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第1話 その言葉は、わたしの呪いをけしてくれた魔法でした。

 みんなに嫌われているおばけのお人形パペットの恥ずかしがり屋の女の子オーロラと大好きなお坊ちゃん。


 その言葉は、わたしの呪いをけしてくれた魔法でした。


 お坊ちゃん。大好きです。


 夜の時間の薄暗い大きなお屋敷の中にきらきらとした美しい星の光が大きな窓から差し込んでいるところがありました。

 その美しい星の光の中に白い花のような古風なドレスを着ている一人の真っ白な女の子が立っていました。

 真っ白な女の子は星の光の差し込んでいる大きな窓の外を見るようにして、楽しそうに歌を歌っていました。(歌っているのは、愛の歌でした)真っ白な女の子の声は、とっても、とっても、美しい声でした。

 少女の名前はオーロラと言いました。

 オーロラはおばけのお人形パペットの女の子でした。

 とっても美しい顔のとっても綺麗な真っ白な髪と顔と形をしている女の子だったのですけど、オーロラの真っ白な顔の口元は赤い血のように見える怖いお化粧が(もちろん、おばけのお人形パペットなのでわざと)してあって、見た人を驚かすための顔をしていました。(こんな夜の時間に出会ったら思わず悲鳴をあげて、逃げ出してしまうでしょう)

 歌を歌いながらオーロラは大好きなお坊ちゃんのことを思っていました。


 わたしはみんなに怖いって嫌われているんです。

 ある日、わたしは泣きながらお坊ちゃんに言いました。

 そんなことないよ。『オーロラは怖くない。世界で一番かわいいよ』。

 そんな魔法みたいな言葉をお坊ちゃんはわたしに言いました。

 わたしをおばけお人形パペットの世界の中で見つけてくれた優しいお坊ちゃんのその魔法の言葉は、わたしの呪いを綺麗さっぱりとけしてくれた魔法でした。

 そのお坊ちゃんの魔法の言葉のおかげで、わたしはたしかに『世界で一番かわいい女の子』になったのです。

 わたしはお坊ちゃんのおかげで、夜のおばけの世界から、夜が明けた、朝の明るい世界に駆け出していくことができました。

 世界で一番大好きなお坊ちゃんのいる、ずっと憧れていた空に太陽のある明るい世界の中に。(お坊ちゃんのことがはっきりと見えていたから、夜の中で迷子になったりもしませんでした)

「大好きです。お坊ちゃん」

 わんわんと情けない顔で(口の周りの真っ赤な血のお化粧も少し落ちていました)泣きながらわたしは言いました。

「ぼくもオーロラのことが大好き」

 にっこりと優しい顔で笑いながら、わたしの手を握ってくれて、お坊ちゃんはそんなことを言ってくれました。(その言葉も魔法みたいでした。なんだかお坊ちゃんの言葉は全部魔法みたいでした)

 わたしはみんなに嫌われてもいいって思いました。

 おばけのお人形パペットでもいいって、思いました。(ずっと嫌だったけど)

 だってわたしには、わたしのことを大好きって言ってくれるお坊ちゃんがいるのだから。


 ぱちぱちぱち。

 とオーロラが歌を歌い終わると、小さな拍手の音が聞こえてきました。

 びっくりしたオーロラが小さな拍手の音が聞こえたほうを見るとそこには笑顔の(さっきまでずっと思っていた)お坊ちゃんがいました。

 お坊ちゃんの顔を見て、オーロラはその真っ白な顔を真っ赤な色に染めました。

「歌、とっても上手だね。オーロラ」

 お坊ちゃんが悪気のない無邪気な声で言いました。

 オーロラはあまりの恥ずかしさに、泣きそうな顔になりながら(もうちょっとだけ大きな青色の瞳から涙が溢れていました)お坊ちゃんになにも言わずに、夜の闇の中に逃げ込むみたいにして、全力で走り出してしまいました。(もう絶対に夜に一人で歌なんか歌わないって思いながら)

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