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原初スキル同士の激突

 若手探索者が集まっている会場に向かう煉は『魔力感知』により、同じ目的地に向かっていた黒幕たちを捕らえる。魔力の揺らぎから敵はまだ煉には気が付いていないようであった。

 

「射程圏内か、『空絶』」


 次元流剣術には距離も障害物も意味を成さない。そういう意味では障害物が多い屋内は、次元流剣術にとって戦いやすいと言える。


「問題は被害が多すぎる点だな」


 空間ごと斬るため目標物の間にあるモノは全て真っ二つとなってしまうのが難点である。

 とはいえ剣術の特徴的にも威力的にも次元流は防がれにくい。先ほど『魔力感知』で感知した者たちであれば『空絶』で片が付くと煉は考えていた。しかし技を繰り出す直前、本命が割り込んできた。


「...突然、同胞を斬りつけておいて、心配するのが建物への被害ですか。流石、主人の目に留まっただけのことはありますね」

「...こっちに来たのは『ロイヤル』か。成る程、RoyalじゃなくLoyalなのか」

「ご理解が早くて助かります」


 会話をしながら『ロイヤル』が連れている者たちを観察する。すると『色欲』ほどあからさまでは無いものの、仄かに思考誘導されたような感じが見受けられた。


「思考誘導...か?」

「いえいえ、私が主人から与えられた『忠義』を皆さんにお裾分けしているだけです。『伝染する忠義』でね」

「『忠義』か。魔力の揺らぎが宗教の信者に似てたのはそれでか。まあ何にせよ希釈されて薄まった忠義なら喰えるだろ」


 煉はグラルを『ロイヤル』たちに向けて構える。


「舐められていますか? ...まあいいでしょう。選別を突破した者の相手も私が与えられた主人から与えられた勅命ですので、やらせていただきましょう」


 『ロイヤル』も臨戦態勢となると、周りの忠義感染者どもも同じく臨戦態勢をとるのだった。


―――――――――――――――


 一方ユラはというと、煉と別れた後、協会関係者が集まる会場には向かわなかった。ユラは煉よりも広範囲かつ高精度の『魔力感知』によって既に本命の場所を見つけていた。


「うわー、『機械姫』のほーかー。めんどー」

「直接会うのは初めてですね。初めまして『スロウ』さん?」

「てーか、こっちーきていいのー? 一般人殺しちゃうよ?」

「問題ありません。協会関係者は一般人ではありませんから」

「えー、こわー」

「...まあ冗談半分です。一応『機械獣』はそちらに向かわせていますのでご安心ください」


 ユラとしては協会関係者を助ける義理も無いのだが、優しい優しい愛弟子がそういう事を気にする性格のため、仕方なく『機械獣』を派遣してあるのだ。

 

「機械ってー、いーつもきびきびしててー嫌い」

「価値観の相違ですね。私は貴方のようにだらけきった姿の方が嫌いですよ」

「そーか、なーら、僕の『怠惰』で機械もだらだらにしてあげるよー」

「やれるものなら。それとも反対に私が貴方を機械のように『忍耐』強くさせてあげましょうか?」


 寝ころんだまま、ユラを見もしない『スロウ』に対して身体中から幾つもの機械を構築し出すユラ。対照的な2名の戦闘も開始する。


 こうして原初スキル持ち同士の激突が行われるのだった。


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