って行ってあげた。そうしたら、彼女はすでに起き上がっていた。

「ごめんなさい。それ、無駄になっちゃいましたね。」

といって謝ったが、そんな彼女を抱きしめてあげた、こうして私の一日が終わった。

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