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チャンネルジャック

 動画配信サイトでとある生配信が開始された。その生配信はアメリカで人気を博す高位探索者のチャンネル『ルシファチャンネル』から行われた。しかしその配信画面にはチャンネル主とは別の人物が映し出されていた。


[こんにちは、皆さん]

【誰?】

【ルシファは?】

【特別ゲスト?】


 探索者好きの視聴者ですら見たことない人物の挨拶にチャット欄は困惑が広がる。


[このチャンネルをくれた子? ここにいるよ...ほら]

【ルシファ!!】

【嘘...】

【え...】


 ダンジョン探索配信ですら見たことないほどボロボロになったチャンネル主を見た視聴者は絶句していた。


[まあこんなのどうでもいいよね。今日は大型企画? を思い付いたからチャンネルを貰って配信してるんだよ]

【ドッキリだよねルシファ】

【ふざけるな!】

【たちが悪すぎる!】

[企画名は『選別と虐殺』。みんなご存じ今日アメリカで行われている国際カンファレンスに集まっている世界有数の探索者たちを選別するよ]


 そう男が言った瞬間、画面が切り替わる。場面は丁度、似非『聖域』が発動し、国を代表して集結した探索者たちが怠惰に見舞われ地に伏していく瞬間であった。


[ありゃ? 少し遅かったな。選別の方が終わっちゃった]

【て、これ国際カンファレンスの様子?】

【ガチ映像?】

【CGだろ】

【流石にあり得ん】


[信じないなら別に構わないよ。真相は後になれば分かることだしね...虐殺は]

【おい、ステージ上の奴ら銃を】

【え、本物?】

【ドッキリだろ!そうだろ!】

【あ、Mr.レンと機械姫が】


[失敗だね。通過者は予想通り2人か...]


 ステージ上で銃を構える集団による大量虐殺が行われようとする寸前、間一髪のところで2人の探索者によって防がれる。


【Mr.レン!機械姫!】

【流石、英雄たちだ!】


[選別の通過者は神埼煉と川本ユラでした]

【てか、ドッキリだと思うけど流石にヤバすぎでしょ。度を越えてる】

【やっぱりドッキリだよな】

【え、てことはレンとかユラもグル?】


 視聴者の大半が真偽不明の映像に困惑している。しかし男はチャット欄を気にした様子もない。


【これガチじゃね?】

【ホントならテロじゃん】

【そもそもチャンネル乗っ取ってる時点で...】

【今、反探索者集団の『天廻』の公式SNSに投稿が...】

【ガチかよ】


[残念ながら特別ゲスト『天廻』による虐殺は失敗だったね。『天廻』の代表も悲しそうだね。無念であるだって]


 画面上に『天廻』の公式SNSが投稿した文章を載せる。しかし男の口調はとことん他人事である。しかしこれによって今までの映像や男の言動に真実味が増す。それは大規模なテロ行為が現在進行形で行われていることを意味する。

 それを理解しだした視聴者は動画にのめり込んでいく。しかし


[それじゃ特別ゲストの出番も終わったし、本命の登場を――]

【え!?】

【なんで?】

【終わり?】

【おい、おい】


 唐突に始まった配信は、唐突に終了するのだった。


 ―――――――――――――――


 別荘の1つを使い配信をしていた男は、真っ二つに割れ悲惨な状態の別荘を眺めていた。


「他人の持ち物を無闇に壊したら駄目って教わらなかったの仁王鈴くん?」

「...さあ?」

「まあどうでもいいか。それよりどうしてここに? カンファレンス会場に向かってると思ってたのに」

「...匂いがした」

「匂い?」

「...強者の匂い」

「それは、想定外だったなー」


 配信場所がバレるリスクは生配信であるため理解していたが、しかし配信を開始して十数分程度で来客があるとは思っていなかった。しかも生配信等とは一切関係のない情報でである。


「まあいいや。結局、あの時は遊ばなかったしね。今の君なら楽しそうだ」

「...斬る」


 鈴は男に向かって斬りかかるのであった。

 


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