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eden

人は言う

「立っても座っても歩いても、魅力の一つもないね」

歩いて20分ほど。


市内最大のホームセンターにショウコの姿はあった。



ショウコの家のように厳重に張られたバリケード。


しかし彼女の家とは違い、入口に扉はなく、トラックでも簡単に出入りができる。


ショウコは遠くにある見張り台の上の人物に手を振った。


遠すぎてわからないが、どうやら手にはスナイパーライフルを持っているらしい。


その人物は手を振り返した。




全国ありとあらゆるところにあるホームセンター。


そこは「支部」から物資が送られてくる、いわば補給基地のようなものだ。


食料、飲み物、木材、加工機、医療の道具に兵器。


ホームセンターにたどり着けば、あとは良心を信じて自由に持って行っていい。


ただ、環境が環境なため、自然と「実力者」しか補給を受けることはできないが……。



ショウコの利用しているホームセンターは大きく分けて3つの店舗がある。


半分以上を占める緑色の店舗は日曜大工に使う工具や資材、なぜかペット用品などが非常に充実している。


そして少し小さめな白い店舗。食料品や飲料。簡単な食事もとれる。一番混雑している店舗だ。


その隣にある小ぢんまりとしたガレージのような店舗はショウコもよく知らない。



とりあえずリバーソーをとぐために砥石でももらおうと思い、緑色の店舗に入る。


大量の木材を横目に、砥石を探していると、遠くに少女がいた。



アルビノ体質だろうか、真っ白なショートボブの髪と肌。服も同じく純白のドレスを着ている。


目は若干赤混じりの黒。年齢は10代前半だろうか?まるで雪の精のような少女だった。


手には鉄製のパイプ。ペン回しのようにくるくるとまわしては、他のパイプを持って同じようにくるくるとまわしている。



「スノーーーーウ!!」


ショウコが大声で呼ぶ、手をぶんぶん振りながら。


スノウと呼ばれた少女は器用にもパイプを回しながらショウコを見た。


「ショウ姉ちゃーーーーーん!!」


パイプを大胆かつ繊細に棚に戻し、一目散に駆け寄ってきた。


「おひさしぶりでぇーーーーす!!」



そしてブレーキをかけながらちょうどの距離でショウコの胸を鷲掴みした。



「……」


「ふふふ、また大きくなったんですか?ひわいひわい。腹に脂肪がたまっちまえばいいのに」


「……」


「持つべきもの持ってますねぇ、本当に19歳ですか?こんな誘うように胸元はだけさせて」


「ちょっといい?」


返事を待たずに少しかがみ、スノウのわき腹を手でつかむ。


「おろ?」


そのまま持ち上げ、腕を交差させる。


「おぉっ!」


つまりスノウは現在ひっくり返っている状態だ。


「制裁」


そのまま腕をおろし、地面に頭をぶつけた。


ガンッ、とかなり痛そうな音が響いた。



「うぎゃああああああ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛いうわああああああ!!」


地面でのたうちまわるスノウ。それを見下すショウコ。


「一回目はこれで許すけど、二回目はその指折るわよ? ……それとも、切った方がいいかしら?」


「イヤイヤイヤイヤ!まってリバーソー回さないで!シャレにならなアチチチチ!」






「ちなみにこの子の本当の名前は白井(シロイ)ミナミよ」


人知れずつぶやいた。

そろそろ部で分けたほうがいいかもとか考えてたり。

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