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Tutorial

人は言う。

「矢は折れ、剣は尽きる。それがこの世界」

「あなたがいるならヤシャもいたりしないかな?」

 ショウコはミナミを見下ろしながら言う。ミナミは痛さは退いたのか、仰向けでショウコの顔を見ていた。

「どーせいるならペットコーナーでしょうな。わんわん」

「かわいーかわいー。満足?」

 ちぇっ、というとミナミは起きあがり、一人店の奥へと行ってしまった。ショウコも同じくついていく。

主に生活用品を取り扱うため中はとても広い。天井はビルの4階相当の高さ。むき出しの鉄骨は何かとロマンを感じる。しかし棚はショウコよりも少し低い程度で、空間的にデッドスペースが多い。

その店の最も奥にあるペットコーナー。犬猫は勿論、爬虫類、両生類、昆虫に猛獣に天然記念物。愛玩動物から実際に戦闘に参加できるような動物まで取り扱う他の拠点にはない異様な設備だ。

その近くにあるペットのエサのコーナーに一人の男性がいた。


金髪が短くとがっており、目は黒い。若者が着る半そでのシャツに細めのジーンズ。俗に言うストリートファッションの男性は鋭い眼光で大型犬用のエサを見ていた。足元にはおとなしい一匹のシェットランド・シープドックが。

犬はこちらを見つけると一目散に駆け寄ってきた。

「あははー、クゥ。元気にしてたかー。おーおー。また飼い主に暴力的な愛情表現受けたのかー?」

 そしてクゥと呼ばれた犬はショウコの生足にしがみつき腰を振った。

俗に言うマウンティングである。変態行為ではなくあくまで身分確認。

「……ッ!!」

 ショウコは反射的に拳を一発ぶち込んだ。彼女はマウンティングが人一倍嫌いだった。

キャンと一鳴きし飼い主の元に戻る犬。

「ん? どうしたクゥ……ショウコ! ミナミ! 奇遇だな」

 そういうと金髪の男性は二人の下に来た。

「ヤシャ、またその犬が粗相をしたわ。裁きなさい」

「あァ? またしたのかこいつ! そりゃ!」

 そういうとクゥのおでこをたたく。たたくというかつつく。

「足りぬ!我の生足の価値を見出しての行為であるならば鋸の一対や二対取り出すぞ!」

「口調変わっちゃってるじゃんか! どんだけ拒否すんだよ……」

 血眼になってクゥをにらむショウコをなだめ、落ち着いたところでようやくミナミが口を開いた。

「ダメ飼い主が」

「うっ……」

「家族ともいえる飼い犬の制御もできないなんてマスター失格ね」

「くそっ……このちび」

「誰がちびだ! 関係の無い話題をもちこむな! それともあれか! 暴力か! 暴力での解決をお望みか!」

「お前まで口調変わってるぞ!」


「とりあえず久々の再会ね」

 外に出、自動販売機(ボタンを押せば出てくる)のコーヒーを飲むショウコ。

「どのぐらいぶりだっけ? 最近時間の間隔がわからなくて」

 メロンソーダを飲むミナミ。

「半年ぶりか? まあなんにせよみんな生きてて良かったな」

 ヤシャは緑茶を飲む。半年ぶりのいつもの光景だった。

「最近刺激が足りないわ。 こう……使徒でも攻めてこないかなー?」

「やめてよショウ姉ちゃん。その使徒が仲間ならいいけど」

「仕方ない。支部行くか? あそこなら依頼の一つや二つあるだろう」

「そうね、たまには三人で動くのも……ああっ!三好さん!おーい!!」

 ショウコが目をキラキラさせながら駆けだす。その先に居たのは西洋の騎士のような風貌の男性だった。

赤い髪に青っぽい黒目、あふれだすいい人オーラ。自由奔放な西日本地区では珍しく堅牢な西洋の鎧を身にまとう彼の名は三好ツルギという。

「ショウコさん! 久しぶり!」

 ハイタッチ、素早く半回転し背中を合わせ、お互いの反動を活かし体制を整え、ハグ。二人流のあいさつだ。

「三好さんお元気でしたか? 私ついに白壁灰できました!」

 ちなみに白壁灰とは第一話でショウコが死に物狂いでプレイしていたアレである。

「おお、初レベル12だな!縦連がきつかっただろう?」

「体勢があって良かったです。穴やったら60%とかになりそうですが」

 ……続きはここに書く必要はないだろうから略す。

二人はその後もしばらく談義し、時間も時間なので食事をとろうとした。


しかし、その和やかな時間はけたたましいサイレンにより打ち砕かれる。


 赤く光るランプ、耳をつんざくサイレン。

「多数のシカバネがこの基地に来ています! 各自迎撃態勢をとってください!」

 先ほどのスナイパーの声だ。スピーカーから聞こえる。

ショウコとツルギはやぐらの下に駆け寄りスナイパーに声をかける。

「今この基地にランカーは何人いる?」

「俺の見た限り3人です! あと一人は21位の”爆弾狂(クラッシャー)”バーン・エクスプロードです!」

「分かったわ! とりあえず糸を張る!」

 そういうとベルトからストリングソーを出すと器用に門の間に張った。

「越えられたら三好さん、よろしく」

「任せておけ」

 ツルギも自らの得物を取り出す。真紅に光る剣二本のグリップを合わせバトンのようにした「フェニックス」


そして視界にはすでに何百ものシカバネがうつっていた。

ランカーとは……?

次回、簡単に明らかに。

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